2018.07.20

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

パリから南仏へ、女子だけが走るラリー「Ballye des PRINCESSES...

旧いクルマやヒストリック・ラリーといえば男の趣味、なんてことは誰が決めたのか?  女性だって好きな服やアクセサリーを身に着けて、美しい景色の中でクルマを運転するのは大好き。女性だけが参加できるパリ〜南仏1,600kmのラリーを紹介する。

スタートはパリ、ヴァンドーム広場

雨の中をパリの宝石街、ヴァンドーム広場からスタート。このルノー4CVはロランスとヴィルジニーの二人が駆り、途中でポイントの接点不良に見舞われたが予備パーツ持参で事無きを得ていた。

 ヒストリック・ラリーは男のイベントといった感があるが、ラリー・デ・プランセスの主催者ヴィヴィアーヌ・ザニロリ氏はいう。

「女性は助手席で地図を読まされたりサポートカーの運転をしていたり、ドライバーの男性の手伝いばかりしていることに気づいたんです。それで女性たちに"自分でステアリングを握って参加してみたいと思う?"って聞いたら、誰もが"その方が楽しいに決まってる"っていうんです。それで20年近く前に第一回を開催し、そこからスタートしたんです」

 要は「男女平等」の概念は権利や雇用といった社会的局面だけでなく、「遊び」の面で実現されてこそ本来あるべき姿という、フランス的進歩史観が透けて見える。

 当初の参加台数は30数台程度だったが、夫やパートナーや仕事や家庭から離れて5日間、ドライバーとナビの女子二人で、美味しい食事を楽しんで素敵なホテルに泊まりながら、南仏サン・トロペの街を目指す、そのコンセプトが評判を呼び、今では80台ほどの参加枠にキャンセル待ちができているほどの盛況だそうだ。

 そして数年前からは、リシャール・ミルが冠スポンサーとなった。ご存知、欧州で名だたるヒストリックカー・イベントに協賛する超高級時計ブランドだけに、ラリー・デ・プランセスのグラマラスな雰囲気は一層高まった。実際にスタート前日の車検、ヴァンドーム広場では早速ロゼ・シャンパンが供され、グラス片手にお喋りに興じるプリンセスたちの姿があった。

全参加車80台前後のうち、328や308をはじめフェラーリ勢は5台。すべてがGTS、つまりスパイダーでオープンカーだった。

チェックポイントにて、SS区間までのルートを予習しながらコマ図に書き込みチェック中のナビゲーター。午前と午後の2回、一日に計4回のSS区間が課せられる。

雨中、ディジョン近くのSS区間を疾走するオースチン・ミニ・クーパーMk.Ⅱ。車種によって基本タイムは高中低にハンデ分けされているが、このミニはハイペース組だった!

南仏の陽光、そしてグルメ

こちらは初日、ディジョン手前でのランチ会場となった瀟洒な城館レストラン。ノンアルコール・ドリンクと野菜中心のメニューがふるまわれて、エントラントたちから大好評を博していた。

 パリをスタートして初日は東部のディジョン、2日目はスイス国境近くのエヴィアン・レ・バン、3日目はスキーリゾートで有名なクールシュヴェル、4日目はエクス・アン・プロヴァンス近くのポン・ロワイヤル、そして最終日は地中海の小さな港町サン・トロペへ。

 これが取材した年のラリー・デ・プランセスの全行程1,600㎞だが、3日目までは荒天から曇りという生憎の天気に見舞われた。4日目のモンブラン近くの峠越えでは、当初のルートが雪で閉鎖されるほどだった。

 でもプリンセスたちに苛立ちはない。ルートの先々で設けられたランチ・ポイントでは、ブルゴーニュ、サヴォワ、山寄りの南仏と海沿いと、それぞれ趣向の異なる地元料理が迎えてくれる。旅にお喋りと食事の楽しみは付きものなのだ。

レマン湖の畔、3日目のエヴィアン・レ・バンからのスタート風景。ポルシェ914/6を乗りこなすエレーヌとナディーヌは、アルプスの峠区間であっという間に見えなくなってしまった。

道中のランチ・スポットではミニャルディーズ、つまりちょいちょいツマめるお菓子やデザート類が充実。疲れた体の前に、レモンとメレンゲのタルトがこんな風に出てきたら、まさか逆らえない。

ラリーだからこそ見られる街や村

端整な後ろ姿で南仏の村を走り去るメルセデスの230SLは、ミエッケとアン組で、ドイツからの参加。300SEをはじめ、この時代のメルセデスはラリーにも積極的に参加していた。

 南仏が近づくにつれ、天気も回復傾向。オープンカー率の高いプリンセスたちに人気の車種は、小粋なアルファロメオのスパイダーやトライアンフやMG、あるいは信頼性の高いポルシェ911など。父親や夫らからの借り物ではなく、ほとんど彼女たちが自分で購入した自分のクルマなのだとか。

「最初の一年は借りたクルマだったけど、来年も再来年も出るなら自分で持っていた方がいいから」

というのが、異口同音に一致した意見だ。プリンセスの大半は会社経営や弁護士に医師といった方々で、欲しいモノはサッと迷わず手に入れるタイプのよう。当然、リシャール・ミルの時計も射程距離内というエントラントも多い。

 4日目のランチ前後からは雨が上がって、ようやく南仏らしい強い陽光が差してきた。プリンセスたちも多くが幌を下ろして、次のSS区間へと再スタートを切っていく。誰もが待ち望んだ瞬間を目いっぱい味わっているのだ。 

いかにもカジュアル・メルセデス風情で、R107の300SLをドライブしていた二人組はオーレリーとソフィ、リヨンから参加。免許を取って以来ずっと、このクルマしか乗っていないとか。

世界一フェミニンなラリーのゴール

ゴール直前、プリンセスたちは勝負服に着替えて備えるが、中でもブッ飛んでいたのはナローの911タルガを駆るドロテーとサンドラ組。よく見るとお揃いはブーツだけ、息の合った見事なコーディネイト!

ガラディナー前の表彰式、ペースの安定性を競う特別賞は、22歳のアルファロメオ・スパイダー乗り、クレマンスが受賞。

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