2018.06.28

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

L’Eroica ~ヴィンテージ自転車の祭典、エロイカを走る!~

毎年、出場者の数がウナギ登りに増え、人気のヴィンテージ自転車イベントの代名詞となったL'Eroica(エロイカ)。今回は、実際に参加した谷口亮太郎氏にフォトレポートをしていただこう。

美しすぎる自転車の数々

L’Eroicaには1987年以前に生産された、クロモリフレームでコンポーネントもそれに準ずるというレギュレーションがあり、地元イタリアンブランドのヴィンテージレーサーはもちろん、このHetchinsのように素晴らしいコンディションのブリティッシュバイクも多く見られ、参加者の愛車自慢を眺めているだけでも充分に楽しめるイベントだ。

 2012年10月7日、かねてから興味があった、ヴィンテージレースであるL’Eroicaに出場する機会に恵まれた。場所はワインの生産地で有名なイタリア・トスカーナ州のキャンティ地方。世界中から5500人もの参加者が集うヨーロッパ最大規模のレースだ。
フィレンツェから車で2時間ほどの距離にあるこの、キャンティは、美しい山なみに延々となだらかなブドウ畑が続く、トスカーナらしいのどかな町並みが素晴らしい。キャンティ・クラシコとトスカーナ料理で有名なこの地は、観光客も多いと聞く。「こんな素晴らしいロケーションで自転車に乗れるなんて!」と考えるだけで、早くも胸が躍る。
会場到着後エントリーを済ませると、ゼッケンプレートとサイクルキャップをオリジナルのサコッシュに入れて渡され、モチベーションが一気に上がる。はやる気持ちを抑えながら、まずはレースの雰囲気を探るべく会場をチェックしてみよう。
 最初に目につくのが、会場中に止めてある素晴らしいコンディションのヴィンテージバイク。皆、この日の為に愛車を用意してきたに違いない。もちろん全てがプレミアムなバイクばかりではなく、皆がそれぞれのスタンスで楽しんでいる様子で、とかく機材ありきになりがちな他のヴィンテージイベントとは一線を画す。

 また、会場のいたる所でヴィンテージマーケットが開催されており、ヴィンテージバイクマニアにはたまらない雰囲気だ。ヴィンテージカンパニョーロ等のパーツやフレームはもちろんの事、ガラクタ? とも思える実用車のパーツや当時の書物、ウールジャージやその他の用品etc……。

 極端な事を言えば、手ぶらでレースに参加しても、お金を出せば全て会場内でそろってしまうという程の充実ぶりである。筆者も興奮を抑えられず、思わずポンプやパーツ類を購入。ワイン片手に陽気なイタリア人との値段交渉も楽しいひととき、まさにフリーマーケットの醍醐味。レース参加者はもちろん、観戦者も十二分に楽しむことができるイベントなのだ。

ポーズも決まる、さすがイタリアの伊達男!

老若男女とわず、様々な年齢層がそれぞれのレベルで楽しんでいるのもL’Eroicaの魅力のひとつ、スタート前の和気あいあいとした雰囲気の1コマ。レースらしい緊張感は皆無だが、ひとたび走り出せば、みんな真剣そのもの。

 L’Eroicaは38km、75km、135km、205kmとクラス分けがあり、それぞれのレベルで楽しめるようになっている。135、205kmクラスは早朝5時スタート、もちろん暗いのでライト点灯でのスタートとなる。

 筆者は75kmクラスにエントリーしたため、8時30分の、のんびりスタート。みんな和気あいあいとした雰囲気で、いわゆるロードレースのスタート前の様なピリピリしたムードは全然ない。皆カメラを向ければバッチリポーズを決めてくれる。この辺りはジャージを着ても流石に伊達男、是非とも見習いたいところだ。

 スタートライン付近は参加者が各々のお気に入りのバイクとジャージに身を包み、まるで当時のレースへタイムスリップしたような感じだ。参加年齢層も様々でまさに老若男女入り乱れてといった感じ。これは国内のイベントではまず味わえない雰囲気ではないだろうか? よくあるコスプレ的なイメージは微塵も感じられない程、とても自然にヴィンテージバイクライフを楽しんでいる様子だ。

いわゆる、プレミアムなヴィンテージパーツばかりではなく、実用車用のパーツの一部やありとあらゆるパーツ類が放出され、掘り出し物やお宝がいっぱい。お目当てが見つかったのか、L’Eroicaの名物おじさんもご満悦の様子。

自転車に負けないくらい、整備されたFIATで登場した彼は、レース会場で注目の的。ヨーロッパではあたりまえにライフスタイルの中でヴィンテージが根付いている。

パンク修理すら楽しい!

 いよいよスタート、最初は和気あいあいとしたスタートのムードに安心しきっていた筆者だが、いざ走り出すとみんな、かなりの本気モード。なによりも驚くのが自分の父親くらいの年配者(失礼)サイクリストの健脚っぷりだ。峠の登りでガンガン抜かされていく……。

 日本人の参加者が珍しいのか? 「ジャポネ!ジャポネ!」とみな声をかけてくれるのが唯一の励みになる。単なるヴィンテージ好きのお祭りとは違いバイクも人間もきっちり整備されてる感が実に素晴らしい。

 コースレイアウトは山岳がメインで50%以上が未舗装路という、慣れないと相当タフな設定。Wレバーにドロップハンドル、700cの細いロードタイヤでのダート走行は正直最初は戸惑うが、かなりスリルがあって楽しい。下りでちょっとでも気を抜くと即パンクが待っている。実際に路側のそこかしこにパンク修理のサイクリストが繁殖していた。しかし、そこはL’Eroica、皆パンク修理すら楽しんでいるように見える、穏やかでありながら緊迫したムードが共存している空気感がなんとも心地よい。

 このTextを書きながらL’Eroica参戦の興奮を思い出しつつ、来年の参戦プランを考えると今から楽しみで仕方がない。その前に自らのエンジンを鍛えるのが第一なのだが……。さて、最近では日本でも山梨県の富士五湖周辺や草津温泉で、エロイカジャパンが開催されている。本国Eroicaと同様、グラベルあり前夜祭ありの本格的なイベントなので、皆様お楽しみに!

登りも下りも未舗装路が延々と続く、パンクに注意しながら果敢に攻めるBROOKSチームヴィンテージバイクでのダート走行は本当に楽しい。

日本でもおなじみのアパレルブランドPEdALEDデザインのお揃いのジャージ&キャップでキメたイタリアンチーム。ネイビーTシャツの人物は有名なカスタムフレームビルダーのダリオ・ピゴレッティ氏。

当時の新聞や雑誌、ポスターなども充実。もちろん値段の交渉も可能で、店主とのやりとりがとても楽しいひととき。中には思わぬお宝も……。

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