2018.01.27

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

東京メトロのお仕事~東西線深川車両基地編・前編~

深川検車区自慢の新設ピット、34・35番線。明るく作業しやすい近代的なスタイル。

普段の通勤通学で当たり前のように利用している地下鉄。東京メトロは都内を中心に9路線を有し、年間輸送人員はなんと23憶人(!)。世界の大都市の地下鉄としても有数の規模を誇っている。そんな同社の、普段人目に触れない部分を取材できるチャンスが「東京メトロメディアツアー」。今回は東西線深川車両基地の興味深い「お仕事」をご紹介しよう。

レイルファン垂涎の車両基地内を見学

東西線の木場駅・東陽町駅が最寄となる深川車両基地は、「深川車両管理所」「深川工場」「深川検車区」の3つの組織から構成されている。取材陣がまず訪れたのは「深川検車区」。ここは車両の日常的な整備を行なう施設と考えればよいだろう。「在姿(ざいし)状態」(=車両を分解しない状態という意味)での検査・修繕のほか、車両清掃や車内広告の取替などもこの施設で行なわれている。

深川検車区に常駐している関連会社・旭工業のスタッフの皆さんによる、非常に丁寧な車体洗浄作業。車体側面は日々の自動洗車機でも洗浄されているが、およそ2週間に一度の手洗い洗浄により、より輝きが長く保てている。

最初に取材させていただいたのは車両の洗浄作業だ。TVなどで、電車が自動車用洗車機に似た機械を自走しながら通過する仕組みを見たことがある方も多いと思う。東京メトロでももちろん高頻度でその洗車は行なっているが、今回見せていただいたのはおよそ2週間に一度行なわれるという手作業による車体洗浄。つまり、自動洗車機が有効な範囲でも、改めて手動で洗浄しているのだ。東京メトロの車両は相互乗り入れにより他社車両と並ぶ機会も多いが、「汚れている」印象を抱くことが少ないのにはこんな理由があったのである。

長年の経験からベストとしてセレクトされた道具類。左上から時計回りに、車外用パッド、車内床用モップ、ガラス拭き上げ用マイクロファイバー、和ぼうき(シートのクリーナー後の仕上げ)。

車内ももちろん徹底的に清掃が行なわれる。1両あたり2名、つまり10両編成で20人を超える作業者の方が各種のツールを駆使して快適な車内環境を作ってくれているのだ。シートのクッションにクリーナーを掛け、手が振れる部分の手すりや吊り革は水拭き・乾拭きの二段階。空調のルーバーやモニターも漏れなく拭き取りが行なわれるし、もちろん床も隅々までモップ掛けがなされる。その過程でお客の忘れ物が発見されることもあるが、時世を反映し、新聞・雑誌類の置き忘れは激減したのだそうだ。

やはり関連会社のメトロアドエージェンシーのスタッフの方による、車内広告取替の模様。写真左が車内側面上部のボール紙製広告、写真右が中吊り広告の取替作業である。

次は車内広告の取替作業を見せていただいた。車内の側面上部に設置されたボール紙製の広告と、おなじみ中吊り広告。熟練の作業者の方があっという間に取り替えていくが、曲がりやシワが発生しないよう細やかな気遣いも必要。また広告の交換は当然クライアントとの間で厳密に期間の取り決めがなされているが、対象の車両がダイヤの乱れにより乗り入れ先の遠い場所に行ってしまっていたりすると、「いつ・どこで」交換するのかが極めて難しい問題になることもある…とも教えていただいた。

採光窓が大きく、さらに要所のLED照明により極めて明朗な庫内の印象。

床下機器の点検・整備も、作業者の方が立ってちょうどよい位置に機器が位置しており、結果的に作業の正確性と効率が増している。

新しいピットでは、このジャッキ部を使って台車を抜き取り、工場に準じた修繕などが可能となったとのこと。

メディアツアー最初のヤマ場が、昨2017年に稼働開始したばかりの新ピット、34・35番線。ピットとは線路下に作業員が入り込むスペースを作り、台車や床下の日常的な点検を行なう施設。当然昔から設置されていたが、この新たなピットは冷暖房完備の上、採光も良くさらに全面的にLED照明が採用され、作業環境が劇的に改善されている。ここではブレーキシューの交換や各部の点検などが作業員にとって無理のない姿勢で行なえる他、本来「在姿」での点検を行なう施設ながら、必要に応じて台車を抜き出して点検や修繕を行なうためのジャッキも新たに設置された。日々の点検整備だけでなくより高度な修繕・改修作業までがこの快適なピットにて行なわれているわけである。

(以下、後編につづく)

text & photo:Ken HAYAMA(羽山 健)

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