2018.05.22

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

とって食べる「鰍(カジカ)の骨酒で一献」

今回、珍魚ハンターの玉置さんが紹介するのは海釣りではなく川釣り。清流を好むカジカを釣って食べてやろうと、メッカとも言われる栃木県は鬼怒川にやってきたのだ。

一番簡単な渓流釣り入門

水面で反射する光を抑えてくれるのが偏光グラス。これを掛ければ水中の様子が観察しやすくなり、目も疲れにくくなるのだ。 冷たい水の中にジャブジャブと入るスタイルの釣りなので、ウェーダーの着用が無難。 移動しながらの釣りとなるので、替えのエサや飲用水等、必要な荷物はヒップバッグにまとめて持ち歩こう。 生きている魚はヌルヌル。せっかく釣れたカジカに逃げられないためには、ネットに入れて網の外側から掴み、ハリを外すと滑らず確実だ。

カジカ釣りの仕掛けは、ハリの2センチ上に小さなオモリを付けるだけ。エサはイクラが一般的。

 秋になるとイワナやヤマメなどの渓流釣りは禁漁期間に入るが、その頃に最盛期を迎えるのがカジカ釣りである。カジカとは体長10センチ程のハゼに似た魚で(海のカジカは別種)、小さいながらも旨味が強く、ダシをとるのにも最高。

 そんなカジカの釣り方だが、これがとっても単純だったりする。長い渓流竿や高いリールは一切不要。仕掛けは1メートル前後の安い竿に、10センチ程度の糸の付いたハリを結び、ガン玉と呼ばれる小さなオモリを付けるだけ。釣り方だって簡単だ。エサとなるイクラをハリに刺したら、カジカが潜んでいそうな岩の隙間に上流側から流し入れる。首尾良くカジカが食らいつけば、ポケットに入れた携帯電話の着信よりもハッキリとした振動が竿を通じて伝わってくるので、あとはそっと抜き出してやるだけだ。このシンプルな釣りが楽しいのである。

 カジカがよく釣れるポイントは、隠れ家にちょうど良さそうな石がゴロゴロと転っているような清流。もちろん水は綺麗なほど好ましい。少し深めの場所を攻める場合は、川底の様子が丸見えとなる箱メガネがあれば断然有利。
 「この穴なら絶対いるに違いない!」と睨んだ場所から一発でカジカが出てきようものなら、心の中でガッツポーズをすること間違いなしだ!

労を惜しまないのであれば、石を裏返してカワゲラの幼虫などを捕まえて、エサ代をタダにすることもできる。

箱メガネで覗きながら釣れば、エサに飛びつくカジカの姿を見ることができるぞ!

簡単そうで難しいのがカジカ釣り。ボウズに終わった編集の鈴木さんに自慢する筆者。

酒もつまみも締めもカジカ

見た目はかなりグロテスクだが、上品な旨味を秘めている。醜い魚ほどうまいのだ。

 川の魚は鮮度が命。カジカをおいしく食べるためには、生きているうちに現地で調理するのが一番だろう。その日食べる分だけのカジカを調達したところで、近くのキャンプ場へと場所を移動。

 本日のメインテーマは「カジカの骨酒」で一献。小さいながらも旨味の濃いカジカは、骨酒のようにダシを楽しむ料理には最適の食材なのだ。まず生きたカジカをそのまま網に乗せて、炭火でじっくりと焼き枯らす。食べてちょうどいいくらいの焼き加減では酒が生臭くなるので、水分を完全に飛ばしつつ、焦がさずカラカラの乾物状態に仕上げるのが一番のコツ。
 カジカを焼いている間に、つまみの準備もしておこう。エラと内臓を抜いたカジカに塩を振り、全体に片栗粉をまぶしたら、まずは低温の油でじっくりと揚げて、一度取り出して冷めるのを待ってから、高温の油で揚げ直す。二度揚げすることで骨までバリバリと食べられる「カジカの唐揚げ」のできあがりだ。

鍋奉行ならぬ炭奉行。焼くというよりは乾かすというイメージでじっくりと水分を飛ばそう。

胸ビレがガっと開いた状態になるのは、新鮮なカジカだからこそ。

カジカのダシをたっぷりと吸ったにゅうめんで、カジカんだ体もすぐに温まることだろう。

一見すると固そうなカジカだが、二度揚げすることで骨まで美味しく食べられる。

 さあカジカが上手に焼けたところで、かなり熱めにお燗した日本酒に入れてしばらく待つ。すると酒がゆっくり色づいてくるので、味の変化を楽しみながら、ちびりちびりと楽しもう。骨酒と言いつつも身ごと丸ごと使った贅沢な一杯は、フグのヒレ酒にも負けない旨味が染み出ている。小さなカジカ一匹で、ここまで味が出るものなのかと驚くこと請け合い。地元の純米酒を使って作り、冷や酒と飲み比べるのも一興である。車の運転が控えている方は、焼いたカジカを持ち帰って、自宅でのんびりお楽しみください。
 カジカから染み出る絶品の旨味を楽しむ方法が、骨酒だけではもったいないぞということで、アウトドアでも簡単にできる「ワンポットにゅうめん」で締めの一品を作ってみよう。焼き枯らしたカジカを水から煮てダシをとり、そこに夏の名残のそうめんをそのまま入れて、茹ったら濃縮タイプのめんつゆを加えるだけ。
 元々めんつゆには鰹節や昆布のダシが入っているのだが、そこにカジカの旨味成分がプラスされることで、ちょっとほかでは食べられない逸品に仕上がった。このカジカの持つ旨味のパワーを、私は「カジ力(かじりょく)」と呼んでいる。
 カジカ釣りは河川を管轄する漁協によって漁期が決まっている場合があり、今回訪れた栃木県の鬼怒川であれば、11月いっぱいまで。遊漁料は一日1,500円。漢字で「鰍」と表すカジカを釣って、そして食べて、五感を通じて秋を感じてみてはいかがだろうか。
 ちなみに単純な釣りだからといって、簡単に釣れるかというと、そうとは限らないのでご注意を!

酒を直接温めると温度調節が難しいので、できれば湯煎方式でお燗をつけよう。

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