2018.05.24

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

とって食べる「美味しい外道狙い! 手軽で楽しいギンポ釣り」

そのルックスから、釣り人にとっては外道として扱われる魚、ギンポ。しかし、今日からその考えは改めよう。揚げてよし、揚げてよし(!?)な江戸前の高級魚を、簡単な仕掛けで釣るという贅沢は、一度やったらハマってしまうかも。

今回狙うのはこれだ!

ギンポ

浅場の岩影などに生息する20センチ程の細長い魚。堤防からの釣りでは定番の外道で、ヘビのような姿のため逃がす人も多いが、実は江戸前の天麩羅には欠かせない高級魚。そのムッチリした肉質を知ってしまうと、リリースしようとする人から奪いたくなるほどの美味。旬は初夏。

カサゴ

岩場やテトラポッドなど、障害物のある場所を好む根魚で、水深1メートル足らずの場所でも釣ることが可能。おいしい白身魚であり、刺身はもちろん、唐揚げや煮付けで美味。ダシがよく出るため、調理後の骨も味噌汁などに使って味わい尽くしたい。

超浅場を狙え!水深 20 センチで釣る高級天麩羅ダネ

 自分で獲らなければまず食べられない旬の食材ほど心の踊るものはないが、今回のターゲットであるギンポはまさにそれ。スーパーの魚売り場などには決して並ばない魚であり、釣り人からも外道として雑に扱われがちだが、その正体は知る人ぞ知る江戸前天麩羅の大エースであり、隠れた高級魚なのである。ギンポは漢字で書けば「銀宝」。よってギンポ釣りを「シルバートレジャーハンティング」と呼びたいくらいだ。

 そんなギンポの釣り方は至ってシンプル。竿は1.5メートル前後で高級品など不要。今回は100円ショップで見つけた竹竿を使用したがこれで十分。竿の先に糸付きのハリを結び、ハリのちょっと上にオモリを付ければ仕掛けは完成だ。エサにサバやサンマの魚の切り身を掛けて、あとはギンポが住んでいそうな岩の隙間にエサを送り込んでやれば、パクリと食いついてくるという寸法だ。ギンポ以外にもカサゴやムラソイなどの根魚が釣れることも多々。

これを見ればどれだけ浅い場所で釣っているかがわかるだろう。潮が引いてもギリギリまで居残ってエサを探している魚こそ活性が高いのだ。

大きな岩の隙間に竿先を突っ込んで釣りあげた良型のカサゴ。この大きさになると、引っ張り合いの手ごたえも相当強力だ。

 狙うべき場所はゴロゴロと岩が転がるような水深の浅い岩場(釣り用語ではゴロタ場)。釣り場の航空写真が掲載された本や、インターネットで見られる衛星写真を活用し、ここぞというポイントを探しておこう。釣りをする時間帯にはコツがあり、干潮前後がベストタイム。潮の引いた岩場は小さなカニやエビの宝庫であり、それを食べるギンポのエサ場となっているのだ。普段は海中に沈んでいる岩場に降り立ち、ギンポの気持ちになって隠れやすそうな岩陰に竿先を指してエサを送ろう。狙うべき水深は10~30センチ程度の超浅場。時にはエサに飛びつく様子が見られることも。

 そこにギンポがいれば、すぐに食いついてくることが多いので、同じ場所で粘るよりも、歩き回って広く探るのが効率的。濡れた岩場は海藻などで滑りやすいため、できればスパイクの付いた磯釣り用の長靴を着用しよう。

 狙い通りギンポが掛かったら、穴の奥に潜られないように抜きあげて、網に入れれば一丁上がり。なーんて、さも簡単に釣れるように書いた訳だが、私がこの日に釣ったギンポは僅か一匹だけだったりする。いやー、意外と奥が深いのよ。

 さて最後に注意事項だが、ギンポは壁を登る力がとても強く、バケツなどに入れておくと簡単に逃げられる。この日も編集部の鈴木さんが釣った良型のギンポが、気が付いたら行方不明になっていた。

この日の本命であるギンポの釣果は、私が1匹、編集部の鈴木さんが2匹(ただし1匹逃亡)、片手間にやったカメラマンさんが1匹。釣りをした時間で割れば、教える側である私が一番釣れていない。このように釣りのベテランも初心者も、同じレベルで競えるのがこの釣りの魅力なのだと、自分を納得させたのだった。

ギンポは力が強い上にヌルヌルと滑る。釣れたら網の外側から掴んでハリを外そう。

この釣り方をしていると、周りから「何をやっているんだ?」と話しかけられることも多い。

天麩羅の神に選ばれた奇跡の魚それがギンポ

魚屋では手に入らないような珍しい獲物を、試行錯誤しながら調理するのも楽しみの一つ。釣る、捌く、調理する、食べる、という流れは、起承転結の詰まった物語。

 すべての食材には調理法との相性がある。カサゴやムラソイであれば、刺身、煮魚、塩焼きと、どんな料理法でもうまいだろう。だがウナギなら蒲焼き、コハダなら握り寿司と、決まった調理法があるように、ギンポは天麩羅に限ると断言したい。もちろん他の料理でもうまいだろうが、そのレベルが明らかに違うのだ。ふっくらして弾力のある身、プルプルで味の濃い皮、まさに天麩羅のための魚なのである。

 このように私がここまで惚れこむギンポだが、捌き方が普通の魚とはちょっと違うという難点を持つ。ウナギやアナゴを捌くのと同じ独特の技法を必要とするが、普通に魚を捌ける人ならすぐにマスターできるはず(もちろん素人レベルの技として)。この機会に覚えておけば、いざという時に役に立つだろう。そのいざがどんな時なのかは、各自で想像してほしい。

 まずは穴を開けても後悔しない木のまな板を用意し、頭を右側、背中を手前にしてギンポを寝かせ、目打ちをして頭を固定する。そして首あたりからよく切れる包丁を垂直に入れ、背骨の上側をなぞりつつ水平に刃先を動かし、尾の近くまで開く。この時に腹の皮まで切らないよう注意すること。そして内臓をとり、今度は背骨の下側に包丁を入れて、頭側から背骨を剥がしていく。仕上げに背びれと頭を切り落としたら完了だ。この説明がチンプンカンプンでも大丈夫。焦る必要はないので時間を掛けてやれば、意外とどうにかなるものだ。ただ皮は滑るし、肉は硬いし、生きたギンポはニョロニョロ動く。慣れないうちは包丁で手を切りやすいので、押さえるほうの手に軍手をするのが無難かもしれない。

まずは前菜として、ムラソイをシンプルに刺身でいただく。付けるタレはムラソイだけにソイソース(醤油)。実に味わいのある白身魚だ。

 さて何度も書いたが、ギンポといえば天麩羅に限る。そのためアウトドアであろうがダイエット中であろうが、調理法は天麩羅の一択。軽く粉をまぶして衣をまとわせて、適温の油へドボン。このように油で揚げることで、ムッチリとした唯一無二の食感が引き出される。揚げないギンポはただのギンポだ。天麩羅の揚げ油とうどんの茹で湯は多ければ多いほど良いので、できれば油はたっぷりと使ってほしい。漏斗と空のペットボトルを持参しておき、油が冷めたら持ち帰ろう。

 揚げられて黄金色に輝くギンポは、もはや「銀宝」ではなく「金宝」と呼んでも差し支えない価値を持つ。私にとってギンポの天麩羅は、まさに「ゴールデントレジャー」なのである。

左から
特盛ギンポ天丼/厚めの衣で揚げた天麩羅を、たっぷりと天つゆに浸してオン・ザ・ライス。ギンポは天麩羅の神に選ばれた魚であり、どの魚にも似ていないムッチリとした肉厚の身が堪らない。
穴釣りdeアラ汁/身をとった残りの頭と骨をよく洗い、アクをとりながらじっくりと煮て、醤油と酒を加えただけのシンプルなスープ。しみじみ美味しいダシの旨味を楽しもう。
カサゴのカルパッチョ/薄く切ったカサゴの刺身に、オリーブオイルを垂らしたら塩と胡椒でその甘みを引き立てる。もちろん臭みなど皆無。新鮮だからこその歯ごたえを味わおう。

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