2018.06.18

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

アルファ・ロメオの伝統を語り継ぐために

 熱心なアルファ・ロメオ・フリークを自認するアルフィスタであっても、イタリアで1972年に結成された「alfa blue team」の概要やヒストリーを熟知している方は少ないだろう。

 実は14年前から1974年式アルファ・ロメオを愛用し続けている筆者も「alfa blue team」の存在を知らなかった。お恥ずかしい話だが、自分でも驚くほどノーマークだったので、今回「alfa blue team」の全貌に触れ、非常に興奮してしまった。興奮してばかりではいられないので筆を進めよう。当施設(当クラブと言ってもいい)の概要を説明すると、こういうことだ。戦後のアルファ・ロメオを彩ってきた生産車をコレクションしているプライベート・ミュージアムである「alfa blue team」は、一般公開していない特別な空間として長年保守されてきた。

 そのため、一部のアルファ・ロメオ・マニアしかその存在を知らなかったが、1910年創業のアルファ・ロメオが去る2010年に記念すべき100周年を迎えたことをきっかけとして「alfa blue team」も様々な催しを実施するようになり、徐々にマニア以外の一般的なアルファ好きにも私設博物館の存在および活動内容が知られるようになっていった。

エントランスからして雰囲気満点

 既述したように「alfa blue team」はプライベート・ミュージアムということで、他団体のサポートを受けることなく、クラブ員たちの自己資金によって維持されてきた。ちなみに、クラブ員になるためには、毎週木曜日に開催されている講習会やイベント等に参加し、真のアルフィスタであるかどうかを試された後、クラブ員たちと4〜5年行動を共にすることがまず求められる。そして、全クラブ員の総意として仲間になってもOKとなった場合のみ、入会許可が出る流れとなっている(筆者が入手した情報によると、2011年の年末時点での総会員数は29人だった)。

 勢いついでに毎週木曜日に開催されている講習会についても述べておくと、ある時はデザイナー、またある時はエンジニア、ドライバー、開発責任者といったアルファ・ロメオの歴史に深くかかわったゲストを招いた講習会が行なわれており、毎回、クラブ員たちは自身の知識をさらに深めている。

 質疑応答の時間も設けられているらしいが、「alfa blue team」の中にはアーカイブや図書室等もあるため、クラブ員たちは女人禁制の夢空間内にて、アルファ・ロメオの輝かしいヒストリーや自動車文化を超マジメに勉強しているのであった。

思わず壁にかけられたジュリアTI(イタリア国旗カラーのストライプが嬉しい)に目がいってしまうが、よく見るとフロアにも珠玉のアルファ・ロメオが驚くほどたくさん置かれている。

他年式同車同室内で展示

左から1958年式ジュリエッタ・スプリント・ヴェローチェ(ベルトーネ・デザイン)、1964年式ジュリエッタT.I.、1957年式ジュリエッタT.I.、1956年式1900SS(トゥーリング・デザイン)。

 世のアルファ・ロメオ好きの多くが"これほどたくさんのアルファ・ロメオの生産車が一堂に会している場所は他に無い"という言葉で「alfa blue team」のことを称賛するが、当プライベート・ミュージアムには現在200台以上ものアルファ・ロメオ(すべて個人所有車)が所蔵されている。

 当初、約20台のアルファ・ロメオを集めてスタートしたらしいが、その後、順調に仲間が増えていった。1992年に鋳造所を改造して造られた現在の建物に移転し、今日に至っているが、この40年間でアルファ・ロメオの所蔵数が10倍になったわけだ。

 「alfa blue team」の設立者のひとりであり、現在も代表を務めているGianfilippo Salvetti氏が集めているのがアルファ・ロメオの商用車なので、「alfa blue team」は所蔵台数の多さと共に稀少車の宝庫としても世界的に知られている。

 具体的に述べると、アルファ・ロメオのジェラート販売車、消防車、救急車、霊柩車などなど、"本当にこんなアルファ・ロメオがあったの?"と思わずクビをかしげてしまうような車両もたくさん置かれているのであった。この深遠さこそが「alfa blue team」の神髄であり、またGianfilippo Salvetti氏の好事家ぶりを物語る要素のひとつとなっている。

こんなにもたくさんのジュリエッタがずらりと並んでいる姿を見たことがある日本人は少ないだろう。イタリア人は赤いクルマを買わないが、この写真がそれを物語っている。

Gianfilippo Salvetti氏が設立した出版社FUCINAでは、これまでに数多くのアルファ本をリリースしてきた。昨年はアルファ・ロメオ博物館の秘蔵車を紹介する『alfavelate』を出版。

規模の大きさは世界屈指

「alfa blue team」が現在利用している建物は、もともと鋳造所として使われていたもの。そこを改造して造られた建物に1992年に移転した。博物館という名に相応しい広さを有している。

 なお、1998年にGianfilippo Salvetti氏はアルファ・ロメオ好きが高じてFUCINAという名の出版社まで設立してしまったが、同社が昨年出版した『alfavelate』(ハードカバー仕様/160ページ)という本は、アレーゼにあるアルファ・ロメオ博物館の地下に置かれた(=放置された)超マニアックな車両にスポットライトを当てている。

 どのページにも"本当にこんなアルファ・ロメオがあったの?"級のクルマがなんの迷いもなく紹介されていて、アルファ・オーナーの端くれである筆者でさえビックリしてしまったが、この、どこまでも我が道を突き進んで行く潔さが「alfa blue team」の独自性を支え、育んできたのだと解釈できるだろう。
 これからも「alfa blue team」は、アルファ・ロメオ特有の個性を死守し続けてくれるに違いない。

建物の外観は非常にシンプル。「alfa blue team」のロゴが入った看板を見ればアルファ・ロメオ・フリークはその素性を理解し、ときめかずにはいられない。

3500GT以降のマセラティがほとんど揃っている点も「alfa blue team」ならではのポイント。左からメキシコ4.2(1969年式)、クアトロポルテ(1969年式)、ギブリ4.7(1968年式)。

商用車も多数ディスプレイ

 ここまで読み進めてきて、イタリア製レーシングカーのナショナルカラーがレッドなのに、何故に「alfa blue team」? と思った方が多いだろうが、赤ではなく青となった背景には、'50〜'70年代にかけて世界を制覇する勢いだったイタリアのトランプ競技“ブリッジ”のイタリア代表チームの名が“BLUE TEAM”であったことが深く関係している。

 実はGianfilippo Salvetti氏の父親(Alessandro氏)がチーム代表を務めた'70年代に"BLUE TEAM"が3つの世界王座を獲得したことがあり、自然な流れで「alfa blue team」と命名されたのであった。

 そういったこともあり、Gianfilippo Salvetti氏の気持ちの中では「alfa blue team」もイタリア代表なのだ。その熱き想いが、現在その存続が危ぶまれているアルファ・ロメオ博物館に向けられている。稀少車の分散を阻止するために全車を「alfa blue team」に移管してほしいと思っているのは筆者だけではないだろう。

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