2018.07.19

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

まさに英国自動車文化の継承者が営む、高級住宅街のショールーム

01「路地裏に佇む美しい車体」

Jaguar E-type V12 Roadster/
1974年にフロリダでナンバープレートを受けて以来、整備記録がパーフェクトに残っているという1台。3人目の英国人オーナーによって1989年にストリップダウンまでのリビルドを受け、V12エンジンの排気量を6リットルにボアアップされ、5速のギアボックスを与えられている。
最後のオーナーはインテリアを特注のタンカラーにするなど約250万円もかけたという。

 ダイアナ元妃が住んでいたケンジントン宮殿にも近いこのあたりには、数世紀前のロンドンを彷彿させる路地が残っている。ふとした角を曲がると、間口の小さなコテージと呼ばれるかわいらしい家が並んでいるのだ。もちろん現在は高級な住宅街である。最高級のヴィンテージカーやクラシックカーを扱っている「Graeme Hunt(グレアム・ハント)」のショールームも、そんな路地のひとつにあった。

 主な通りからはすでに消え去った古い石畳を踏んでいくと、曇りひとつないワイヤーホイールが眩しい白いEタイプがうずくまっていた。写真を撮ろうとする取材陣を制した社長のグレアムさん、エンジンルームを磨いていた若いスタッフにトノカバーを完璧にかけるよう指示。

「このEタイプはほんとうに完璧な1台。この美しさを本来の姿でご覧に入れたいのでね」

と誇らしそうに腕を組む。ちなみに前オーナーは、内装と同じ革でライカのケースも作ったということだ。

02「チャールズ皇太子が乗っていたクルマ」

 ベントレー、アストン・マーチンなどが居並ぶ中、もうひとつ我々の目を惹いたのがこの3ドア・モスグリーンの初期型レンジ・ローバーだった。撮影のためにショールームから出してほしいと頼むと、「わかってるね」と言わんばかりに片方の眉毛を上げるグレアムさん。じつはこのクルマ、最初に納品されたのはバッキンガム宮殿。独身時代のチャールズ皇太子が最初のオーナーだったのだ。

 皇太子の希望でドアポケットやウッドトリムがついていたり、後年搭載された低排ガスエンジンや燃費計までついている(チャールズ皇太子は熱心な環境活動家としても知られる)。その後ダイアナ妃と結婚、新婚旅行で訪れたバルモラル・エステート(スコットランド)内をふたりがこのクルマで移動する姿は多くのメディアを飾っている。

 そのような出自を持つクルマなだけに、直前のオーナーも900万円をかけて徹底的なレストアを敢行。

「実際、乗り心地はまるで新車ですよ」

とグレアムさん。

「現行モデルのレンジ・ローバーとほぼ同じ値段で買える新車のクラシックと思っていただいていいでしょうね」。

 自身もツイードを着こなし、エステート(領地)から都心に出てきた貴族のような雰囲気を醸しているグレアムさん。英国伝統文化の自動車分野を継承するための担当官のようなたたずまいである。

Range Rover Classic 3Door/
チャールズ皇太子が最初のオーナーだった1979年型のレンジ・ローバー。その後「ナット&ボルト」と呼ばれる徹底的なレストアを受けて、エンジンも足回りも新品に近い状態になっている。
ヒストリー・ファイルには、新婚当時のチャールズとダイアナがこのクルマに乗っているビデオや雑誌などが含まれている。

ブリストルの城と帆船のロゴは、その名前をいただくことになったイングランド南西部の港湾都市ブリストルの、中世から続く市章をもとにしている。「Blenheim(ブレニム)」は、ブリストル社の名戦闘機にも使われた名前だった。

どこもかしこも美術館のように磨かれた店内には、いたるところにオートモビリアが。ヴィンテージポスターは、どれも色彩豊かで、ハントさんのセレクトする極上のクルマたちとマッチしている。

クルマに限らず、時計も船もゴルフクラブもすべて、ヴィンテージのものの方が美しいものが多いと言うグレアムさん。オフィスの隅にはカバーまでヴィンテージなPINGのウッドが飾られていた。

ハント一家は、社交場であるロイヤル・アスコット競馬でもロイヤル・ファミリーに近い駐車場を使うことができるのだとか。英国ならではのこの「Hamper(ハンパー)」と呼ばれるピクニック専用籐かごで出かける。

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