2018.06.04

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

CASKET ~紳士のための釣具店~

FILSON、ROKX、SIMMS、PATAGONIA、TAKE&SONS……。古今東西分け隔てなく、自分たちが使って気に入ったものだけを集めて販売。その様相はまるで洋服のセレクトショップだ。

規模こそ小さいものの、その品揃えと提案力で多くの顧客を持つフィッシングショップ「カスケット」。洗練されたオリジナルアイテムも展開しておりインターネット通販で全国に名を轟かせている同店だが、実は月に数日だけ店頭販売も行っている。今回は福岡の住宅街まで足を延ばし、大の大人も小躍りしたくなる釣り具の宝石箱(!?)、カスケットの実店舗をレポートする。

住宅街に突如現れるムーディ建物。その正体は?

モダンな建物の窓を覗くと、洋服と何やらギアが並んでいる。ここは土曜・祝日のみオープンしているお洒落釣り師の終着点。

 福岡のベッドタウン福岡県・春日市の閑静な住宅街の中に突如現れる、見ようによっては洋服屋とも、カフェとも思われる建物。レンガの壁に大きなガラス窓。扉を潜ると、ウッドで統一された什器に釣り具が並んでいる……。『カスケット』は、彼の地で20年続くフィッシングショップだ。
 CASKETという店名は英語で宝箱もしくは棺という意味。釣り人にとっての憧れの宝庫、そして釣り人生を全うさせてくれる棺のような存在になれれば。そんな想いが詰まっているのだという。
 店内にはその名に相応しく、大の大人が目を輝かせる一流の品々がセレクト、陳列されており、その気迫に自然と背筋を正そうとしてしまう。採光の良い窓、商品を際立たせる証明とウッドのインテリア、モダンジャズのBGM。町の釣具店の軒先で目にする『釣り具』のノボリはこの店にはない。

1アイテムに対して深く知って、熱を持って紹介

まずはじめにお出迎えしてくれるのはオーナーが釣った102cmのイトウの写真。トラウトフィッシングの源流でもあるブリティッシュな雰囲気の店内。クラシカルな設えで心躍る。

 福岡県春日市は今となっては住宅の密集するエリアとなったが、そのむかしは野池が点在した長閑な町だった。同店のオーナーである手島さんは祖父や父の影響もあり、幼いころから野池での釣りに親しんでおり、小学生の時からルアーフィッシングの洗礼を受け、釣りバカの道に進んでいったという。手島さんの祖父が経営していた釣り具店を引き継ぐ形で誕生したカスケットは、現在ブリッティッシュスタイルの釣りを提案、そしてオリジナルロッドの販売を行うショップとして全国に名を轟かせるようになった。
 シックな佇まいであることや、閑静な住宅地という立地であることの他に、更に隠れ家的ショップのような雰囲気を漂わせているのは、同店の営業日。店を開くのは毎週土曜日と祝日だけであるから、少ない月であればひと月に4、5日間しか店が開いていない計算だ。

「実は、時代にうまく乗れて、しばらく前から業務の殆どがインターネット通販になっているんです。ですけど、地域の人たちにも知っていただきたいですし、商品を手に取って試していただく場は絶対必要だと思っているので、コンセプトショップとして実店舗での営業も行っているんです」
 そう話すのは店長の古和さん。インターネットショップとして全国各地から注文が舞いこむが、店頭に並べる商品はそのごく一部。膨大なストックはインターネットで見てもらうとして、店では世界観を理解していただく事を優先した品ぞろえにしているのだという。

「カスケットは大型店のように多くのメーカーの品物を網羅するはできないですが、ブランドを絞って、特定のメーカーの美味しいところだけつまんでセレクトしています。また、どの商品も自分たちで使ってよかったもの、もしくは売れ残ったら自分が買いたいというものしか置いてません。1アイテムに対して深く知って、自分も熱を持って紹介することが重要だと考えています」

店長のコーヘイさんは特にフライフィッシングの担当。同店のWEBサイトに設けられたブログでは、日々の釣行の様子もアップ中。

"釣具屋なのに殆ど釣り具を置いていません"

ウェーダーやウェーディングブーツは徹底して専業メーカーであるSIMMSものだけをセレクト。そのぶん他店では真似できないほど多くのモデルを展開している。

好きこそものの上手なれ。興味のある分野に注力しているからこそカスケットにお客が集まり、リピーターが生まれるのだ。
「当店のセレクトはかなり偏っています。基本はトラウトのルアーとフライですが、店から車で30分も走るとヒラマサのメッカである玄界灘もあるので、最近はソルトウォーターも提案しています。渓流は半年しかできないので、オフシーズンは海でのヒラマサ釣りを楽しんでもらいたいなと。といっても海釣りの道具はオフショア界のパイオニアであるカーペンターというブランドだけしか扱わないんですけどね(笑)」

カスケットが扱っているブランドの絞り込みもなかなか英断と言えるが、商品群も相当ミニマム。釣具屋なのに店頭にはフックやライン、ルアーやフライを販売している気配がない。古和さん曰く、「釣具屋なのにラインやフックなどの釣り具をほとんど置いていません。ウェアや竿といったハード面に重きを置いていて、ソフト面である小物はネットで買ってもらうか普通の釣具店さんで買ってもらうようにしているんです」とのこと。どうりでこざっぱりして洗練されているわけである。

さて、週1日程度しか開いていない開店の日、お客さんが何を目当てにくるのかはそれぞれだが、やはり皆が手に取るのはオリジナルのロッド。ブランクのマンドレルの設計、テーパー、素材の選定……。細部のデザインまで考え抜かれたフルオリジナルのロッドは、暇さえあれば釣りをしているという同店スタッフたちの情熱が詰め込まれている。

カスケットオリジナルのロッドハンドルと、オリジナルブランド「コンクルージョン」のランディングネット。天然木を駆使した美しい表情が魅力で、メンテナンスをする時間すら楽しくなる。

「カスケットのオリジナル商品は絶対的に使いやすいという事は大前提として、部屋に置いておいて“絵になる”ことも重要視しています。ランディングネットもオフシーズンは飾ってくださいと推奨していますし、飾っておきたくなるモノを販売している自負があります。渓流用のタックルは半年は使わない期間がありますが、道具を眺めて思いを馳せていれば、一年中釣りを楽しめるんです」

釣らずして釣りを楽しむ、これ至高の釣り趣味なり。釣り好きの為のライフスタイルショップカスケットに足を運べば、そんな格言風なことも言いたくなる。インターネットで気軽にお邪魔してみるのももちろん結構だが、心穏やかな休日に隠れ家に訪れてみてはいかがだろうか。

カスケットではオリバーピープルスやレイバンなど、釣具屋では販売していないようなファッショナブルなサングラスも。偏光レンズ入りなので当然釣りにも持って来い。

カスケットはもともとルアーフィッシング中心のラインナップであったため、フライもルアー同様に完成品のものを販売している(写真のものはディスプレイの非売品)。

カスケットオリジナルのトラウトロッドは、ブランクスとハンドルを組み合わせることで完成する。装飾が施されたハンドルは使い手の心を紅葉させてくれる。

Address:福岡県春日市春日原北町1-3-10
Tel:092-581-1187
営業時間:10:00~19:00
店舗営業は土曜日・祝日のみ
http://www.club-casket.com/

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