2018.04.23

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

小さなアートピース『Vintage-ヴィンテージ切手-』

切手収集。それは「キング・オブ・ホビー」と呼ばれる趣味の王道。それぞれのコレクターによって惹かれるポイントが違うが、塚本太朗さんにとって、切手とはアートそのものだという。小さなアートピースが開く、奥の深い切手の世界にようこそ。

 切手。指先に乗るほどの紙片の中には、小さな美術品としての魅力が溢れている。
 「切手は小さなアートピースですね」と語るのは、塚本太朗さん。デザイン事務所である『リドルデザインバンク』を主宰しつつ、ドイツやオーストリアの雑貨を取り扱うショップも経営している塚本さんは、アーティストとしての感覚そのものが仕事に直結しているプロフェッショナルだ。そんな塚本さんが一息つく、至福の時間とは「切手を整理しているとき」だという。
 「最初に興味を持ったのは小学3年生くらいの時でした。近所の切手商で出合った外国の切手が三角形だったんです。見たことのない形でしたし、色も個性的。惹かれましたね」
 どうやらデザイン的要素に心を奪われるのは少年時代からだったようだ。そして後年、仕事で訪れたドイツの蚤の市で、切手の魅力に引き込まれることとなる。
 「切手市を覗いてみたら、とても面白くて。小さな切手に詰め込まれた世界観。その魅力にのめり込んでしまいました」
 珍しいから、価値があるから集めるのではない。判断基準は自分自身の琴線に触れるか否か。
 「特に海外の切手は美しいですね。お国柄が感じられるのも面白い」
 海外の切手には、いわゆる巨匠と呼ばれる大物アーティストがデザインしたものも少なくないとか。そんな「作品」が切手となると、額面上の価格で販売されていたというのも面白いではないか。実は気軽に始められるのも切手収集の魅力なので
ある。自分の中に眠っているアンテナを頼りに、切手という小さなアートの世界に迷い込んでみてはいかがだろうか?

Photo:SAORI KOJIMA Text:YOSHIRO YAMADA

Switzerland【スイス】

当然のことながら、切手にはその国のお国柄が大いに反映される。スイスの切手には風景画が描かれることが多いそうだが、さすがは名峰が揃う国。アルプスの険しい山並みが描かれた美しい切手が並ぶ。紺碧の空や朝夕の赤、そして白い雪や緑の草原ななどが、スイスならではの壮大な大自然を思い起こさせてくれる。

Nederland【オランダ】

花やフルーツ、太陽の浮き沈みを描いたオランダの切手は、デザインもさることながら“カラフル”な色合いが素晴らしく、まさに“アート”といっても過言ではない。塚本さん曰く、アメリカの60〜70年代のポップカルチャーにも通ずる点もあり、魅力的だ。この絵柄をそのまま拡大して、Tシャツにプリントしたくなるような誘惑に駆られる。

Austria【オーストリア】

オーストリアが生んだ芸術家、フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー。画家としての活動はもちろん、建築家としても活躍した才人であり、彼が作った建築物は観光名所にもなるほどの人気を博しているそう。独特の色彩やタッチ、アートとメッセージが融合した空気感は、切手サイズになっても健在。見るものを圧倒する小さな芸術品といえるだろう。

England【英国】

世界で初めて切手を発行した国はイギリスである。そのため、イギリスの切手には国名が記されておらず、代わりにヴィクトリア女王の横顔が記されている。この一枚は、陸地測量局の設立200年を記念して作られたもの。地図中の記号などはすべて実際にイギリスで使われているもので、例えば「P」はポストオフィス(郵便局)を指している。

Cekoslovenko【チェコスロバキア】

現在は、チェコ共和国とスロバキア共和国に分かれているチェコスロバキア。かつて一国だった時代に発行された切手には、経済的にあまり恵まれていなかった世相を反映し、少しざらつきの残る紙が使われている。それが、今となってはとても魅力的だ。「グラフィックの要素が、切手という小さな世界に詰め込まれているところがよい」と塚本さん。

Germany【ドイツ】

ドイツで生まれ、世界中のデザイン界に衝撃を与えた教育施設といえば「バウハウス」である。ナチスの命により閉校され、開校はわずか14年間と短かったが、現在も資料館は残されている。それらバウハウスにまつわる建物が描かれた切手がこちら。塚本さん曰く「微妙な地の色などがバウハウス的」とのこと。東ドイツ時代の空気感が漂っている。

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