2018.09.26

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

モダンさにこだわれば角形ケース。Didier Guedj氏のこだわりの時計たち。

3針センターセコンドのシンプルさながら、文字盤の左右両端のみ小さくされたインデックスや、針の繊細な表情が楽しい’30年代のレベルソ。旧いジャガー・ルクルトの中でも大定番として人気のモデルで、入荷しても足は速いそうだ。写真はSSケース。

 マルシェ・ポール・ベールやマルシェ・ドーフィーヌなど、俗に「クリニャンクールの蚤の市」で知られるパリ郊外の街がサン・トゥアン。パリ18区市役所前からバスでも行ける。

 玉石混交のこの蚤の市の中で、時計に関するエキスパートは数人。中でも、置かれたアンティーク・ピースや凜とした店頭の雰囲気からして、確たる審美眼を漂わせる店が「Didier Guedj(ディディエ・グージュ)」だ。

 店主のグージュ氏は時計のエキスパートであるばかりか、ルネ・ラリックなどのガラス工芸品や置き時計にも強い。一方でアーティストの手によるジュエリーをも、パリ6区のサン・ジェルマン・デプレのギャラリーで扱っている。時間を計る道具としての時計だけではなく、時を経ても宝飾品として変わらぬ美しさをたたえるタイムピースに重きが置かれている。

蚤の市で知られるパリ郊外、マルシェ・ド・フィーヌの通路の中でも、特にシンプルなファサードが目を引く店構え。入口からほどなく近い地上階にあるため、アクセスは至便。さりげないがソフィスティケートされた雰囲気は、むしろ蚤の市の中では異質だ。

コードを外さない、安定感あるカッコよさ。

1930年代のボーム&メルシエのクロノグラフ。ローズゴールドの正方形ケースに黒文字盤というシックな配色に加え、例外的な極上コンディションの一本。価格は応談とのこと。

 「クラシックで無駄が排されたデザインという意味で、アール・デコから続く角形ケースの時計には格別の魅力があると思います」
と、グージュ氏はいう。

 一方、氏の鮮やかなブルーのセーターの袖口にはさりげなく’50年代のロレックス、しかもゴールドのモデルが鮮やかなコントラストを放っていた。

 「これはたまたま、昔からの自分の時計です(笑)」

 定番の中にもはっきりと、少しだけ差のつくディティールを採り入れる点が、この店のセレクトの秘密といえるだろう。

 「置き時計はアール・デコ特有の装飾的なものだでなく、戦後のベークライト時計も好きですね」

 シンプルで洗練されているだけでなく、素材や中身がノーブルであること。小さいながら、昔ながらのフレンチ・シックのお手本といえるお店だ。

Text:Kazuhiro Nanyo

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