2018.04.28

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

Taiwan Culture『見切り発車でいーんじゃない?』

昨今のブームもすっかり定着し、ますます結びつきを深めている台湾と日本。両国のカルチャーをテーマにした、様々な活動を行っている田中佑典さん。雑誌作りはショップのプロデュースをベースにした、個性溢れる台日系カルチャーの伝道師である。

 東京は蔵前にオープンしたばかりの「台感」。台湾のお茶を愉しむことができ、台湾をテーマにした様々なポップアップショップなどが開かれるというユニークなスペシャルショップだ。
 台湾カルチャーの発信基地たる同店。そのプロデュースを担当したのは、LIPの田中佑典さんである。鮮やかなエメラルドグリーンに染め上げられた暖簾の前に佇む彼は、台湾と日本のさらなる発展的文化交流のため、マルチな活動をいそしんでいるのである。

「台日系カルチャー」

 この言葉は、台湾と日本の両国が一緒に作り上げるカルチャーを指す。命名は田中さんご自身。さもありなん的絶妙なネーミングだが、あまり力説する感じでもない。「とりあえず言ってみる」というのが、彼のスタンスなのである。
 「日本人は、やはりそれなりにしっかりと準備をしてから物事を始めるような傾向がありますよね。台湾はなんというか、もっと行動が早いんです」
 田中さんいわく「見切り発車」なのだとか。例えば、まずお店を開いてしまう。そこで何をするかは後で考える。そんなスタイルもまた、台湾的らしさなのだ。
 田中さんにしても、お店をプロデュースした経験があったわけではない。だが、それでもいいと考えている。
 自分のように、台湾に興味を持っている日本人が楽しめればいい。日本で暮らしている台湾の人が来てくれてもいい。
 どんなお店になるかは、まだ分からないけれど、台湾と日本がテーマになっている居心地の良い場所になれば。

「口からでまかせ」
「見切り発車」

 台湾的精神の神髄をとらえたこの言葉を、日本人が誤解せず、好意的に理解することは簡単ではない。それは、台湾を心から愛し、そして日本人としてのアイデンティティを自身の中心に据えている田中さんならではの答え。深い理解と愛情を込めた、台日系カルチャーのテーマなのだ。

田中さんが作っている「離譜」は、台湾と日本をつなぐカルチャー誌として2011年に創刊。「LIP」は、学生時代に作っていた雑誌。額に入れて飾りたいカッコよさ。

元々、アジア的文化に興味があったという田中さん。キョンシーの真似をしてみたりしていた小学生だったそうで、アジア映画ならではの雰囲気に惹かれていたという。大学生時代に上海を訪れ、タイや香港にも旅行をした。そして、とうとう台湾の地を踏むのだが、それは「たまたまでした」という。台湾に思い入れがあったわけではなかったようである。
 だが、やはり特別な感情がわき上がってきたのだという。
 「台湾のカフェでお茶を飲んでいた時、なんだか日本にいるような気がしたんです。外国にいる、という感じがしなかった」。
 初めてのはずの台湾。だけど、どこかしら感じる安堵感。それは、他のアジアの国々では覚えなかった感覚だったという。
 「良い意味で、刺激がなかったというか。落ち着くんですね」

数多くの「台湾ガイド」を執筆、またはプロデュースしている田中さん。台湾への理解を深める一冊としても、大変に興味深いのである。

 台湾で感じた「日常」。
 それは、とても心地よい肌触り。

 「もちろん、刺激たっぷりの非日常も存在するわけです。例えば、有名な夜市。屋台がズラリと並ぶ台湾の台所を歩けば、その圧倒的なまでのパワーを全身で感じることができます」
 日常と非日常。一見相反するかのようにも思えるふたつが同居する国。田中さんが、台湾に惹かれるようになった原点のひとつである。
 「それと、やっぱり見習いたいなと思ったのはその行動力。とにかくやりたいことを始めてしまう人が多いですね」
 まずは始めてしまう。そんな台湾スタイルを象徴する逸話がある。ある日、とあるミュージシャンと出会った田中さんは、手渡されたCDを包んでいた紙のジャケットに目を奪われたという。なにしろセンスが良くてカッコイイ。MVもハイレベル。
 ところが、肝心の演奏は……。まあ一言で言えば、あまり良くなかったというか、素人レベルだったとか。聞けば、紙のジャケットは友人のデザイナーが作ってくれたモノらしい。日本では、まず音楽性が先だが、台湾では形から。その典型だったのである。
 もちろん、田中さんはその台湾スタイルを好意的に考えており、ご自身の行動理念のひとつとして取り込んでいる。
 「素人はプロの素。失敗を恐れずに進んだ先に答えがある。それで良いのだと教えてもらった気がします」
 田中さんも、大学生の時に「LIP」というカルチャーマガジンを立ち上げている。無論、創刊当時すべてがゼロスタート。だが、以来途切れること無く続く雑誌作りは、田中さんの活動を支える大きな表現の場であり、台湾と日本を繋ぐ架け橋となっている。
 「ゼロを1にする時。つまり何かをはじめる時には、ある程度の勢いが必要です。それが口からでまかせでもいい。それが僕の仕事なんだと思っています」

 不完全でもかまわない。
 行動したければ、まず動くべき。
 雑誌が作りたければ作ればいい。

 そうして誕生した一冊の雑誌が情報発信の場となり、新たな出会いを生む。
 「台湾と日本。惹かれあうふたつの国を結ぶキッカケとなれば」。今、大注目の台日系カルチャー・ムーブメント。その中心には、いつも田中佑典さんがいる。

Taiwan Tea & Gallery 台感

主張しすぎない店内には、現在の台湾が。取材時には、台湾の靴下ブランド「+10(テンモア)」の商品が展示販売されていた。

お茶や軽食が楽しめるほか、台湾に関する書籍も充実。日本で暮らしている台湾の方も訪れる、知る人ぞ知る台日文化の交差点なのだ。

台湾でも高い人気を誇るタイワンティー「狼茶(Wolf Tea)」がいただける。香り高い一杯を口にすれば、異国情緒が沸き立つこと請け合い。台湾に行ってみたくなるぞ。

ゴミシュラン

台湾のディープなカルチャー

 台湾らしいキッチュな魅力爆発!日本人の感覚を持ち、台湾文化を知り尽くした目利き、田中佑典が選んだ究極のカルチャーアイテムたち。それは、現在と過去が共存する台湾文化そのもの。「考えるな。感じろ!」。いざゴミシュランの世界へ。

「台湾の夜市(現地のおじさんが買うような洋服屋や商店街のマダムたちが通うブティック)で見つけてきます」。一見するとちょっと構えてしまいそうなデザインだが、日本人なら意外とイケるかも?

チープな感じがたまらない! これぞ、台湾名物・夜市で実際に使われている椅子なのである。スタッキングできる究極の実用品。

何に使う?そんな難しいコトを聞いてはならない。光ったりもするらしいが、それは重要ではないのだ。穏やかな表情に悟りを感じるあなたへ。

in Blooom 蔵前店

台湾デザイナーによるテキスタイル・ブランド「in Blooom(インブルーム)」。その日本初の旗艦店として「台感」の隣に「in Blooom 蔵前店」を同時オープン。こちらも田中さんがプロデュースしたお店で、台湾のテキスタイルやデザイン雑貨を豊富に取り揃えいる。店内にはテキスタイルを使ったオリジナルアイテムのほかに台湾の気鋭クリエイターによる雑貨も並べられている。日常生活に寄り添ったデザインや商品には、制作者の優しい目線が感じられる。

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