2018.03.31

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

ガンプラの匠、よしもとプラモ部「パンクブーブー 佐藤哲夫さん」のプラモ道

1年戦争から数十年たってるイメージで製作したジオラマ。数十年、海底に沈んでたザクが、ボロボロになり。それを最新のズゴックが回収して、昔兵器だったザクを作業用のモビルスーツにリサイクルするというシーン。

2016 年、日本で2位のガンプラビルダーとなった、 ガンプラの匠、佐藤哲夫さん

高校卒業以来、ストップしていたプラモデル製作の再開のキッカケとなったのは、当時2歳の息子さんそして、ガンプラを極める原動力となったのは、お笑い芸人としての情熱と、好きだからこその、貪欲な知識の吸収力であった。

●哲夫さんがプラモデルを作り始めたのは、いつ頃からなんですか?

「やり始めたのは4歳ですね。それで小5の時にお年玉でエアブラシを買って。お小遣いとかもつぎこむガンプラ少年でしたね。でも高校卒業してからは、ほとんどやってなかったんですよね、高校卒業して芸人になったんで、プラモ買えなかったです。電気代とかガス代を払うのがまず先でしたからね」

「そのうち息子が2歳半になり、プラモに興味を持ち初めまして。一緒に作ってたんですよ。その頃、楽屋でQ太郎(ハイキングウォーキング)に、息子とプラモデルやってて楽しいんだよ、って話しら、〝僕らもやってんですよ〟ってなって」

「じゃぁ、ウチで皆で作ろうぜ、ってことになって、ウチにちょいちょい人が集まって朝までプラモを作るとか。酒飲むヤツは酒飲みながらダラダラ作って。そん時の会話がめちゃ、楽しかったんですよ。で、それが面白くて、これライブになるんじゃないかって。ちょっと、覚えたての専門用語とか使うのがすげぇ楽しくて。おもしれぇ、部にしようって。それが吉本プラモデル部になったんですよ」

●本気で作り始めたのは、その頃からですか?

「吉本プラモデル部のライブはプラモでボケるんで、作品自体も手を抜いてるとウケないんですよ。お客さんも、ホントにプラモ好きな人達が来てるんで。すげぇ作り込んでて、しょうもないこととかしてたらめっちゃウケるんですよ。お前、このひとボケするために、何か月かけて作ってんだって。これ、上手くなればなるほど、ウケるぞって。それからですね、本気になったのは。やっぱり根底に、笑いがとりたいっていうのがあるんですよ」

「歌ウマ芸人とかいるじゃないですか。うまいってちょっと面白いんですよ。ライブ全体では、下手なヤツがいてもいいんですけどね。全体の流れがあって。“いいね”、“おーいいねぇ”、“オイっ”みたいな。そういう流れとかができるんで」

●ガンプラの大会にも作品を出されていますよね。

「ガンプラの大会、バンダイさんの主宰でやってるガンプラのワールドカップがあるって聞いて。ちょっと試しに出してみようってなって。初めて出したのが、ファイナルまでいったんですよ。おーいったな、すげぇなって。結局3年連続ファイナル残って、3年目は僕以外も部員2名ファイナルまで残ってるんですよ。これ中々なんですよ。2000人近くの中で、ファイナル25人にウチの部員が3人も残ってるって」

「子供の時からプラモデルは好きなんですけど、じつはめちゃくちゃ器用なワケではないんですよ。プラモデルをやってて思ったのが、意外と器用さがいらないな、ってことですね。色んな本見て勉強するんですよ。で、知識が入ったら、意外とやれるんですよ。作業自体は簡単なことが多いんで。ただ知ってるか、知らないかなんですよ。あと、塗装して1日待ちましょうとか、接着して1か月待ちましょうとか。とにかく、根気がめちゃくちゃいるんですよ。だから、知識と根気があったら大抵できます。そんな難しいことはないです」

●スクラッチ(自身でパーツを製作)もかなりやられているそうですが、作品のモチーフはどうやって選ぶんですか?

「自分の理想のカタチのまんまのキットって、無いんですよ。メーカーさんは、皆の最大公約数で仕上げてるんで。例えばジオングとかは、設定上でもガンダムの中には出てこないヤツなんで、頭の中での想像で。もし、こういう世界があったらっていう。そもそもキットが無いんで、スクラッチするしかないんですよ」

●ジオラマの世界観はどうやって作るのですか?

「子供の頃の続きですよ、結局は。例えば、一昨年大会に出したパーフェクトジオングを作ろうと思った理由っていうのが、僕が子供の頃にプラモ狂史郎を読んで、でてきたんですね。後々ちっさいサイズではでたんですけど、おっきいサイズのはなかったんです。漫画だと、ドムの足を改造してくっつけて、パーフェクトジオングにするっていうのがあったんですよ。で、それを小学生の時にやろうとして、できなかったんですよ。それを大人になった、今ならできるって。大人の財力なら、同じプラモ2個買うとかできちゃう。2個を合わせて作るみたいな作業があったりしたら、買えちゃうんですよね。1000円、2個、2000円、いけるって」

●昨年の大会に出した作品のイメージは、何だったんですか?

「1年戦争から数十年たってるイメージなんですよ。数十年、海底に沈んでたザクが、ボロボロになって。それを最新のズゴックが回収して、昔兵器だったザクを作業用のモビルスーツにリサイクルするっていう。その世界は、平和な世界なんで。それで、ズゴックも全然違うカタチになって爪じゃなくてアームで作業してる」

「リサイクルズゴックってタイトルなんですよ。で、そのズゴック自体も、家の中のゴミとかを使ってリサイクルして作ってあるんですよ。プリンのケースとか、ボールペンの中身とか、ペンの蓋とかそういので。それでピカピカに仕上げて。ゴミから作ったピカピカのズゴックが、キットからから作ったボロボロのザクを回収しているってうその絵が、俺の中であったんですね」

スクラッチでの繊細な造形と、塗装での金属感、金属のエ イジングが表現された作品。ベースはもちろん、ガンダム シリーズでお馴染みの、ボールとなっている。

●プラモデル作りの楽しさって、哲夫さん的にはどのような部分でしょう?

「プラモデルにはまったキッカケのひとつは、じつは手先の器用さが意外といらなかったことです
ね。知識としてやりかたを知っていればできるんで。この年になったら、どの能力も下がっていく一方なんですけど、自分がすごい上達していってるっていう感覚。まだまだ知識は入っていくんで、勉強さえすれば、腕が上がった感がすごい味わえるんで、うれしいんですよね。後は専門用語ですね」

「覚えたての専門用語を使ってみたくなるんですよね。以前、僕のエアブラシをQちゃんに貸した時に、“終わったらちゃんとウガイ(エアブラシの洗浄)しといてね”っていたんですよ。そしたら、ガラガラ、ペッツってしにいって。いや、ちょっと、ってつこんできて。その変なノリに突っ込みされても、ホントにウガイっていうんだよこれっていったら。“ああ、そうなんですか、僕スゴイ恥ずかしい感じですね。”なんてこともありましたけど。専門用語って使いたくなるんですよね」

「ライブに来てくれるお客さんも、同じ趣味の人達なんでステージの上から専門用語、自分達の趣味の話が、そこで聞けるっていうのが楽しいみたいで。だから、共感してくれるんですよね。お笑い的にはそんな高度なことはやってないんですよ。なんですけど、共感するって部分があるので、妙にウケますね。そういうところは。ウチのライブは、一般参加があるんですよ。お客さんも自分の作品を投稿して、ライブで発表されるんです。そのお客さんもボケてくるんで」

塗装の際は、塗装を吸い 込まないために、マスクは 必要。できれば、専用のも のを用意したいところ。

●趣味としてプラモデルの魅力というのは?

「趣味としては、すごくいいもんだと思ってるんですよね。まず、大人の趣味としては、あまりお金が掛からないんですよね。初期投資5万とかあったら、エアブラシとか全部、とりあえず一式いいもんが買えますからね。それでスタートして、プラモデルなんて1000円、2000円。それで、1か月、2か月かけて作ったりするんで。趣味って、時間が掛かったほうが面白いですしね。それで塗料代含めて5000円としても、飲みに行ったら一撃ですから」

ライブでの、ミロのヴィーナスというお題に対して、哲夫さ んが製作した作品。金属感が表現されたミロのヴィーナ スが、北斗の拳のジャギ仕様として演出されている。

●プラモデルを作る上でオススメのアイテムなどはありますか?

「塗料に関して、ラッカーはガイアノーツ、アクリルはタミヤを使ってるんですけど、最近のオススメは、シタデルカラーですね」

「外国のメーカーの水性塗料なんですけどね。これが無臭だし、塗料の乗りがすごくいいんですよ。水性なのにめちゃくちゃ塗料の乾燥が早いんで、筆塗りで簡単に塗れて。水で使えて、筆も水で洗えるんですよ。それで乾いたら水で落ちないんです。臭いもないんで、ちびっこも使えるし。さっきは大人の趣味っていいましたが、個人の目標としては、僕らが子供の時に通ったあのプラモデルブーム。あれをもう一回、起こせないかなと。子供が皆で夢中でプラモデル作って見せ合って、みたいな。シタデルカラーは、そういう意味でもオススメですね」

「仮組する時に役立つのは、パーツオープナーですね。今のスナップキットって、接着剤とか使わずにはめるヤツなんですけど、はめたらバラすの難しいんですよ。僕らは仮組の状態でどういう風に仕上げていくかとかを見て、またバラバラにするんで。これがないとバンダイさんが頑張りすぎてて、キッチリはまって取れないんですよ」

「それでも2度と取れないものがあるんで、はめ込むパーツのメス部分にニッパー入れちゃう(輪を広げる感じで縦に切る)んですよ。そうすると、外しやすくなるんですよ。僕は基本的には、ここは将来的に接着するところはバシバシ切っていきますね」

●普段はどんな風に作品を作っていらっしゃるんですか?

「ここ2~3週間くらい、ずーっとヤスリがけだけしてます。あとは、プロモデラ―や仲間とスカイプで夜中しゃべりながら、作ったりもしてますね。今、こんな作業してるよ。それ、どうやったらできるんですか? って聞くと、ぴよーんって画像がでてきたりとか。あと、やってる途中で、プスプスプスって音がすると、今誰が塗ってるんですか? 僕で~す、とかそういう会話をしながら」

楽屋やホテルでも、プラモデルを製作していると聞きましたが、そのための出張セットみたいなものはあるんですか?

「僕が普段持ち歩いているのはピンバイスとデザインナイフ、ヤスリ、ピンセット、ニッパー、瞬間接着剤とノズル、ヤスリ類ですね。外で塗装はできないので、組むための最低限のものですね」

あえて汚れた様子を表現することで、リアルさを表現する ウェザリングを行なっていない作品。ジオラマではなく、単 体での作品では、ウェザリングをしない事も多いという。

●プラモデル、ガンプラに関してこれからの展望はありますか?

「プラモデルの番組をやりたいというのは、ありますね。今、プラモデルの番組っていうのがないんですよ。それで、今まで興味がなかった人たちが、ああプラモって難しそうだと思ってたけど、思ったより簡単そうだね、って言ってくれるような。楽しそうだから、ちょっとやってみたいな、って人が増えてくれるといいな、と思っています。ちびっこにもプラモデルを作って楽しんでもらいたいですしね」

「これはもう夢ですね。子供の時の続きをやってるんですよ。20代30代って、仕事で駆け抜けるんですよね。子供の時を捨てて大人になるために、働くんですよ。それで、少し余裕ができたところで、子供の時に途中でやめてた、子供の時に夢に描いてたものを、今やってるっていう。お笑いも、もちろん好きでやってますけど、それは仕事なんですよね。仕事には責任があるんですけど、夢には責任ないんですよ。自分が好きなように追い求められるんで。夢はいいですよ。失敗しても、誰からも怒られないですから」

日本広し、といえどもM1 グランプリ王 者のトロフィーとGBWC 入賞の盾を 両方もっているのは、哲夫さんただ一人だけだ。 佐藤哲夫

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