2018.04.17

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

極上のオリジナルミニと暮らす

長い期間にわたり、多くの台数が生産されたミニ一族。その偉大なヒストリーに敬意を表し、このミニマイナーの様な"機械遺産級"のルーツと共に人生を過ごすのも、上質なクルマ趣味のありかたとしては理想のカタチだろう。

ミニはまるで伝説の火の鳥"フェニックス"の様なクルマだ。1959年の誕生から2000年の生産終了まで、幾度も生産中止の危機を乗り越え、さらに生産が終了してから20年近くがたった今でも、自動車趣味世界の旗手として、多くのファンと共に生き続けている。偉大な歴史から維持のし易さまで、趣味のヒストリックカーとしての条件を全て兼ね備えたミニ一族のなかでも、そのルーツのみが持ちうる究極の"極上"とは?

1959年、モーリス・ミニマイナーとオースチン・セブンは、 世に出た最初の時点で、既にひとつの究極の完成形だった。

 比較的短期間ではあったが、私もかつてミニ・オーナーだった時期がある。それは、個人売買で手に入れた1982年式の1000だったが、特にドレスアップやチューニングなどの手を加えることもなく、雨の日も風の日も、ひたすら家族3人のファミリーカーとして走り続けてくれた。ちょうどそれと前後して、当時の編集部には社用車として12インチの1.3キャブ・クーパーもいたのだが、こちらは記事の紹介用という役割もあってあちこちに手が加えられており、中にはその過激で荒々しい乗り味を好むスタッフもいたが、個人的にはおっとりしたノーマルの方が断然好みであった。

 多くのクルマ好きにとって、ミニ(正確に言えば、モーリス・ミニマイナーとオースチン・セブンだ)が生まれた年として認識されている"1959年"だが、ちなみに当時の日本ではどんなクルマ達がいたのか、改めて調べてみたことがある。

 すると、ダットサン211の後継車として初代ブルーバード(310)がデビューしたのが、この1959年。戦後初の3ナンバー乗用車として初代プリンス・グロリアが生まれたのもこの年で、あのスバル360の登場は前年の1958年。4年前の1955年にデビューしたトヨタの初代クラウンは、そのまま生産が続いている、という時代。もちろん日野ルノーやいすゞヒルマンといったノックダウン生産組もバリバリの新車である。ちなみに私の両親は既に結婚していたが、私自身はまだ生まれていない。ミニの方が、少しだけ年上。

 とまぁ、そんな時代である事を考えれば、1959年に生まれたクルマが、基本設計を変える事無く2000年まで生産され続けたという事実に、改めて驚かされる。

 そんなとりとめも無い事を思い出しながら、目の前に佇むオールドイングリッシュ・ホワイトのモーリス・ミニマイナーMk-1をしげしげと眺める。年式は、まさにミニの生産が始まった1959年。この年の8月後半からデリバリーが始まったというミニだが、取材車を用意してくれたミニ屋Aiフラジルさんによれば、この個体は極初期ロットのアーリーモデルとのこと。全てのミニ一族の、ご先祖様クラスの1台と言っても差し支えないだろう。

 "極上のミニ生活"。単に物理的にキレイで、機械的に完璧という意味では、"極上のミニ"はおそらく世界中に山ほどいるだろう。でもそれが、自分にとって"極上のミニ生活"をもたらしてくれる存在かどうか、また別の問題。

 果たしてこの、原初のモーリス・ミニマイナーと自分との生活は、極上なものとなりうるのだろうか。
 まずはその扉を開けてシートに座ってみる。現在とは衝突安全性に対する要求が全く異なる時代に生まれたクルマ故、ピラーやドアは細く薄く、結果として室内は、外観からは想像出来ないほど広く、ルーミー。初期モデルならではのセンターメーターを備えるシンプルなインパネも清々しい。自分の身体感覚では"ミニが小さい"のではなく、"最近のクルマが大き過ぎる"ので、ボディも室内もこのサイズ感は非常に心地よい。そんな自分のカラダが覚えていた感覚と、シートとシフト・レバーの位置関
係が若干異なる気がしたものの、オーナー時代の色々な思い出もよみがえる懐かしいミニの室内だ。やや上を向いた細いステアリングを右手で抱え、左手でギアをゆっくりとローに入れ、走り始める。

 走り出してすぐに感じたのは、マスを感じさせないその軽やかさ。お馴染みのAタイプ・エンジンは、シリーズ最小の850ccだが、様々な装備を纏う以前のプレーンな軽量ボディが、全くといっていいほど非力さを感じさせない。クルマと対話しながら自分なりのペースで郊外のカントリー・ロードを飛ばしている限り、これ以上クルマに何が必要かと思えるほどのバランスのとれた軽快な走りは、衝撃的ですらあった。

Car Magazine にて掲載
text:Jun-NAGAO(長尾 循) photo:Hidenobu TANAKA(田中秀宣)
リー取材協力:ミニ屋AIフラジル(Phone:027-288-9985)

赤いボディに黒いルーフは、クーパーSのお馴染みのカラーリングのひとつ。やはりクーパーの名は伊達ではなく、小気味よく回るエンジンとキビキビした走りは、他では得られない世界。

現代の目で見れば十分にシンプルなクーパーSの室内だが、レヴカウンターの追加を始め、ベースとなった850ccのミニマイナーに比べれば、ずいぶんと豪華になっている。パワフルな分、運転もラク。SUツインを備える1071ccエンジンと小さく軽いボディとの組み合わせは、雪のモンテでなくとも最上の走りをもたらしてくれる。

シンプルで合目的的なミニの室内は、広く明るい。初期のモデルを特徴付けるセンター・メーターは速度計と燃料計のみ。シトロエン2CVや初代フィアット・パンダにも通じる"どこをとっても隙のないエンジニアリングとデザイン"

。高年式のミニと異なり、エンジン・ルームはご覧の通りスペースにまだまだ余裕がある。お馴染みのAタイプ・エンジンは、シリーズ最小の850cc。ちょこんとへばりついたシングルのSUキャブもかわいらしい。

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