2018.06.14

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

文教地区に立つ、魔法の時間が流れる店「PALEOPHONIES」

蓄音機からHiFiまで魔法の時間が流れる

艶消しブラックのフロント、木目の外板など美観インテリアとしても真空管アンプはヴィンテージの王道。ヴィンテール氏が検品とレストアを施した状態で並ぶ。

 お店の名前の「パレオフォニーズ」のパレオとはギリシャ語源の接頭辞で、「先の」とか「原初の、旧い」といった意味合いをもつ。フォニーも同じくギリシャ語源で「音に関するもの全般」を指している。ソルボンヌという文教地区にあって、なかなか上手いネーミングをつけたものだ。

 店内を訪れると…ネーミング通り、いかにも旧い音に関連した、ノスタルジックな機器やアイテムばかりが、ところ狭しと積み上がっている。20世紀初頭前後の蓄音機が数台。真空管アンプ、加えて旧いラジオや、’50年代以降のこれまた旧いテレビ。マグネットフォンと呼ばれる磁気テープ式のテープレコーダーなどなど…。特筆すべきは、再生ハードウェアだけではなく記録メディア、つまりレコードやシリンダー型ディスクなども扱われていることだ。

ラジオを含む無線通信技術はフランスでは歴史的に重要な通信手段。’20年代のラジオにはAM波用にスパイダーコイルアンテナが付属していたものもあった。

デジタル慣れした耳なら必ず驚かされる

 ここは、およそアナログ音源に関するアイテムを、再生機器と記録メディア、アクセサリーやパーツに至るまで、できる限りコンプリートに扱うショップ。品揃えの中でいちばん新しい世代は’70〜’80年代といったHiFi機器あたりで、日本のサンスイやアカイ、ティアックのアンプやテープレコーダーも在庫されている。

 意外だったのは、店主のダヴィッド・ヴィンテール氏の36歳という若さ。レコードからCDへ切り替わった世代とはいえ、アンティーク市で旧いオーディオ機器に6歳の頃から興味を持ち、9歳で近所の電気屋さんに通って修理を見習い手伝いしていたというから筋金入りだ。現在の彼は電気技師でもあり、店の商品の修理レストアもお手のもの。アナログ放送が終了した今、テレビだけは映らないが、すべては完全動作品という。

 取材中、彼は1905年のビクター蓄音機を鳴らしてくれた。匂い立つように柔らかい音は、近頃のデジタルとはまるで異なる質感で、まさしく魔法のような時間だった。

揺さぶる音の記録と記憶

ウッドの外板が巨大で、家の中では家具として存在していたアール・デコ期のラジオ。フランスの有名メーカーはClarvilleなど。

ウッドのシェードにゴールドのネックが贅沢な、1905年ビクター蓄音機。脚付きだ。こうした極上機は価格7000ユーロ前後。

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