2018.05.14

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

とってたべる『ウツボ定食を作ろう!』

以前、九十九里捕ったヒラツメガニで美味しいラーメンを振る舞ってくれた玉置さん。今回は館山の港で海のギャングを釣って、定食を作ってくれることに。本業はライターなので、ウツボ釣りの極意をご自身の文章で綴って頂いた。

外道狙いのお気軽釣行

竿たて、伸びる網、竿を数セット用意して、場所やエサを変えて投げ込めば、短時間に効率よく釣ることができる。仕掛けを変えてウツボ以外の魚を狙うのも一興。

ウツボは嗅覚が発達しているため、臭いエサほど寄ってくるのではと予測して持参したエサは、先日釣ったサバ、賞味期限切れのチクワ、肝とゲソだけの自家製塩辛。

 グロテスクな魚ほど、食べると旨いという説を聞いたことはないだろうか。今回「とって食べる」生き物は、まさにその言葉がぴったりと当てはまる、海のギャングことウツボである。そんなの食べたことないよ、という人の方が多いマイナーフィッシュではあるのだが、実は白身のおいしい魚であり、高知県ならタタキ(カツオとは違ってしっかりと火を通したもの)で食べたり、千葉県ではナマダと呼んで干物にしたりと、昔から日本各地で地産地消されている食材なのだ。
 そんな愛すべきウツボなのだが、海釣りの世界では仕掛けを絡ませる上に鋭い歯で噛みついてくる厄介者として嫌われている。しかし、その旨さを知っている者にとっては、海水温の低い時期でも比較的簡単に釣れてくれる貴重な大物タンパク源。自称〝ウツボ通〞(さりげなく回文)の私としては、あえてウツボを狙って釣り上げ、最高のウツボ定食を作ってやろうではないかと思う訳だ。
 ウツボの釣ることは、ちょっと投げ釣りでもしたことがある人なら、そう難しくはないだろう。仕掛けを何十メートルも先まで飛ばしたり、小さなアタリを合わせたりする必要はないので、道具は釣具屋で安売りされているようなリール付きの投げ竿なんかでも構わない。
 ウツボが岩礁地帯の岩穴などに隠れ住み、強力な嗅覚でエサを探し、その鋭い歯で獰猛に捕食する肉食性の魚であるということを踏まえて作戦を立てれば、きっとウツボは釣れるはず。「思うツボ」ならぬ「思うウツボ」というやつだ。釣りの経験がなく、何を用意したらよくわからなければ、釣具屋へと出向いて「ウツボを釣りたいのですが……」と正直に話せば、きっと適当な道具を見繕ってくれるだろう。
 そこに居てさえくれれば、どんな魚よりも釣るのが簡単なウツボだが、もし手を噛まれでもしたら、そのダメージはどんな魚よりも大きい。水のない場所でもしばらくはウネウネと動けるため、陸に上げても一切油断は禁物。ウツボが掛かったら岩陰に潜られないよう一気にリールを巻き、柄の長い網ですくい上げ、糸を切ってクーラーボックスへと入れよう。

キャッチ&イートが玉置流

釣れたウツボを無理に抜きあげようとすると、あっさりと竿が折れたり糸が切れたりするので、必ず網ですくい上げよう。

クーラーボックスにウツボを入れたら、たっぷりの塩を振りかけて、すぐに蓋を閉めよう。「青菜に塩」ならぬ「ウツボに塩」で、大人しくなってくれる。

この日は、ものの1時間で3匹のウツボを釣り上げることに成功。簡単に捕獲可能な食材としては、最大級のボリュームといえるだろう。

煮て、焼いて、捌いて、揚げて旨い!

蒲焼といえばウナギだが、ウツボの蒲焼もなかなかのもの。アルミホイルをかぶせて蒸し焼きにすると、火の通りが早くなる。

薄切りにしたものをカラッと揚げれば、ビールのつまみに最高のウツボチップスとなる。下味にカレー粉を使ったものが一番のお気に入り。

骨ごとブツ切りにして煮込んだスープは、「海のジビエ」と呼ぶべきワイルドな風味を秘めた、他に似たものがない味だ。

ウツボ丼完成!

 ジビエと呼ばれる食材の多くがそうであるように、ウツボも不要な臭みを避けるため、捕まえてからなるべく早く、そしてしっかりと下処理
をする必要がある。新鮮なうちに頭を落として内臓を取り出したら、たっぷりの塩を全体に揉みこんで、匂いの元となるぬめりを洗い流そう。あとは水気をしっかりと拭き取れば、恐ろしい顔でこちらを睨んでいた奴等も、ゼラチン質たっぷりの高級食材へと早変わりだ。その美しい白身はクセがまったくなく、刺身でもおいしく食べられるほど。一度でも味わえば、ウツボを狙って釣ることの意味を分かってもらえるだろう。また、硬い皮は一見すると不味そうだが、これを加熱するとネットリとして、旨味がたっぷりなのである。特に揚げ物との相性が良く、しっかりと下味を付けた唐揚げは、ウツボ独特の風味が苦手だという人にもお勧めだ。
 さて、このように腕の振い甲斐があるウツボという食材だが、残念ながら小骨がとても多いという困った問題を抱えている。指の腹で触って骨のある場所を確認しつつ、調理方法に合わせて身を切り分ける必要があるのだ。特に骨が多い尻尾側は、ハモのように細かく骨切りをするか、面倒であれば食べながらプイッと骨を出すことを前提に料理しよう。

甘辛いタレをたっぷりと塗りながら焼きあげて、熱いご飯に乗せればウナ丼ならぬウツボ丼の完成だ。ウナギほどの脂はないが、ふっくらとした厚い身を楽しめる。

text:Yutaka Tamaoki / photo:Yoshiro Yamada

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