2018.07.17

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

ヴィンテージ自転車、夢のライドイベント「Eroica BRITANNIA」

2014年にエロイカ・ブリタニアを始めた最初の4人のひとりで現在のイベントリーダー、ティム・ハバード氏。この日は「ダンディ」という単語をよく聞いたがまさにダンディ!

弊誌でも毎年紹介させていただいている、イタリアのヴィンテージ自転車イベント、エロイカ。現在では英国版のブリタニアをはじめ、スペイン、カリフォルニア、日本にも飛び火するほどの人気を博している。

どこも絵になってしまう街角

乗り物の種類は違っても同好の士として通じ合うからか、両方趣味の人が多いのか、ヴィンテージカーも多く会場周辺に来ていた。これは1950年代にファミリーカーとして人気があったオースチンA30。

街角がどこでも様になってしまう。サンドイッチ屋さんの美少女と古いPUCHの自転車。オーナーは中で朝食を物色中だが、自転車にはみなさん基本カギをかけていない。

ヴィンテージバイクにうってつけの舞台

黄色いタンデム自転車に乗り、奥様とパン屋に訪れたこの紳士。ベストがかなりオシャレだが、ROBERTSというフレームにキャリアと泥よけをつけた実用仕様だ。

 1986年以前のフレームにパーツも同時代のもの、ウエアも時代に配慮したものを、という規定で1997年にイタリアはシエナ近郊で始まったヴィンテージバイクのライドイベント「Eroica(エロイカ)」。昔よろしく未舗装路を走るというコンセプトも面白く、世界中のヴィンテージバイク愛好家の注目となり、半年前の申し込み開始直後に枠が埋まってしまうほどの人気イベントになっている。

 その人気にあやかろうと姉妹イベントとして去年2014年にスタートしたのが英国版「Eroica BRITANNIA(エロイカ・ブリタニア)」だ。取材前年も大成功だったそうだが、当年はなんとイベント会場を訪れた人が5万人いうさらなる大成功に終わった。いまや日本、スペイン、カリフォルニアと各国でエロイカ姉妹イベントが始まっているが、5万人は本家トスカーナ版をも上回る最大規模だそうだ。

 本家はトスカーナ地方の丘陵地帯を走るので、英国エロイカはもイングランド中部の観光地、ピーク・ディストリクトというやはり丘陵地帯を選んだ。ここも石灰岩質の丘と川が削った狭い谷が続き、産業革命を支えた鉄道の廃軌道を使った未舗装のサイクリングロードが整備されている。ヴィンテージバイクを迎えるのにうってつけの美しい舞台だ。

とにかくフリーマーケットが楽しみ!

アウトドアチェアーがいたるところに。のんびりとした休日。

地元のブリュワリー、Thornbridgeが販売するエロイカ限定の地ビールも登場。商品名はハンサムペールエール!

PEDAL PEDLARはロンドンの自転車ショップ。ヴィンテージ自転車の在庫、サイズも豊富。

古いパンク修理キットの空き缶。これは売り物ではないらしく、あくまでデイスプレイ用であった。

キャンプエリアも併設される

会場に併設されたキャンプエリアで一番目立っていたのが、グリーンとホワイトのコントラストが美しいハノマグF25。メルセデスのエンブレムが渋すぎる一台だが、ここに泊まれば会場はすぐ。

 先ほど取材した年は5万人来場と言ったが、ヴィンテージバイクで走ったのは3,000人ほど。来場者の大半は走る人の家族や友人、イベントを見に来た地元や地域の人、ピーク・ディストリクトにやってきた観光客だ。

 イベント自体、ともすればストイックな男の耽美世界なイタリア本家エロイカよりもファミリー色を強く出し、音楽ステージあり、ダンスあり、子ども用のメリーゴーラウンドあり、地元ビール会社の移動パブあり、ちょっとしたサマーフェスの仕立てである。自転車に乗らない人もバッチリ楽しめるフェスにしたことで、地元の強い協力も得られたようだ。

ハノマグの内装をオーナーに見せていただいた。外観もさることながら、インテリアも抜群のコンディション。会場に行かないで、キャンプ場でただ飲んでいる強者もかなりいる。

ツイードにタンデムが粋!

真っ赤な顔して、スーツで決めた二人は、30年代のタンデム自転車で登場。ツイードのジャケットを着て、ワインの箱をしこたま運ぶという遊び心あるスタイル。

 つい本家イタリアのエロイカとの違う点を考えてしまうが、そもそもヴィンテージ自転車においてのイギリスとイタリアのポジショニングが少し異なることも、このエロイカ・ブリタニアであらためて実感した。

 イギリスの自転車が世界を席巻したのは1930年代をピークに1950年頃までで(このへんは諸説あろうけれども)、その後サイクルスポーツでいまのようなロードレースが盛んになるにつれ花型自転車は軽量なレーシングバイクになり、イタリアのメーカーに移っていったのだ。

 なので、ブリタニアでは本家エロイカで見るよりも古い自転車がかなり増えている。50年代以降のイタリアンな軽量バイクにウールのチームジャージの人ももちろん多いけれど、ツイードにフラットキャップ、プラスフォーズ(日本で言うニッカーボッカーに近い)といった出で立ちの正統ブリティッシュ・スポーツルックの人が目立つし、イギリスの景色に似合って見える。

 自転車もこの丘陵地帯には重たそうなロードスターだったり、ポータータイプだったり。上りはまぁ押せばいいじゃないとリラックスした雰囲気だ。

ご夫婦にタンデムも愉快!

こちらのタンデムのご夫婦は、ペアルックと丸メガネで登場。フレームにはワインボトルが取りつけられ、ビールを持って乾杯。タンデムといえばアルコール?

 一方女性参加者の中にもカーラーでしっかりセットした50sの髪型に真っ赤な口紅、大きなバルーンスカートにカーディガンなどのヴィンテージなおしゃれでいちばん短いコースの30マイル(48km)を走りきっている人が何人もいた。

 本家エロイカがお宝自転車自慢大会で、お互いのカンパのディレイラーが何年ものか、レアパーツかな、あのボルトはチタンか!? などと横目でチェックしたりしあう雰囲気があるのに対してブリタニアはそのあたりもかなり緩い。マニア垂涎のすばらしい自転車の人もいれば、イタリアや日本でなら眉をひそめられそうな86年以降の自転車の人もわずかながら楽しそうに走っていた。誰も見咎めたりはしていない。こっちはそれでいいのだろう。

仲良しタンデムオヤジの楽しみ

この日は、ステージでファッションコンテストや、ヴィンテージ自転車コンテストも行われた。彼らはファッションコンテストのウィナー。確かになんとはなしにカッコイイ。

自転車と並んで、会場に多かったのが、いろいろな種類の犬たち。ハンチングがお揃い。奥様も水玉がオシャレ。

なかなかこっちを向いてくれないブルテリアちゃん。ビール片手の飼い主さんも苦笑い。

ROBERTSのフレームに前後キャリア。フルカンパ&BROOKSで武装したシティー派ヴィンテージバイク。

エロイカ名物? ルチアーノさんもイタリアからはるばる登場。トランクを持ってレジストレーションに急ぐ。

野外ステージでは、いつもなにかしらのイベントが開催されている。地元のアーティストが次々登場。しかもノンジャンルなので、なかなか楽しめる。

移動式の遊園地は終日大盛況。メリーゴーランドに観覧車、ブツけあいのゴーカート。自転車好き以外の子供はもちろん、大人まで楽しめる巨大イベントだ。

3人組のコーラスグループは、とにかく美声でいつもひとだかり。ひとしきり歌い終ると、すたすた歩いて次の場所へ。ビアノ、コーラスと音楽的にも楽しめる。

クルマを眺めてても楽しい

 エロイカ・ブリタニアのライドは日曜日の早朝にスタートするが、イベント会場は金曜日には開き、各ブランドのショップストールが立ち並び、キャンプでゆっくり過ごそうという家族連れも続々テントやキャンピングカーを設営し始める。

 子どもや犬が干し草の山にのぼって自慢顔、ヴィンテージファッションでキメたお父ちゃんとお母ちゃんは干し草のベンチに座ってリンゴのサイダー酒やクラフトビールを傾ける。

 夏至の太陽は夜10時近くまで輝いている。イギリスの夏も輝いている。

ミリタリーテイストあふれる、ディフェンダーはソフトトップの超開放的仕様。木材を後ろに投げ込んでのやりっぱなし感が素敵。干し草に上る子供がいまにもよじ登りそう。

イギリスにかつて存在していた自動車メーカー、サンビームのシャモア。シャモアとはスイスカモシカのことだそう。小さいのにどことなく高級感のある一台。

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