2018.06.15

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

とって食べる「高級釣り堀のスペシャルな夜釣り」

千葉県某所に、国内の海には生息していない巨大な海老を求めて、感度の高い釣り人達が集まる秘密の場所が存在する。そのターゲットは飛行機に乗って外国から来日したオマール海老。釣り堀に放たれた高級食材を奪い合う、暗闇のゲームフィッシングが熱いのだ。

今回狙うのはこれだ!

オマールエビ/フランス語だとオマール、英語だとロブスターと呼ばれる、エビ類としては最大級の大きさを誇る高級食材。この釣り堀のオマール海老はロシアやカナダから輸入されたもので、エビというよりもアメリカザリガニを巨大化させたような姿が特徴。それが釣れるのだから、ザリガニ釣りに胸を熱くした経験のある人なら、興奮すること間違いなしだ。

暗闇の中で釣り上げろ! オマール海老を奪い合う週末限定のナイトゲーム

屋内型釣り堀なのに真っ暗という不思議な空間で、日本でここだけのオマールエビの夜釣りを楽しもう。

 おそらく日本唯一であろうオマール海老が釣れる釣り堀は、成田空港の近くにある「コリュッシュ」。この記事の冒頭で"千葉県の某所"と怪しげに書いてみたが、もちろん秘密でも違法でもなく、マダイやシマアジなどの高級魚が狙える海水魚専門の釣り堀である。そこで週末の夜に完全予約制でオマール海老釣りは行われているのだ。

 この釣り堀は海から遠く離れた場所にあり、古い牛舎を改築した建物の雰囲気と相まって、初めて来る人は「本当にこんな場所でオマール海老が釣れるの?」と不安になることだろう。だがこの違和感こそが、オマール海老釣りというスペシャルな体験を盛り上げてくれる。

 オマール海老釣りのシステムは独特で、参加人数×2匹の海老が用意され、前半と後半に分かれて釣り堀に投入されるその海老を、参加者同士で奪い合うというもの。よって2匹釣れれば合格点。またマダイなどの魚が釣れた場合は追加料金無しで持ち帰ることできるため、"海老で鯛を釣る"ならぬ"海老と鯛を釣る"のも可能なのだ。

釣って決めろ! オマール海老とのピースサイン!

無事にオマール海老をゲットしての海老ピース。ちなみにハサミは輪ゴムで固定されているので指を挟まれる心配は無用。ちょっと挟まれてみたいけどね。

 店長から釣り方の説明を受け、くじ引きで釣り座が決まったら勝負のスタート。2メートル前後のリール竿を使い、仕掛けはオモリとハリだけのシンプルなミャク釣りだ。電燈を消された釣り堀は、隣の人の顔すら見えない程に真っ暗。この特殊な空間で、竿の先に付けた小さな明かりを見つめて、オマール海老のアタリを待つという緊張感が堪らない。

 この日は編集部の鈴木さんも一緒に竿を出したのだが、先に結果を出したのは、釣り経験が浅い上にレンタル竿を置きっぱなしにしていた彼だった。さすがは猟銃と狩猟の免許を持つ男、専門外でも颯爽とオマール海老をゲットである。

 それに対してこの釣りの経験者であり、3万円以上もする自慢の竿を持参した私はといえば、アタリに対してアワセのタイミングが早すぎてバラシを連発。オマール海老はエサを見つけてもすぐに食べず、ハサミで掴んで落ち着ける場所に移動してから食べる傾向があるため、早合わせは厳禁なのだが……これが待てない。

 釣れないとオマール、いや困ーる。そこでハリスの長さを変えたり、エサの付け方を工夫したりと、最近使っていない脳味噌をフル回転させて、どうにか最終的に4匹を釣り上げて逆転に成功。魚とはちょっと違う、オマール海老の独特な重量感を堪能させていただいたのだった。

私が4匹、鈴木さんが1匹の計5匹と上々の結果に。マダイを釣り上げたお客さんも多数いた。

暗闇の中で運を味方にした勝者だけが堪能できるオマール海老のフルコース

誰もが憧れる海老料理といえば、やはり巨大な海老フライだろう。蒸したオマール海老の身を殻から外して、衣を付けてサクッと揚げよう。これを熱いうちに口いっぱいに頬張れば、「また釣りにいかなくちゃ!」と思うはずだ。

 コリュッシュで釣れるオマール海老は、食用として輸入された天然物。せっかくの高級食材なので、活きているうちに調理して美味しくいただきたい。とはいっても「オマール海老なんて調理したことないよ!」という人がほとんどだと思うので、簡単な調理方法を紹介しよう。それは10~15分程蒸すという方法だ。

 我が家には特大の海老が入るような蒸し器はないので、パスタ鍋に水を入れて使用するのだが、これがピッタリ。要するに蒸せればなんでもいいので、家にある鍋やザルを組み合わせて、どうにか丸ごと蒸しあげよう。あとは殻から外してかぶりついても良し、煮ても揚げても焼いても良し。圧倒的に素材が新鮮なので、どんな料理にしてもハズレはないだろう。

 さていつもなら捕った食材をアウトドアで調理するのだが、今回は夜釣りだったので調理場は我が家の台所。ちなみに一日くらいは元気に活きているので、無理に釣った日の夜中に調理する必要はない。でもやるんだけどね。

 我々が一番に作りたかったのは、人生で一度は食べてみたいオマール海老を一匹まるごと使った巨大海老フライ。いつもは衣ばかりで着やせするタイプの海老フライを食べているので、この日ばかりはとブリンブリンの弾力を口いっぱいに楽しませていただこう。

 また活きたオマール海老だけに、臭みのない味噌も美味しくいただきたい。そこで開発した料理が、途中の道の駅で仕入れてきた「ふきのとうみそ」を塗って焼いた、海老味噌と蕗味噌のW味噌焼きである。春の息吹と海の吐息を感じさせてくれる味となったが、蕗味噌にマヨネーズかバターを混ぜてもよかったかな。

 そしてもう一品は、オマール海老の殻や味噌の旨味をすべて凝縮させた、アメリケーヌソースのパスタである。いつもなら捨ててしまう部分をじっくりと煮込みながら、今日の釣りを振り返る。このソースに合わせる食材は、千葉産のキノコとフィットチーネ。はるばる海を渡ってやってきたオマール海老が、縁あって我々に釣られて、千葉の食材と調理されるという不思議な出逢いに乾杯。オマール海老には迷惑な出逢いだろうけど。

 この雑誌の読者にしてみれば、「釣り堀なんて生ぬるいぜ!」と思うかもしれないが、巨大なオマール海老をハリに掛け、水面まで持ち上げて、それを網で掬うという一連の流れを暗闇の中でコンプリートしたときの悦びは、冒険心と狩猟本能をしっかり満たしてくれると私は思う。釣りや狩りの予定が悪天候で中止になった時にでも、軽い気持ちで挑んでみてはいかがだろうか。

オマール海老の殻はとても硬いので、調理するときは軍手をしたほうが安心。新鮮なだけにクセのない味なので、和洋中となんでも合うはず。次回は最高にゴージャスなエビピラフやエビチリ、あるいは刺身や寿司に挑戦してみようか。

text:Yutaka Tamaoki / photo:HUNT editing unit

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