2018.06.11

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

世界一のクラシック・ランドローパーSHOP『LANDROVER CENTRE』

 「ランドローバーでもレンジローバーでも、わたしのおすすめは70年代までのものですね! そこまでのクルマなら、スパナが使える人なら誰でも自分で直せますから」と輝くような笑顔で説明してくれるピーター・ガーサイドさん。1980年代までのランドローバーとレンジローバーがおそらく世界で最も充実しているランドローバーセンターのオーナーだ。「ちょっと勉強すればホントに直せるようになりますから。パーツ? それはうちから即日でどこへでも発送しますよ!」。
 ピーターさんは学生時代に最初のランドローバーを手に入れて惚れ込み、すぐにパーツ取り用に2台目を購入。以来自分で修理をしたり、余ったパーツを近所の農家に供給したりしているうちにニーズを感じて起業、事業を広げてきたという。

世界中に販売してきたクラシックローバー

オススメは自分で直せる、70年代までのクルマ

Range Rover Chassis No.1/1970年に販売が開始されたレンジローバーのプロダクションラインを最初に降り立ったシャシー番号1。初期のレンジローバーのコマーシャルなどを制作したプロデューサーが最初のオーナーだった。1980年代初めにランドローバーセンターが取得、オリジナルさを保つことを念頭に5年がかりのフルレストアをかけ、コンクール・コンディションになっている。

 「戦後の鉄不足の時代に作られたので、ランドローバーはボディには戦闘機からとったアルミが使われました。なので屋根付きガレージ保管でなくても大丈夫。しかもインテリアはプラスティックだから、じゃあじゃあ水をかけて丸洗いできる」とピーターさん。「こんな楽しいクルマがほかにありますか?」。
 ランドローバーのヒットに呼応してローバー社が1970年に売りだしたのがレンジローバーである。「レンジローバーは登場と同時に大人気となりました。田舎紳士に向けた、これで昼間は農作業をして夜は観劇にも行けるというのがコンセプトでしたが、農作業など関係ない都会派の人にも大ヒット、いまのSUVの先駆けになりましたね」。

レストア以上のリ・マニュファクチャー

1974 Land Rover Series 3 Soft Top/亜鉛メッキをほどこした新しいシャシーに換装する「リ・マニュファクチャー」をされたシリーズ3。アクスルやサスペンションなど足回りもひととおり交換され、クルマとしての新しい人生を踏み出す準備万端とのこと。マリンブルーのペイントに、新しいサンドカラーのソフトトップで。£20,000

 ショールームには、1970年に試作品として生産されたシャシーナンバー1番という記念すべきレンジローバーも飾られている。20年前にケント州で見つけ、5年かけて「ナット&ボルト(ボルト1つまで、の意味)」のフルレストアをほどこしたものだ。ペイントも試作品当時のオリーブグリーンに戻された。
 ランドローバーセンターでは、フルレストア以上の「リ・マニュファクチャー(再製造)」という表現で、シャシーから新しいものに入れ替えたレストア車両を扱っている。ランドローバー、レンジローバーともに基本が農耕車なので、30~40年でどうしても下回り、とくにシャシーが傷んで寿命が来てしまうことが多いという。そこで亜鉛メッキをほどこした新しいシャーシに換装し、古いルックスはそのままに「ほぼ新車」レベルまでリフレッシュさせる。
 リ・マニュファクチャーしたものはいうなれば新車なので、これから50年は乗れるという。お値段もものによっては日本円でおよそ800万円などそれなりに張るが、50~70年代の美しい「ほぼ新車」を眼前にすると安いように思えてさえくる。

店頭にはざっと20台近いランドローバーとレンジローバーが居並ぶ。リ・マニュファクチャーされた車両以外は手頃な価格のものも。数としてはシリーズ3が多い印象。

オリジナルの装備をほぼ完全に残している左ハンドルのシリーズ3(1984)。色はクリーム色を帯びた「ライムストーン」。走行4万5800km、左ハンドル。£20,000

ピーターさんはランドローバーを扱って45年。初期のパンフレットなどの宣材やポスターなどが店内に多数ある。

「こんな楽しいクルマがほかにありますか?」

トスカン・ブルーの2drレンジ

1972 Range Rover 2 door classic /1970年に登場したレンジローバーの謳い文句は「ラグジュアリーカー、パフォーマンスカー、エステートカー、クロスカントリーカーの4台が1台に」というものだった。このトスカン・ブルーの1台は「サフィックスA」と呼ばれる初代。ボルト1本までレストアという意味の「ナット&ボルト レストレーション」済み。ここまで程度のいい初代モデルはかなり希少とのこと。£50,000

 ランドローバー系のこのブランドにおいては、現行モデルや近年の車種にはまったく食指が動かないが、ランドローバーセンターが扱っているクラシック車種には憧れているという人は少なくないはずだ。英国でも、少なくなってきたとはいえ、まだまだ路上でその姿を見かける。いつかは……と思っているうちに博物館でしか見られなくなっているのではという不安もあったが、ここに来てその不安は吹き飛んだ。アメリカからの引き合いが多いが、日本にも時々送っているとのこと。まずはスパナの使い方の復習から始めておいてはいかがだろう。

text:Yoko AOKI
媒体:BRITISH VINTAGE LIFE

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