2018.05.24

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

Klean Kanteenが見据えるエコフレンドリーな社会

今回、初来日を果たしたクリーンカンティーンのCEOジム・オスグッド氏に、独占インタビューをする機会を得たHUNT編集部。日本メディア初接触という事なので、知っているようで意外と知らないクリーンカンティーンについてのあれこれを尋ねてみた。

安全でエコなステンレスボトルの始まり

 アメリカはカリフォルニア州・チコに本拠地を構える、ステンレスボトルブランド「Klean Kanteen」。彼らの製品の特徴は、ダブルウォールの真空断熱材による高い保温性やスタイリッシュなデザイン。そして人体に悪影響もないことから、アウトドアを楽しむ人たちをはじめ、オフィスワーカー、果ては赤ん坊にまで愛用されている。当然その名を聞いたことがある人も多いであろうが、保温性や高いデザイン性は手段でしかなく、真に目指しているのは"使い捨て"の廃絶、ひいては地球環境の保全にあるというのだ。 今回はCEOのジムさんに同社の取り組みについて語っていただいた。

――2004年、それ以前にはプラスチックやアルミしかなかったボトル市場に、ステンレスボトルを投入したクリーンカンティーン。その登場によりステンレスのボトルブランドが様々出てきましたが、そもそもステンレスを使うという発想のきっかけは何だったのですか?

 クリーンカンティーンの創設者であり発明家、そして環境保護団体のスピーカーでもあったロバート・シールズは、かねてからプラスチックの有害性を懸念していました。ある時彼が参加した集まりで、ペットボトルの問題についてスピーチしている人がいたそうです。その人は片手にペットボトル、片手にフライパンを持って「このフライパンに使われているステンレスを利用してボトルを作ってみんなで使えばゴミも少なくなるのに」。と、半ば冗談で話していたそうですが、ロバートは俺なら作れるかもしれないと一念発起。早速ホームセンターでステンレスを調達して試作を始めました。プラスチックは安価であるものの有害物質のBPA(ビスフェノールA)が含まれるうえ、耐久性、再利用性が低い。しかし、ステンレスならBPAフリーで何度も繰り返し使う事もできたのです。3か月ほどでプロトタイプが完成して、それから本格的に商品販売できるようになったのが2004年でした。

クリーンカンティーンCEOのジム・オスグッドさん。環境保護活動にも熱心で1% for the planet(売り上げの1%以上を、承認された環境保護団体に寄付する非営利団体)の理事も務めている。

――発売以来シェアを広げて、今では世界中で販売されていますが、クリーンカンティーンのヒットのきっかけとなる出来事は何かあったのですか?

 それまでに明確な研究結果が無かったのですが、2008年に乳がんの研究者よりBPAが与える悪影響について科学的な裏付けが発表されました。それにより2010年からカナダでBPAを含む哺乳瓶の禁止措置をとり、アメリカにもフリーBPAの意識が広がっていきます。当時我々の製品の様にBPAフリーのステンレスボトルは少なかったこともあり、クリーンカンティーンが爆発的にヒットして、2008年は前年の8倍もの出荷量となりました。

クリーンカンティーンを使うとゴミも減る

――クリーンカンティーンはアウトドアのイメージが大きいですが、製品を見ているとフードキャニスターや哺乳瓶まで展開しているので、やはり日常使いというのは意識しているのですか?

もちろん自分たちもアウトドアが大好きですし、アウトドアショップで販売されていることが多いです。しかし商品はそこの垣根をあまり考えずに、日常使いしてもらえるようなものをと考えています。自然を愛して、環境を大切にしている人にこそ普段からクリーンカンティーンを使ってほしいですね。アメリカで流通するペットボトルは、4つに1つしかリサイクルされていない状況で、つまり使えば使うほど、ゴミが生まれてしまいます。使い捨てじゃないモノへシフトする、その選択肢として自分のボトルを持っておく。このアクションをすることで世界が変わると考えています。
ある時、Appleのコアブランディングの一環で、クリーンカンティーンがアップルのロゴを入れたボトルを作ったことがありました。カリフォルニアにあるAppleの本社では、それまで1日で約3200本もペットボトルごみが出ていました。それが1週間、1か月、1年と積み重なっていくと、天文学的な数字になります。Appleが社員の皆さんにクリーンカンティーンを渡し、それを社員が使うだけで、随分な環境保全に取り組めたんです。

「Bコーポレーション」とは、環境、社会に配慮した事業活動を行っており、アカウンタビリティや透明性などB Labの掲げる基準を満たした企業に対して与えられる民間認証。クリーンカンティーンも毎年認証をクリアしている。

――クリーンカンティーンボトルが発売されて16年を迎えるわけですが、ブランドとしてこれまでどんな変化がありましたか?

 年を重ねるごとに、ユーザーにとって安全であること、環境に低インパクトであること、エコであることについての意識がどんどん高くなってきました。現在は製品を送り出すというよりも、製品を通して人々の環境意識と自然環境を変えていくことに重きを置いています。実際に2008年には1% for the Planetに登録し、2012年からはBコーポレーションに認可されるなど、しっかりと取り組んでいます。

――日本でもイベントに出店されていますが、世界ではどんなイベントに参加していますか?

クリーンカンティーンは世界51か国で製品を展開、多くの国でビーチクリーンやリバークリーン活動への参加をはじめ、環境保全の啓蒙活動をしています。アメリカでは年間約80のイベントに参加し、音楽フェスではパイントカップを配って使い捨てのカップを無くしたり、ボトルに給水できるようにウォーターステーションを設けたりと、楽しい形で環境に目を向けてもらい、ごみ削減につながるアクションを起こしています。また、アプローチとして変わっているのはイギリスのある議会で、クリーンカンティーンを使ってもらっていること。また、コスタリカ等では、子どもにクリーンカンティーンをプレゼントし、小さいころから正しい環境意識を持ってもらえるようにと活動しています。

――クリーンカンティーンの日本代理店、エイアンドエフの社内にもペットボトルのごみ箱がないそうですが、ジムさんのいるアメリカ本社ではどんな環境保護活動をされていますか?

 クリーンカンティーンの社内ではシングルユース(使い捨て)を禁止しています。更に、オフィスに来られる方がもし使い捨てのモノを使っていたら、その影響について指摘し、我々の考えをはっきりお伝えしています(笑)。また、使い捨てのモノの悪い所は、無駄に搬送が必要になってCO2が排出されてしまう事でもあります。なので基本は地産地消、ローカルで資源を回すという事も重要な事です。本社があるカリフォルニア州・チコはウォルナットの木材の産地なのですが、どうしても使えない部分や端材が出てしまいます。最近リニューアルした私たちの本社は、それらの木材を活用して施工してもらい、資源を無駄なく使っています。また、オフィスの電力の110%をソーラーパネルで賄うなど、できる事は何でも取り組むようにしています。

クリーンカンティーンはSUBARUとサポート関係にあるそう。カリフォルニアの本社の社用車は全てXVのボクサーディーゼル車。

本社ではボトルやフードキャニスターがあるのは日常の光景。日々の選択が自然環境の保全につながる。

――アメリカではコンビニにドリンクサーバーがあり、自前のボトルに飲み物を注ぐことができますが、日本ではコーヒーショップなどを除いてそのような場所はあまりありません。かといってペットボトルに入ったものを買って注ぐとなると本末転倒になってしまいます。国、世界単位でこれから変わるべき点があるかと思いますが、使い捨てを無くすためにはどんな風に変わってほしいと考えますか?

 日本とアメリカの2国間でさえ違うのですから、世界的に見ればそれぞれの市場ごとに使われ方に違いがあるかと思います。理想としては外出先で飲み物をリフィルできる環境が整えばいいと思うのですが、まだごく一部でというのが現状です。それを整備するには我々だけの力ではどうしようもないですね(笑)。自分たちにできることは、自宅から持ち出した飲み物をより状態よく外に持ち出せるようにすることかと思うので、引き続き保温性を高くすることに力を注いでいこうと思います。

 インタビューを通してクリーンカンティーンが如何に人と自然に優しい製品を生み出し、活動しているかが分かった。最近では人体と環境に悪影響を及ぼす成分を完全に除去した塗装「Klean Coat™」を開発し、今シーズンから製品に採用。新しい技術を用いながらこれからも環境保善に取り組んでいくのだろう。

【お問い合わせ】
A&F COUNTRY 本店
Address:東京都新宿区新宿6-27-56新宿スクエア 1F
Tel:03-3209-0750
https://www.aandf.co.jp
https://www.kleankanteen.jp/

A&Fカントリー本店のクリーンカンティーンコーナー。アクセサリーも充実しており、タイミングが良ければ限定コラボレーションアイテムも並ぶ。

ノーペイント、ノープラスチックを実現した、リフレクトボトルとビアグロウラー。二重の真空構造でドリンクの保温性もバッチリ。

軽量なシングルウォールのパイントカップも人気のアイテム。ショップでは色紙代わりに飾ってあった。

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