2018.08.16

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

色褪せない魅力「Renault5(ルノー・サンク)」

フランスの代表的国民車でもある、「ルノーサンク」。誕生から半世紀近く経った今でも踏襲され続けるFFハッチバックの基礎的パッケージとデザインは1970年代に完成していたのであった。

伝統にきっぱりと別れを告げて

プロジェクト122として開発が進められたサンク。サイドやリアのデザインは早期に固まったようだが、フロントマスクは丸形4灯へヘッドランプを採用する案など、何種類かが検討された。

 現在のコンパクトカー、つまり前輪駆動ハッチバックのルーツは何か。多くの人がフォルクスワーゲン・ゴルフと答えるかもしれない。でも実際にはゴルフが出る前から、前輪駆動のハッチバックはあった。1972年、つまり今から50年近く前にデビューしたルノー5(サンク)もその1台だ。

 そもそもルノーは1961年に4(キャトル)という、ハッチバックの元祖を出している。ただしこのキャトル、セダンとライトバンの用途を兼ね備えた、貸客両用車と言える存在だった。現行車で言えばカングーのルーツと言ったほうがふさわしいクルマだった。

 でも当時は日本だけでなくフランスも、高度経済成長に恵まれた時代。終戦からの成長を「栄光の30年」と呼んでいたほどだ。生活が豊かになるのと比例して、核家族化が進み郊外にマイホームを建て、都心の会社に通勤するというスタイルがトレンドになったのも日本と同じだった。

 となるとクルマもパーソナルユースに向いたスタイルが求められる。そこでルノーはキャトルのメカニズムを流用しつつ、70年代という時代に見合ったモダンなボディを与えることにした。こうして生まれたのがサンクだ。

 なによりも画期的だったのは、当初は3ドアしかなかったことだ。それまでのフランス車はキャトルを含めてどんなに安いモデルでも4枚ドアが当然だった。それが実用的とか合理的とかいう評価を生んでいたわけだが、パーソナルユースを念頭に置いたサンクは、そんな伝統にきっぱり別れを告げたのだった。

それは傑作と言えるデザインだった。

 しかも基本的にはシンプルなスタイリングとしながら、量産型ではいち早くバンパーをプラスチック製とし、ヘッドランプは枠のない角形としていた。最近のクルマに当然のように取り入れられているディテールを、50年近く前に採用していた。今でも古く見えない理由はここにある。

 しかもただ先進的なだけでなく、サンクには表情があった。当時のカタログではそれを生かし、ヘッドランプに目玉を描いていたほど。丸みを持った後ろ姿ともども愛らしい。50〜60年代の大衆車が持っていた動物っぽさをモダンなフォルムと両立した、傑作と言えるデザインだった。

 ボディサイズは全長3,510mm、全幅1,520mm、全高1,400mmでキャトルと比べると100mm短く、30mm広く、60mm低かった。幅を除けば少し小柄だったのだ。でもキャトルが簡素だったためもあり、価格はむしろ高かった。この立ち位置、現在で言えばフォルクスワーゲン・ポロに対するアウディA1、フィアット・パンダに対する500に立ち位置が似ている。プレミアムコンパクト的なキャラクターでもあったのである。

RENAULT 5 Electrique/
1972年春から、当時EDF(フランスの電力会社)とのプロジェクトが始まり、そのコラボ枠で、サンクをベースにした電気自動車が造られた。ボンネットの中には、6vのバッテリーを8基搭載する。写真のクルマは、13台生産された内の一台。1974年製。現在でも、元気に走る、動態保存。

そのインテリアは機能的で美しい

 メカニズムはキャトルと同じなので、直列4気筒OHVエンジンは、トランスミッションを前に向けて縦置きされる。当初の排気量は800ccと950cc。4段M/Tも最初はキャトルと同じようにインパネからシフトレバーが生えていたが、後にフロアシフトに改められ、エンジンには1,300ccが追加されるなどした。

 サスペンションもキャトルと共通。つまりフロントはダブルウィッシュボーンと縦置きトーションバー、リアはトレーリングアームと横置きトーションバーの組み合わせだった。注目はトーションバーの長さで、フロントは全席の下まで伸び、リアは後輪の位置を前後にずらしてまでボディ幅いっぱいまで延長した。そのためキャトルと同じように、左右でホイールベースが違う。

 その数字は左2,430/右2,400mmと、左右の差はキャトルよりちいさくなっていたものの、たっぷりしたサスペンションストロークは受け継いでいた。これがコンパクトカーとは思えない、しっとりした乗り心地を生み出していたのだ。

 それでいてサンクは走りも良かった。この面を教えてくれたのが、76年に追加されたサンク・アルピーヌだった。それまでのルノーの高性能バージョン、ゴルディーニの系譜を受け継ぐこのモデルは、1.4ℓOHVから93psを発生するエンジンを、5段M/Tとともにノーズに押し込んでいた。

現代に蘇った、ラリー5

RENAULT 5 ALPINE Gr.2/
ライセンスナンバー8002TK91のこのワークス・ラリーカーは、ブルーのジタンカラーで1979年ツール・ド・コルスで2位に入ったヒストリーを持つ。現在は写真のカルペルソン・カラーに塗り替えられ、ヒストリック・ラリーなどに姿を見せている。

再びラリーを席巻したモンスタールノー

RENAULT 5 ALPINE TURBO/
ワークス・ラリーカーがミッドシップのサンク・ターボに切り替わったあとも、サンク・アルピーヌはプライベート・ドライバーの手でラリーに出続けた。白いボディのこのクルマは1984年モンテカルロに出場したターボバージョン。このラリーではワークスのサンク・ターボが4位に入っている。

RENAULT 5 TL/
サンクがデビューした1972年、20〜30代の3人のフランス人の若者が80日間世界一周旅行を企画した。実際はヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカの4大陸を走破したものだが、80日間で4万kmを走破し、サンクの信頼性・耐久性の高さを立証した。旅の様子は書籍として出版もされている。

RENAULT 5 TURBO Gr.4/
ミッドシップのサンク・ターボは1978年のパリ・モーターショーで発表されたあと、81年からWRC(世界ラリー選手権)に本格的に参戦を開始した。写真はグループBレギュレーションが導入された1983年以降のワークスマシーンで、フロントバンパー形状などがオリジナルと異なる。

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