2018.06.28

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

フランスの銘品に学ぶ

ルイ・ヴィトン、シャネル、ディオール、伝統に捕われずモードを貫く有名メゾンかといって街がモード一色かと言うとそんな事はない。今回はフランスの国民に愛されるフランスのブランドを紹介。

01『DANTON』

 オートクチュール文化が息づいたフランスでは、仕立て屋がいつしか上流階級者の衣服をただ仕立てるだけの役割だけではなく。芸術家としての役割を持ち始めた。これがモードの都パリが現在も花咲いている所以である。
 では労働者階級ではどうなのだろうか。カジュアルな服を見て、「フランスっぽい」と思わせるデザインは何だろうか。
 DANTONは1931年フランス東部の町で創業したワークウェアブランド。当初からカバーオール等の作業着やキッチンウェア、フランスの鉄道会社のユニフォームも手掛け、現在ではユニセックス対応のカジュアルウェアを提供している。
 ジャケットのラウンドした襟や、動きやすいようにと設計された袖、シンプルな打ち合わせがなんとも“おフランス”。アメリカのワークスと違う上品さを感じる。

02 著名デザイナーも惚れ込んだフレンチワークウェア『SERVIER PRODUCTION S.A.』

 フランス南部、サルトル地区でワークウェアをメインに生産してきた工場が立ち上げたブランドがエルヴィエ・プロダクションズだ。2011年秋冬にスタートしたばかりだが、翌年にはジュンヤワタナベマン コムデギャルソンとコラボレーションを果たし、一躍その名が知られるようになった。元々伝統的なフレンチワークウェアを作ってきたファクトリーだが、その縫製技術の高さからデザイナーズブランドやファッションブランドのOEM生産を任されているのだ。
 モールスキンという薄く起毛した記生地を使用したウェアが代表的。

03 海から生まれたフレンチカジュアルの定番『SAINT JAMES』

 バスクシャツの話になると、ほぼ100%の確率で引き合いに出されるパブロ・ピカソ。数々の写真にてボーダーに身を包む彼の姿が確認されている。その他に有名な所だとココ・シャネルやアーネスト・ヘミングウェイ、オードリー・ヘップバーン、アンディ・ウォーフォール。存命だたジャン=ポール・ゴルチエといった錚々たる面々から愛用されることからもバスクシャツは偉大ファッションアイコンだとわかる。
 起源は19世紀半ば、フランス北部ノルマンディー地方のセントジェームス市長の政策により羊毛の紡績、染糸工業が発足したことに始まる。これにより漁師が着るマリンセーターが生み出され、今のセント ジェームスのシャツの原型となり、1889年に会社が設立された。
 同社のブランドロゴにはノルマンディーの象徴、モンサンミッシェルと海、それに「NE de la mer」(海から生まれた)という言葉が添えられている。100年以上に及ぶ伝統を大切に、常に高い品質を貫くというポリシーの表れだ。
 ここで一つのクエスチョンが浮かぶ。バスク地方発祥だからバスクシャツじゃないのかと。実のところフランスでその名称を言っても通じず、ブルトンマリン(ブルターニュ地方のマリンシャツの意)と呼ぶのが一般的。なぜバスクの名が付いたかは諸説あり、はっきりしたことは分かっていない。
 閑話休題。視界の悪い海の上でも見分けがつきやすいという実用的な理由で漁師に愛されたOUESSANT。後にフランス海軍の制服に採用されたNAVAL。セント ジェームスのシャツはしっかりとしたボディでワークウェアだった事を感じさせ、フレンチカジュアルの代名詞であるが、アメカジでも鉄板アイテムとして不動の人気を誇っている。

04 ワンポイントの元祖にしてポロシャツの生みの親『LACOSTE』

 プロテニスプレーヤーだったルネ・ラコステが1933年に創設したブランド。当時テニスは動きにくい白のシャツを着用してプレイされており、より動きやすい服が無いものかと伸縮性に富んだニットシャツを作った。これがポロシャツの始まりで、それから80年以上経ったいまでは全世界で親しまれている定番となっているのだ。
 評価すべきは元祖という点のみではない。L.12.12は上質の素材を使い、高い技術でもって作られている為、長期で着用しても型くずれしにくい。

05 100年を超える歴史と守られる150を超える行程『PARA BOOT』

パラブーツはソールまで自社生産する世界で唯一のシューズメーカーだ。創設者はレミー・アレクシス・リチャード。元々軍やワーカーの為の実用靴を作っていた彼はアメリカでゴム底の靴に出会う。それまでヨーロッパでは革底が主流だった為、大変感銘を受けブラジルのパラ港から天然ラテックスを輸入しオリジナルの底材を開発。その港の名前を取って同ブランドネームとなった。
 製造行程は昔から変わらぬノルヴェイジャン製法。150を超える行程を経て作られた靴は堅牢性と柔軟性を実現。チロリアンシューズ、モジーンはウェルト部分のささやかな装飾が特徴的。

06『A.P.C』

 “生産と創造の工房”A.P.Cの名の元となっているその理念に乗っ取り作られるウェアは着る人の魅力を最大限に引き出す。誰もが手に取りやすいシンプルなデザインとプライスで全世界で親しまれている。
 人気を牽引しているデニムはファッションブランドのそれとは一線を画す、オールドリーバイスを生産していたものと同種の織り機を使った本物志向のデニムだ。ワンウォッシュを履きこんで出る風合いはヴィンテージに負けずとも劣らない。A.P.Cのショップでは、その着古したジーンズを新品のジーンズと半額で交換、回収し販売するという面白い活動もしている。

07 有名メゾンの折紙付き通なカットソーブランド『Glacon』

 1971年創業のカットソーブランド、グラソンは通好みなシャンパーニュのファクトリブランド。有名メゾンにカットソー生産を任されるほどの高い品質は国内生産品にこだわっているからこそ。
 主力のバスクシャツの特徴はスタイリッシュかつ動きやすいようにS字に切り替えられたフリーダムスリーブ。曲線を描いているにも拘らずボーダーの柄合わせが見事。そしてグラソンのカットソーが名品たる理由はその着心地の良さにある。ボートネック特有の喉に前ぐりが当たる不快感がなく、あらゆる縫い目がゴロつかないフラットシームで仕上げられている。右は珍しい麻混の一枚。

08 ファッションサイクルとは無縁の普遍的な服をつくる『ANATOMICA』

 “人体を覆う履物と衣類は構造上、元来着用するその人を尊重して形成される。即ち販売する商品は特別なシェイプをしていて当然であり、多種多様な形とサイズに至るはずである”
 この基本概念を体現したパリ発祥のセレクトショップANATOMICA。凄腕のバイヤーとしても名が通っていた創設者のピエール・フルニエが手掛ける。オリジナルウェアはファッションサイクルやマーケティングとは無縁。普遍的で上質な洋服を作り、よいものがあれば時期なんて関係なく作るし、何年も作り続ける。だからいつまでも風化することなく永く愛用できるのだ。

カメラマン:Yasuhiro Yokosawa
媒体:VINTAGE LIFE

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