2018.05.07

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

スタイリスト平さんが今、気になる人 「the Apartment 」大橋さん

カーハートにリーバイスにナイキ、ニューエラ、ラルフローレン、チャンピオン、パタゴニア、ザ・ノースフェイスetc…。90's東海岸カルチャーをベースにした独自のセレクトが魅力。

 

吉祥寺の路地裏にある、90’sアメカジの殿堂!?

カーハートにリーバイスにナイキ、ニューエラ、ラルフローレン、チャンピオン、パタゴニア、ザ・ノースフェイスetc…。90's東海岸カルチャーというフィルターを通し、独自の審美眼でセレクトされたアメカジウェアが並ぶ。

スタイリスト平 いつもインスタグラムを拝見しては、コレ凄い! こんなのあるんだ!? と楽しませてもらっています。何度かお店にお邪魔していますが、その度に面白い品物が入荷しているので毎回財布の紐が緩みますよ(笑)。いわゆるアウトドアウェアショップでもないし、古着屋でもないし、アメカジ屋でもない。他にないコンセプトのお店だと思います。

the Apartment 大橋 そういわれると確かにそうかもしれません。アメリカ東海岸のカルチャーとファッションを提案するセレクトショップというのはままありますが、ここまで90年代の古着とデッドストック、現行のアメリカモノを偏愛しながら、現代に提案している店はないと思います。

 日本でメーカーから仕入れるのと違うので、商品集めが大変そうですね。

大橋 そもそもこの店は洋服屋の経験もないまま始めたので、実は卸業者も知らず仕入れの仕方もわからなかったんです。なので、とりあえずは僕が好きなザ・ノースフェイスとラルフローレンとスニーカー、この3つがミックスされて共存しているNYに行って服を並行輸入しようと。それが今も続いている感じです(笑)。アメリカブランドでも日本規格で洗練されてしまっているのもそれはそれで良いのですが、僕たち的にはアメリカ独特の狙っていない感じを求めていますしね。

 ヴィンテージに関しては、最初は自分のコレクションを放出する形だったんですか?

大橋 ヴィンテージものはコレクターを通じて仕入れたものを販売することも多いですね。自分の趣味のコレクションはコレクションとしてしっかりストックしながら(笑)。NYやヨーロッパのコレクターと仲良くしていて、彼らはコレクションをe bayに出す前に僕に連絡くれるんですよ。いくらなら買う?とか、探しているモノはない?とか。マニアの中では、どこの誰が何の何サイズを持っているという情報のやり取りがされているんですよ。

 お店はじめた時から品揃えやテーマは変わってないんですか?

大橋 ずっとそうですね。今から見ると、あの頃のモノの方がお金をかけて作られている感じがして。僕も2000年代のものも着たりもしましたが、すぐにダメになった経験もありました。その点、しっかりアメリカで作られていたザ・ノースフェイスの当時モノなんかはシッカリしていて、リペアをしながらずっと着ることができます。僕らはあまりファッションに寄った人間じゃないので常に新しい服をとっかえひっかえ着るのでなく、毎年シーズンが来たらお気に入りの服をまた着られればいいんです。なので、the Apartmentでは、ヴィンテージでも現行でも90年代の雰囲気のある質実剛健なものを扱っています。

 

パックTやパックソックスなど、アメリカの定番デイリーウェアを展開する一方で、ジャマイカンファッションで人気の”網シャツ”(写真下)など、変わりダネも販売。

 

90年代のザ・ノースフェイスを蒐集

the Apartmentはウェアを販売する店舗のお隣に、雑貨のみを販売する店舗も構える。ローカルレストランのスタッフTシャツやコンビニで売っているようなアメリカの日用品を販売中。

 

 ザ・ノースフェイスのヴィンテージというと、アウトドア好きの間では70~80年代の茶タグというイメージが強いですが、コチラでは90年代のネオ・ヴィンテージなんですね。

大橋 マニアックなこと言うと、VFコーポレーション(ザ・ノースフェイスやヴァンズ、ティンバーランドなどを傘下に持つ、世界最大級のライフスタイルアパレル企業)に買収される前の、今のようなライフスタイル路線じゃなかったギアっぽいノースフェイスが良いんです。

~80年代のいわゆるヴィンテージと呼べるようなアイテムのコレクターはもっともっといるのですが、とはいえthe Apartmentにとっての“ザ・ノースフェイス”はアウトドアギアではなく、ヒップホップカルチャーのファッションとして存在しているので、90年代のノースフェイスがカラーリングやデザインが秀逸でハマるんです。パタゴニアとは違うレトロさがあるというか。ノースフェイスのそれは、今の言葉でいうとインスタ映えするんですよね。

 時代が90年代リバイバルですし、今はインスタグラム全盛ですし、ザ・ノースフェイスも人気がある。今の状況って面白いですね。the Apartmentのインスタグラムを見ているとシェルだけを何枚も色違いで並べたり、画面を埋め尽くすほど単一アイテムを撮影したり、一目見てワクワクしちゃいます。今の世の中ネット通販で何でも買えちゃうからわざわざ行かなくても、ってなってしまいがちですが、店に行ったら何かありそうという昔の買い物の楽しみが詰まっている感じがします。

 

90年代にプチトリップできそうなウォークマンやカセットテープもNYで買い付けてきたもの。ポップなカラーリングがコーディネートのアクセントに!?

 

大橋 売れる・売れないの基準で商品を買い付けてしまうと黒とネイビーとか無難な色、サイズもゴールデンサイズであるM、Lになってしまいます。ですが、僕らはそこをあえて無視して振り切るようにしてるんです。

 ド派手な色やXXLサイズも多いですもんね(笑)。

大橋 今はタイミングよくビックシルエットブームにハマるって凄く調子が良いですが、たとえブームが終わっても僕たちは変わらずXXL置き続けますよ。

大橋 カーハートのドッグウェアやドッグアクセサリーなど、並行輸入ならではのアイテムを販売したりするのですが、それを面白がって反応してくれるお客さんも多くて。変わったアイテムでも自分なりに使いこなすことのできる感度が高い人が、徐々に面白い広がりをつくってくれるんですよね。きっとメーカーもそれ気が付いているはずです。ナイキなんかも、昔人気が無くてワゴンセールになっていたようなモデルを今復刻させて人気になっていますよね。

 ダサいのを現代風に着こなすという楽しみ方は今っぽいですよね。普通に見たら日本人であんな派手なスニーカー履く人いるのかな? というモノも売れる時代。蛍光ピンクとか緑とか。そう考えるとヴェトモン、バレンシアガ、ルイヴィトンとかモードがストリートとくっついていますもんね。そして、その着こなしは少なからず日本発信のストリートカルチャーも影響を与えていると思うんですよ。こんな小さな島国ですがブランドも多いですし、そのうち海外で熱狂的なヴィンテージモンベルフリークとかが出てくるんですかね。

大橋 どんどん新しいジャンルのヴィンテージが生まれていますからモンベルフリークもきっと出てくるんでしょうね。最近でいうとイタリアのナパピリ。何年も前からNYで昔のナパピリをコレクションしている人たちがいて、僕たちもそこそこストックして水面下で盛り上がっていたんです。

ラルフローレンのコレクター集団であるLO LIFEの貴重な小物はショーケースの中で展示販売。

次に来るネオ・ヴィンテージは?

平 同じような感じでいうとNYのショップKITHとコロンビアのコラボも90年代風のデザインでかなり人気になりましたけど、コロンビアも盛り上がっていたりするんですか?

大橋 今はコロンビアが面白いのは事実ですね。KITHから火が着いてオープニングセレモニーのコラボやKanyeあたりが目を付けてるって噂もあります。

 昨今のシュプリームの転売とかじゃないですけど、この市場は流動的でプレミアが凄い世界ですね~。

大橋 NYのヴィンテージコレクターもザ・ノースフェイスが高騰したから別のブランドを集めて売ろうとか色んなものを探しています。リーバイスでもチャンピオンでもヴィンテージものは基本的にプレミア値段ですけど、90年代のネオ・ヴィンテージの世界の方はさらに変動相場制というか。良い状態のモノが多いという事もありますが、見方によっては市場を操作しやすいという側面もありますよね。僕たちはそのマネーゲームに参戦しないですけど。

僕らのザ・ヴィンテージの軸はラルフローレンとザ・ノースフェイスなのですが、ラルフローレンはNYのユダヤ系投資家が投資の一つとしてヴィンテージをえげつない量ストックしている人もいます(笑)。ラルフローレンのコレクターとして有名なデザイナーのエズラワインは、2018年に、20年かけて集めたラルフローレンのヴィンテージ100ピースを100万ドルで販売してニュースになっていました。

 今度はいいアイテムをため込んでおいて、大橋さんもエズラワインよろしくセット売りしましょう(笑)。

 

様々なブランドのデザイナーがサンプル見たさに足を運ぶ個人所有のアイテムを拝見。珍しいものを一気に放出することもあり、店の前に長蛇の列ができる時もあるそう。

 

平 時代の流れで、どんなアイテムがブームというのは絶対的にあるんですね。ちなみに大橋さんも好きなザ・ノースフェイスもますます人気が高まっているんじゃないですか? ここ最近は普通に街の中でザ・ノースフェイス着ている方が多いですよね。かねてからeYeコムデギャルソンジュンヤワタナベマンとはコラボをしていますが、サカイとかHYKEとか気鋭のファッション感度の高いブランドとコラボをしていたりもしますし。若い子もザ・ノースフェイスを着てればお洒落にアウトドアを楽しめるという安心感がありますもんね。

大橋 実は3、4年ぐらい前は、うちの店でもザ・ノースフェイスは今ほど売れてなかったんですよ。ヴィンテージモノは販売しているとネットで見た外国人がボチボチ買ってくれて、現行品は売れ残るモノもあったぐらいでした。しかし、それが2年ぐらいで益々人気が高まって、現行品も普通に完売続き。90年代のヴィンテージに至っては、数年の間に市場価格が3倍ぐらいで取引されるものがあるにもかかわらず、人気なんですよ。

平 市場価格が上がったのは、世界中で人気だから日本にも影響があったということなのでしょうか?

大橋 そうですね。ザ・ノースフェイスの90年代モノに関しては、NYでもそんなにコレクターはいなかったですし、日本でも片手で数えられるくらいでした。そんな小さい所で回していたんです。ですが、ヨーロッパのスニーカーマニアたちがヴィンテージスニーカーとのカラーマッチングの良さに気づき始め、インフレが起こったんです。ヴィンテージのスニーカーに関してもアウトドアの古着に関しても、スペインやイギリスをはじめ、ヨーロッパの人が一番ギークというか情熱的です。ヨーロッパの有名スニーカーショップの人も神戸のアシックスに打ち合わせに来たついでにウチに寄ってくれたり。業界関係者もいらっしゃいますね。

 日本人だけじゃなく外国の人がわざわざ吉祥寺の小さな店にめがけてやって来るっていうのは、相当嗅覚が鋭くて、よっぽど好きなんでしょうね。世界広しと言えど、90年代のヴィンテージに特化したお店ってなかなかないですね。

大橋 特にザ・ノースフェイスはアウトドアブランドの中でも偽物がめちゃめちゃ出回っているので、それの目利きが出来る人があんまりいないんですよ。90年代に限ってですけど、僕は何年の何というモデルだというのが分かりますが、世の中にはそんな偏ったマニアは少なく、店もないんです。

 

インスタグラムで世界に発信

「自分たちでもインスタに載せるときは色を揃えたりしてその良さを表現しているんです」 。

90's Mountainsmithのデッドストックキャップ。the Apartmentのインスタグラム(@theapartment_tokyo )では、入荷情報や買い付けの様子、吉祥寺のまちの様子を配信中。

 

同店のオリジナルブランド「STABRIDGE」も展開。こちらのk9周年記念アイテムは即完売!!

 

大橋 ある程度小さなもの、僕らみたいな小さな店でも、深く突っ込んでいくと世界のどこかで誰かが見てくれるという時代ですもんね。

 インスタグラムの普及で、いまや情報に国境は関係ないですもんね。発信力が凄いアカウントは世界のマニアの情報減になりますから。

大橋 僕たちがインスタグラムを始めたころにはまだ日本でも認知度が低く、今のような広がりが出ることが想像できていなかったんです。途中でやめようかとも思ったこともあるのですが、一点モノを売っている店の性質上、アーカイブとして残していたら、段々と広がっていきました。言葉が分からなくてもヴィジュアルとして見られるので外国のお客さんが反応してくれて。それで僕たちの提案したいことが広がるというのはとても嬉しいですね。

 

Address:東京都武蔵野市吉祥寺本町1-28-3ジャルダン吉祥寺106号

Tel:0422-27-5519

営業時間:12:00~20:00

http://www.the-apartment.net/

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