2018.07.10

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

まるで夢。多くのエンスージァストたちの注目を集める「GOODWOOD MEMBE...

独自のスタンスでヒストリック・レースを開拓するグッドウッド・メンバーズ・ミーティング。2回目を迎えたこの年の目玉は、28台のナロー911によるワンメイク・レースだった。

John Aldington Trophy(ジョン・オールディントン・トロフィー)

1965 PORSCHE 911/シックなグレー(おそらく当時の特注色にあったドルフィン・グレーだ)に彩られたアレクシス・ド・レゲーロの911は1965年式。予選から調子が出ず、決勝ではわずか5周でリタイアしてしまったものの、ナローらしい清冽とした美しさが印象に残る1台であった。

 "ナロー"の愛称で呼ばれるポルシェ911の中で、特に貴重な2リッターのショートホイールベース・モデルばかりが28台も並ぶグリッドはさすがに壮観だった。コントロールタワーでユニオンジャックが振られると、どの911も一瞬お尻を沈めた加速体制に入って、1コーナーを目掛けて突進していく……。

 これは夢ではない。さる3月21日から22日かけて英国グッドウッド・サーキットで開催された73rdグッドウッド・メンバーズ・ミーティングで起きた現実である。

1965 PORSCHE 911/「私はポルシェを愛してるんだ」と語るのは1965年式911のオーナー、ピーター・ラット。以前別のナローを所有し、ヨーロッパ・ヒストリック選手権のチャンピオンを獲ったそうで、手放してからも911のことが忘れられず、このグリーンの1台を手に入れたそうだ。

 毎年9月に行われるリバイバル・ミーティングとは違い、年代にとらわれない様々な新機軸を打ち出したことで、多くのエンスージァストたちの注目を集めるようになったこのイベント。

 2回目となったこの年も、いろいろと興味をそそるプログラムが用意されていたのだが、その中で最も多くの注目を集めていたのは、今回限りのスペシャル・プログラムとして用意された、この"ジョン・オールディントン・トロフィー"だった。

 ちなみにジョン・オールディントンは、今は亡き英国のスポーツカー・メーカー、フレイザー・ナッシュの熱心な支援者であり、戦後英国に初めてポルシェの輸入を行ったことでも有名な人物。今回のワンメイク・レースは、オールディントン家がポルシェGBを設立して50周年になるのを記念して行われたもので、当のポルシェGBも1台の1965年型911(2013年の911 50周年の際に"プロジェクト50"と称して彼らが製作したレース仕様だ)を1970年ル・マン優勝車の917Kをモチーフにしたザルツブルク・カラーで彩って参加。

 しかもその時のル・マン・ウィナーであるリチャード・アトウッドにステアリングを託したのだ!

 そればかりではない。わずか232台(諸説はあるが)しか生産されていない、911の中でも指折りのコレクターズ・アイテムといえる64年型が6台も顔を揃えたほか、1967年の英国ツーリングカー選手権に登場し、ヴィック・エルフォードの手で2リッタークラス・チャンピオンに輝いた伝説の"GVB 911D"を筆頭に、貴重なヒストリーをもつ911が数多く集結。3ワイド、4ワイド当たり前! という、本気の戦いを繰り広げたのである。

1966 PORSCHE 911/今回集った911の中でも目玉のひとつが、この1966年式911"GVB 911D"。若きヴィック・エルフォードが、オールディントン家の経営するディーラーから借り受け、ラリークロスにデビューし優勝。その後英国ツーリングカー選手権にも参戦し、1967年の2リッター・クラス王者に輝いたという、由緒正しい個体だ。

 このレースをホームストレート手前のシケインで観戦していて、何よりも目を奪われたのは、参加しているドライバーたちの見事なコントロールだった。ただでさえテールハッピーで気難しいといわれているSWBモデルに臆することなく、皆が綺麗な"サイドウェイ"を描いて文字通りのダンゴ状態でコーナーをクリアしていくのだ。

 しかも彼らが履いているのはバイアスのダンロップ・レーシング。路面はドライではあるものの、完全に冷え切った最悪の条件にも関わらず、である。

 聞けば、ここに参加しているオーナーのほとんどが、様々なカテゴリーのヒストリック・レースで活躍しているという手練ばかり。そういう意味でもこのジョン・オールディントン・トロフィーは、究極の"カレラカップ"と言えるかもしれない。

1970年のル・マン王者も911で参戦する!

1965 PORSCHE 911/2013年の911 50周年に合わせ、ポルシェGBが"プロジェクト50"と称して製作、レース活動をした911。今回に合わせ1970年のル・マン・ウィナー“917K-023”のカラーを纏って登場。あのリチャード・アトウッドがドライブした。
ちなみにポルシェGBはこれと同じカラーにした991カレラ4GTSをペースカーに提供した。

1965 PORSCHE 911/予選で堂々の2番手、フロントローを獲得したマーク・サンプラーの911。新車時にベルギーにデリバリーされた個体で、シャシーナンバーは900 757。無論ナンバーマッチングである。ゼッケン9のフィル・ヒンドリーとD1もかくやというドリフト・バトルを繰り広げ、最終的に5位でゴール。観客席から盛大な歓声を浴びた。

グリッドに漂う、甘く切ない70年代の香り「Gerry Marshall Trophy(ジェリー・マーシャル・トロフィー)」

 昨年から始まったグッドウッド・メンバーズ・ミーティングを代表するカテゴリーのひとつが、土日の2日間にわたって行われる"ジェリー・マーシャル・トロフィー"である。

 これは、ディーラー・チーム・ヴォクスホール(DTV)のエースとして、ヴォクスホール・フィレン"ザ・オールド・ネイル"や"ベイビー・ベルタ"を駆り、1970年代の英国ツーリングカー選手権を席巻したローカルヒーロー、故ジェリー・マーシャルに敬意を表し、1970年から1982年までに生産されたグループ1規定のプロダクション・サルーンによって行われるレースで、土曜日に15分のスプリントで行われるレース1と、日曜日に45分のセミ耐久として行われるレース2で構成されている。

 その見所はなんといっても、1970年代の英国ツーリングカー選手権(現BTCC、当時はBSCC)などで活躍したBLミニ1275GT、フォード・カプリⅢ、マツダRX-7、ローバー3500SDI、シボレー・カマロZ28といった"ちょっと旧い"サルーンたちが、ガチンコのバトルを繰り広げることになる。

1981年のスパを制した伝説のRX-7

1981 MAZDA SAVANNA RX-7/1981年のスパ24時間に出場、見事優勝を果たしたトム・ウォーキンショー/ピエール・デュートンネ組のマツダ・サバンナRX-7(SA22)。ケヴィン・デイルの所有する1台で、このカテゴリーの常連でもある。こういう場に歴史ある日本車が、彼の地のエンスージァストの手で大切にされている姿をみると、誇らしい気持ちになる。

 前年のレースが大反響を呼んだこともあって、今年のエントラントはさらに充実。フォード・エスコートMkII RS2000、BMW530iといった新顔が姿をみせたほか、トライアンフ・ドロマイト・スプリントが大挙エントリーするなど、より"らしく"なったのが印象的。

 また9月のリバイバルで行われる"セント・メアリーズ・トロフィー"がそうであるように、セミ耐久で行われるレース2には、ヨッヘン・マス、ニコラス・ミナシアン、エマニュエル・ピッロといったスタードライバーが多数参加。しかも今回は、マット・ニール、スティーブ・ソパー、ロブ・ハフ、アンドリュー・ジョーダンといった現役組を含むBTCCのレジェンドたちも掛けつけたこともあり、観客の注目度も相当なものだった。

 レース2でポール・ポジションを獲得したのは、レース1の覇者でもあるナイジェル・ギャレット所有のシボレー・カマロZ28。レース2で彼とコンビを組むのは、1975年のBSCCでファベルジュ・レーシングのZ28(今回のクルマは忠実なレプリカ)を駆ってチャンピオンに輝いたグラハム・スチュワート本人!

 その腕前は40年が経った今も衰えずといった感じだ。

1981 ALFA ROMEO GTV6/BTCCやFIA GTで活躍するニック・ウォールがドライブした1981年型のアルファ・ロメオGTV6。1981年のレッラ・ロンバルディが乗ったジョリー・クラブのマシンを忠実に再現したレプリカ。このカテゴリー唯一のイタリア車として気を吐いていた。

 そして迎えた決勝レース。見事なダッシュをみせたのは、バストス・カラーのZ28。ドライブするのは、元マクラーレン・カーズのディレクターであるデイヴィッド・クラークである。

 その後の展開がすごかった。ニック・スウィフトの1275GTと、ティフ・ニーデルのローバー3500を交えた4つ巴のバトルはエキサイト。クラークとニーデルが接触し、大スピンを喫したクラークは大きく遅れてしまうのだが、ピットでバトンタッチされた2005、06、11年のBTCC王者が鬼神の追い上げを開始。なんとトップでゴールしてみせたのだ。

 さすがは彼の地の目の肥えたエンスー諸氏が「F1より面白い」と絶賛するレースだけのことはある。"ちょっと新しめのヴィンテージ"もなかなか良いものだ。

往年のハコが“サイドウェイ”でコーナーを駆け抜ける! 「Sopwith Cup(ソッピース・カップ)」

70年代サルーンに加え、リバイバルでお馴染みの50年代サルーンによるレースも"ソッピース・カップ"として行われる。なんともお得なイベントである!

50年代レーサーのロマンに酔いしれる

1955 STANDARD TEN/トライアンフの前身というべきスタンダード社が1954年に発表した素朴な大衆車テンがこんなに迫力のあるスタイルに! オーナー&ドライバーは、エスコートでも参加していたピーター・クレメンツ。なかなか良い趣味だ。

リバイバルほどファッションに関して厳格な規定はないものの、来場者は皆イベントの雰囲気にあった服装をチョイス。もちろん子供達だってそう。良い笑顔だね!!

グワッ、グワッ、グワッなのか、ガー、ガー、ガーなのか、彼の地の人々になんと聞こえるかわからないが、広大な牧草地に広がるグッドウッドに住むアヒルも元気。

予選から素晴らしい速さを見せていたレス・エリーの1959年式ジャガーMk1。決勝では見事3位入賞を果たした。後ろの1956年式ジャガーMkⅦは残念ながら周回遅れ。

カメラマン:The Goodwood Estate Company Limited. Yoshio Fujiwara

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