2018.03.06

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

東京・谷中、憧れを形づくる 『そのみつ』の革靴

はっとするほど美しい発色や透明感を持った革素材からお気に入りのカラーをセレクト。ハンドメードなので単色でも味わい深い仕上がりになります。

東京・谷中に工房とショップを構え、オーダーメードのオリジナル革靴を手掛けているシューズブランド『そのみつ』。こだわりのある国内外の靴愛好家やファッショニスタに人気が高く、半年待ちでもオーダーが絶えない『そのみつ』のオールハンドメードの革靴の魅力とは?

奥深い革の魅力を最大限に引き出したデザインと履き心地

レディースシューズはメンズライクな紐靴が多い。 かかとは高すぎず安定感がありながらエレガントなのも『そのみつ』のデ ザインの魅力の一つ。

『そのみつ』では、足の状態を細かく計測するために座った状態と立った状態で足サイズを採寸しています。オリジナルの木型を作ることで、世界に一つだけの自分仕様の靴が作れるのです。

凛とした独特の佇まいを見せる革靴たち。東京・谷中にある『そのみつ』のショップにディスプレーしてある靴には、どれも熱すぎずクールすぎない、絶妙な“体温”が宿っています。

職人の手で細部まで丁寧に作り上げられた『そのみつ』の靴は、一度履くと病みつきになる人が少なくありません。そのため、リピーターの注文が引きも切らず、目下、半年待ちの状態が続いているといいます。熱烈なリピーターの中には、今まで20足以上オーダーしているヘビーユーザーもいるそう。

19年前に『そのみつ』を起ち上げた代表取締役の園田元さんは、オールハンドメードの靴にこだわる理由をこう語ります。

「機械で大量生産する靴より、昔の職人さんが手作りしていた時代の靴のほうが雰囲気もあって格好よいし、履き心地もよいからね」

ショップに隣接する工房では園田さんをはじめとする靴職人たちが、 分業体制で黙々と作業。工房に通常は入れませんが、大きな窓から巧みな職人技を見ることができます。

革専用の太い針を使って、一針ずつ靴底の革を縫い合わせていきます。熟練した園田さんでも1日に3~4足を縫うと日が暮れてしまうそう。靴の良し悪しは縫い方で左右されるといいます。

革靴を完成させるまでには、実に細かいプロセスが幾つもあります。 その過程でうっかり革を傷つけてしまわないように、職人は細心の注意を払って靴を取り扱っています。

長崎で生まれ育った園田さんが靴に目覚めたのは中学生の時。英国王室御用達の『Tricker's(トリッカーズ)』や、ローファーの元祖といわれる米国の老舗『G.H.Bass&Co.(ジー・エイチ・バス・シーオー)』などの靴に心酔し、小遣いの大半を靴に注いでいたそう。本物の上質な靴の魅力を自身の目と足で実感しながら成長した園田さんは、やがて、小さなシューズメーカーに就職。靴の企画デザインに一年間携わった後、当時知り合った靴職人から、昔ながらの手作りの製法を学んで、店を起ち上げました。

足のサイズを採寸して木型を作る完全オーダーメードの革靴作りを始めたのは十数年前から。

工房の壁には足型がずらり。今まで約5千人の足を採寸してオリジナルの足型を作ってきたそう。“マイ木型”を作れば、そのパターンに合う別のデザインの靴にも使えます。

「店を始めて驚いたのは、自分の足のサイズと違う靴を選んでいる人がいかに多いかということ。足の横幅に合わせて選ぶ人が多いけれど、かかとから足指の付け根までの長さで選ぶのがポイントです。足も顔と同じでひとり一人違うし、左足と右足の形も違う。靴は人に履いてもらって完成するものなので、その人の足にフィットして快適に歩ける靴を作ることが大切なんです」

外を歩いている時も、人の靴ばかり見ているという園田さん。「歩き方がきれいだな」と感じる人は、靴のサイズも合っているといいます。

革を縫い合わせる麻紐には、松の天然樹脂である松脂(まつやに)を塗布して強化します。麻紐は強度やストレッチ性があり、革によくなじみます。

金づちで鉄くぎを打ち込みながら、丈夫なヒールを取り付けていきます。靴作りは細かな作業の 連続ですが、完成する直前が一番うれしいという園田さん。

革包丁やコテなど、長年使い込まれた専用道具の数々。機械では出せない絶妙な靴の履き心地は、こうした道具を使い分ける地道な手作業によって生まれるのです。

快適な履き心地を追求するためには、革素材選びも重要です。『そのみつ』では、豊富な靴のデザインから好みのパターンを選び、さらに選りすぐられた革サンプルの中から、気に入った色と質感の革を指定することができます。素材は牛革を中心に、カーフ、シープ、カンガルー、リザードなど多彩で、趣きのあるカラーがそろいます。

「革って本当におもしろいんですよ」と微笑む園田さん。木材やワインのように、「革もどこで育ったかで決まる」といいます。牛革はスイス産が最高で、寒暖差のある地域で育った牛のほうが革靴に合うそう。しっとりしなやかなカンガルーは、主にオセアニア産の野生種を使うため傷があり、革を切り取る際に苦労するのだとか。また、高級なトカゲの革は1匹から片足分しかとれないため貴重なのだそう。

ショップにはサンプルの靴がゆったりディスプレーされており、ギャラリーのような趣き。靴作りを知り尽した職人がじっくり接客してくれます。

靴の中敷きには、『そのみつ』 のシグネチャーともいえる「shoe making is my life」という手書き文字が園田さんの肉筆サインと共に入っています。

ハンドメイドならではの佇まいを見せる『そのみつ』の靴は、決して奇抜ではないけれど、存在感抜群。そこにあるだけで、美しい絵になります。

「ヌメ革や植物鞣しの革がここまで柔らかく、美しい発色が出せるようになったのは、ここ10年ほどの技術進歩のおかげ」という園田さん。大量生産の靴は隠れた所に厚紙などを使っている場合があるけれど、よい靴はかかとなど見えない所も革で補強しているので、履き心地が全然違うといいます。

革は仔牛のほうが成牛より肌目がきめ細かで柔らかいように年齢でも異なります。さらに、履いているうちに徐々に自分の足になじみ、色ツヤも増し、味わい深いしわができたりして、経年変化が楽しめるのも革の醍醐味といえます。「革靴は呼吸しているので、履いた後はティッシュを詰めて湿気を取り、爪先を上げて保管するのが長持ちさせるポイント」だそう。

「靴を見れば、その人が分かる」とよくいわれますが、まさに革靴はその人の丁寧さを映し出す鏡のような存在といえるでしょう。

人気の谷根千エリアにあるショップ。埼玉から吉原、そ して谷中へと移転してきたのは、近くに「鷹匠」という園田さんごひいきの手打ちそば屋があったからだそう。

そのみつ
東京都台東区谷中2-18-6
Tel:03-6904-1312
営業時間:月・火・金曜13:00~19:00、土・日曜12:00~19:00
定休日:水・木曜
http://sonomitsu.com/

トルテVol.9にて掲載

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