2018.06.04

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

1908年から続いている自転車メーカー「TAURUS」

100年続く工房が持つ存在感

左は、バイクが趣味というマテオさん。KTMでイタリア選手権に参戦している。右は、母方の親族がファッシ家という公認会計士のミケーレさん。二人ともホビーのつもりで始めたというTAURUSだが、今や本業となっている。

 ミラノから約1時間、マルペンサ空港近くの自転車メーカー「TAURUS」社がある。TAURUSは1908年にドイツのニュルンベルクで誕生した。

 訪れた工場は、昔のままの簡素な古い建物。中に入るとすぐに工房が見え、戦前、戦後の工作機械や自転車の部品が散らばっている。古い建物と、この乱雑さが不思議なバランスを生み出し、なんともいえない心地良さを生み出している。

 1920年頃、ミラノの実業家ファブリ家がドイツの自転車TAURUSを輸入代理店としてイタリアで販売。その頃、世界は自転車ブームだったため、大小の自転車メーカーが各地で誕生したという。その後、ファブリ家はTAURUS社を購入し、輸入代理店から自転車メーカーの権利を取得したが、数年ののちTAURUS社はファブリ家からファッシ家へと譲渡される。ファッシ家は、“FASSI”というブランドで自転車を製造していたが、TAURUSのブランドを取得したことをきっかけに、次々と新しいモデルを開発することとなる。

 我々が訪れたこの建物も、ファッシ家が自転車作りを始めた頃のもので、すでに100年は経過している。TAURUSのイタリアでの歴史はこの建物から始まったのだ。

ジョージ・クルーニーも愛用

タウルスで最も人気があるCORINTOというモデル。カラーはタウルスグリーン。ブレーキワイヤーはフレームの中、テールランプをダイナモで点灯、空気入れを標準装備するなど、ディテールにこだわっている。

 ファッシ家は当時、TAURUSブランドでバイク製造も開始。生産は1930年後半から1960年代まで続き、TAURUS 500 TN、160G5 SPORT、350、B8 SUPERSPORTなどをリリース。現在もこのバイクのコレクターが存在するという。

 勿論、当時は自転車も人気があり、TAURUSの洗練されたデザインは自転車業界のロールスロイスと言われるほど皆の憧れの対象にもなっていた。40年代からはレース用の自転車も製造していたというからTAURUS社はイタリアに移ってから活躍の場を広げたといっていいだろう。しかし60〜70年代にはバイクやレース用自転車から街中用の自転車に特化。シンプルでエレガントなデザインで世界中からオーダーを受けていたという。

こちらはフレームの倉庫。TAURUSのフレーム工場から送られてくるのだが、なんともいえない色合いが古い建物にマッチする。

TAURUSに乗る、ジョージ・クルーニーが掲載された雑誌。街乗り用のクラシックなデザインはヴィンテージオヤジによく似合う。 

歴史を感じるアイテムが残る

1800代末に作ったFASSI製のレース用自転車に乗っているのは、ニンニという愛称を持つ、ヴィルジーリオ・ファッシさん。ファッシ家はこの自転車から始まった。

 2010年、TAURUSに転機が訪れる。ファッシ家の3代目ヴィルジニオ・ファッシさんは、跡取り不在という問題からブランドの売却を決意。それを聞いた現オーナーのミケーレ・サルデッラさんが、跡を継ごうと考えたのだ。ちなみに、彼の母親はファッシ家の一族だったため、100年も続いているTAURUSブランドを血縁で継承していきたかったのだそうだ。

 当時ミケーレさんは会計士で、自転車とは全く関係の無い仕事をしていたが、いろいろと考えた末、友人であるマテオとTAURUSの共同経営をスタートさせることにしたのだ。

 じつは現在、イタリアでMADE IN ITALYの自転車メーカーは殆どないに等しい。同業者のBIANCHI、UMBERTO DEIには外国の資本が投入され、全てがイタリア資本というのは珍しく、ここに来て、MADE IN ITALYの自転車が注目を浴びているという。イタリアの大手の新聞社CORRIERE DELLA SERA、運送会社TNT、ファッションブランド・トラサルディなどは、“MADE IN ITALY”ということでTAURUSの自転車を会社として採用したのだそうだ。

 社のポリシーはMADE IN ITALY。100%をイタリアの部品でというのは不可能だが、出来るだけ自分たちで部品を作るように心がけ、1台1台丁寧に組み立てをしている。伝統カラーのTAURUS グリーンとTAURUSグレイは今でも人気。また自慢の手描きラインは1台1台丁寧に描かれ、自分の名前や特別な文字など特注をする人も少なくないとのこと。ちなみに、コモ湖に大邸宅を持つ俳優ジョージ・クルーニーもTAURUSを愛用しているのだ。

 ちなみに、TAURUSとはラテン語で雄牛のこと。ロゴマークには羽が生えた天使がチャームポイントだ。

1960年代に最も人気があったモデル27。超軽量のスポーツモデルなどもストックされていて、会社の歴史を感じることができる。

スポークワイヤーを調節しているミケーレさん。作業台や使用する器具などはすべて昔のもの。古い窓から差す光が美しい。

刻印を押すための古い機械。現在は使われていないが、こうしたアイテムが点在していた。

‘60年代に製造されていたTAURUS のオートバイ。160ccや500ccなど、様々な排気量のオートバイを製造。

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