2018.05.24

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

成層圏からの飛来物『1970 Lancia Stratos Zero Berto...

自動車ショーで華々しいスポットライトを浴びるコンセプトモデルは、カーデザイナーのお遊びであるとともに、本音でもある。1970年にベルトーネが世に問うたストラトス・ゼロは、刃のように鋭いシルエットにより、カースタイリングの新時代を切り開いた問題作だ。

浮世離れした体躯には魂が与えられていた

 分厚いベルベットのベールを掛けられていても、鋭いウェッジシェイプは際立っていた。
 カロッツェリア・ベルトーネが手掛けたコンセプト・モデル、ランチア・ストラトス・ゼロが人々の前に姿を現したのは、今から45年以上も前の1970年のこと。華々しいステージとして選ばれたのは、ベルトーネやランチアのお膝元であるトリノ・ショーだった。

 このクルマの最大のチャームは平たい面で低く鋭く構成されたクサビのようなボディである。だが現実的な視点で観察した場合に驚かされるのは、サイドになければならないドアがないことだろう。フロントウインドウ全体が大きく開閉することで乗降が可能になっているストラトス・ゼロが一般的なコンセプト・モデルと異なっていたのは、ランチア製のエンジンを車体中心に据え、実際に走行できた点である。

 デザイナーであるベルトーネは、前衛的なスタイリングばかりが一人歩きするであろう浮世離れしたこのクルマに、魂を与えたかったのである。その意思は後に世界ラリーで無敵の強さを誇ったストラトスHFとして結実する。だがモーターレーシングにおける数多の栄光をもってしても、1台しか産み落とされなかった原初、ストラトス・ゼロの衝撃を超えることはできない。

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