2018.06.06

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

ビエラでランチアと豊かなヴィンテージライフを送る

ミラノから北西へ一時間半。ビエラという街に、ストラトスをはじめとするヴィンテージカーが、ズラリと並ぶお屋敷がある……。という噂を聞いて、ここグイド氏のお宅にお邪魔させていただいた。

書斎にはストラトスのモデルカーがいたるところに。ランチア関係の本も天井まで収納されている。

 紹介していただいたのは、イタリアはビエラ在住で街中をポルシェ356で案内してくださった、エドアルド氏。取材させていただくオーナー様は午前中までは、パリにあるもうひとつの家にいらっしゃったということ。夕方お邪魔したのだが、門に入ってからしばらく道を走ると、高台にはクルマ寄せのある大きな建物が建っていた。

公園のような邸宅とゆったりとした時間

高台に建つアヴァンデーロ邸。一般の邸宅というよりも、そのスケールは公園、もしくはリゾートホテルに近い。

 大きな建物から出迎えてくれたのは、真っ白なシャツにさわやかなグリーンの短パン。そして、スリッポンが似合うグイド氏。彼のあとには、白と黒のレトリバーが寄り添うようについてきている。「よーしよし、ほら、あっちだお前、カメラ見ろよ」一見すると、お洒落なチョイ悪オヤジ。しかし、その存在感はただものではない。

 「なんか飲むかい? 暑いから中に入ろう」と通してくれた部屋には、壁一面の剥製。床にもありとあらゆる動物の毛皮が敷き詰められ、うっかりライオンの頭やシマウマのたてがみにつまづきそうになるほど。2m以上もあるシロクマも仁王立ちしており、取材班がすっかり面食らっていると「シロクマはここを狙うんだ、耳の下の首の……象の場合はここ、眉間の下のあたりかな」と教えてくれた。

 趣味はハンティング。部屋に貼った世界地図には、いたるところに赤いピンがささる。これまでハンティングで訪れた場所を記しているのだ。「シロクマはカナダの上のほう。このモノクロ写真。虎と写っているのは私の母親。彼女はハンティングの名人だったんだ」

 部屋には代々使っていたヴィンテージのライフルがずらりと並ぶ。

イタリアで最も権威のあるカークラブ、クラブイタリアは政界とも強いつながりがあり、かつて空母を借りての催しも開催された。

ハンティングもヴィンテージ

それぞれのライフルには年号がかかれている。こちらはヴィンテージもの。狩猟はクルマと同じ昔からの趣味なのである。

自然な表情の剥製が拘り

様々な動物の剥製が並ぶ別棟の一室、奥にはなんと巨大なシロクマの剥製。中央の世界地図にはこれまでハンティングをしてきた場所にピンが刺さっている。カナダ、アフリカ、南米、獲物は世界中だ。

剥製にも上手い下手があり、作り方で凶暴な表情で作ったりする人が多いのだが、グイド氏は動物の顔を自然に仕上げるのが好みだとか。アフリカで撃ち、毛皮を塩漬けにして持って帰るそうだ。

ハンティング仕様の40’sジープ

1943年製のジープはコレクターから購入したもの。ウインチが装着されているのはとても珍しく、ポルトクチーレという鉄砲を置く台もオリジナル。「スズキの方がいいかな?」と冗談を飛ばすグイド氏。

クルマ寄せを横から撮影したところ。左がガレージで右はお客様の駐車スペース。奥は途方もない庭というか公園。

モンテカルロラリーの優勝車もここに

1976年のモンテカルロラリーにシャルドネ・チームからエントリーし、2台のワークスカーに次いで3位を得たというランチア・ストラトスGr.4。屋根にはメカニックでもありドライバーとしても有名なマリオーリのサインが入る。

1977年にサンドロ・ムナーリ/マイガがモンテカルロ・ラリーで優勝したマシンそのもので、グイド氏のコレクションの中でも最も有名なストラトスがこちら。

現在もイベントで激走するレーシング・ストラトス達

壁にはストラトスに関する当時のドキュメントが飾られる。こちらはベルトーネのマークが入ったストラトスの側面図。

1992年、ランチアワークスチームのデルタ・インテグラーレ・EVO2。A.アギーニ/S.ファルノッキアがドライブした。

 さて、グイド・アヴァンデーロ氏は、イタリア最大の運送会社「サイマ・アヴァンデーロ」の社長として活躍していた人物。その歴史は古く、ビエラの街が織物で一番栄えていたころの運送事業で多くの財をなし、現在もなおイタリア最大の運送会社として君臨しているのだ。

 グイド氏自身は現在事業を引退しているが、世界的にもストラトス&ランチア屈指のコレクターとして有名である。

 ガレージの中は、’77年のモンテカルロ・ラリーで優勝したワークスのほか、同ラリーで’76年に3位に入ったレーシングカーや、当時スペアカーとして製作された個体がズラリとならび、どれもが抜群のコンディションで保管されている。バッテリーがあがらないように、どのクルマもコードにつながれていて、いつでも走れるようになっていることが印象的だ。じつは、これらのクルマは、イベントなどに呼ばれることもあり、常に最高の状態を保っていることが重要。実際、有名なゼッケン1番、アリタリアカラーのストラトスは、今年もラリーイベントに参加している。

 ちなみに、グイド氏がこんなにもストラトスを愛しているきっかけとなったのは、ストラトスのドライバー、メカニックとしても有名な友人のクラウディオ・マリオーリ氏によるところが大きいとか。彼のショップを訪ねているうちに、すっかりストラトスの魅力にはまってしまったようだ。このビエラという街は、ストラトスなど、ラリーカーの名チューナーが普通にガレージを構えているなど、ラリーが街に根付いている。そんな土地柄も影響しているのかもしれない。

フィアット・アバルト1000 ビアルベーロ。ビアルベーロとはDOHCのこと。’60年代はじめ、ビアルベーロGTは各国レースで1000cc以下のクラスの最強マシンとして活躍した。

グイド氏のビアルベーロは1kmも走っておらず、内装もご覧のミントコンディション。「これ、売ろうかなと思っているんだけど『VINTAGE LIFE』の読者、興味ないかな?」とのこと。

道具として使い込んだウォッチの数々

ヴィンテージロレックスの数々は、どれも傷だらけの猛者どもばかり。上の左からデイトナ、GMTマスター、サブマリーナ。下の二つは自動巻のオイスターパーペチュアル。ゴールドとシルバー。ナイロンベルトの使い方もお洒落。

 「『VINTAGE LIFE』って、時計も紹介してるんだね。私も時計何個か持ってるけど、持ってこようか?」ガレージの撮影が終わった頃に、弊誌を眺めてそう話してくれたグイド氏。書斎の上に置かれた箱を、剥製がズラリと並ぶ部屋に持ってきてくれた。

 「昔のロレックスはいろいろあって、これは父親が15歳くらいのときにくれたんだよね、だから54年前になるかな」箱を覗き込んでみるとヴィンテージウォッチが無造作にガラガラっと入っている。お父様にもらったというGMTマスターは、ダイアルがほとんど剥げている年季の入ったもの。使い込んだ感じがなんとも格好いい。

 ロレックスのデイトナもパテックのヴィンテージも、道具として実用使いに徹しているところがなんとも魅力的に見える。その日の雰囲気でセレクトするという時計達。クルマも時計も、ヴィンテージが好きなグイド氏なのであった。

 「奥さんとの結婚記念日にカルティエで作ったんだよ」と、見せていただいたのが、こちらの時計。一見すると極薄の普通のコイン。でも中を開けると時計! 金の光り方も美しく、こんな個体をさらっとプレゼントするなんて、奥様もさぞ喜ばれたに違いない。

ランブレッタはインテリアの一部。左にはいくつもの部屋があり、動物の剥製がまだまだ飾られていた。

パリから戻ってきたばかりのグイド氏だったが、快く取材に応じていただいた。イタリアの豊かなヴィンテージライフを垣間みることができ本当に感謝!

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