2018.08.30

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

誕生から半世紀以上経った今も、自動車史とカメラ史に燦然と輝く銘機たち。

 1954年。2つの傑作がドイツで産声を上げた。「メルセデスベンツ300SL」と「ライカM3」。自動車史、カメラ史にその名を刻んだ銘機たちである。50回目の誕生年にあたる2004年、かのロバート・キャパやアンリ・カルティエ=ブレッソンが創設した写真家集団、「マグナム」のメンバーであるブルース・ギルデンを招いて、とあるフォトセッションが開催された。ブルックリンを舞台に、300SLとM3を撮影する試み。"バースデイフォトへの旅路"である。

The Mercedes-Benz 300SL and the Leica M3 celebrate their 50th birthday -In New York-

 2004年、ブルックリン・ニューヨーク。"バースデイフォトへの旅路"と名付けられたセッションに臨んだのは、ブルース・ギルデンだった。当時57歳のギルデンは、自他共に認める「ストリート・フォトグラファー」。至近距離で見ず知らずの被写体にレンズを向け、ご丁寧にフラッシュまで焚き付けて、リアルな日常を切り取るカメラマンである。

 機材は最小限。レンジファインダーカメラを構え、イメージを焼き付ける。スリリングで、危険と隣合わせの撮影方法。だが、「ニューヨークのストリートを撮影する」という目的のためには、譲ることのできない一線なのである。

 この手法を続けてきたからこそ生まれた傑作の数々。それがギルデンの伝説である。そして、彼を受け入れてきたニューヨークの懐の深さもまた、深淵であると言わざる得ない。

300SLとM、そして伝説のストリートフォトグラファー。

 主役の一人、メルセデスベンツ300SLがお披露目されたのは、1954年に開かれたインターナショナル・モータースポーツ・ショウだった。センセーショナルなデビューはニューヨーカーに衝撃を与え、セールスマンのマックス・ホフマンは北米市場での成功を確信。シュトゥットガルトのダイムラーベンツ本社を説き伏せ、300SLを成功に導いたのだ。

 当時最先端のスポーツカーだった300SLは、世界初のフューエルインジェクションを持つ3リットルエンジンを搭載。当時としては驚異的な高出力である215馬力を発生し、時速250キロの最高速度をたたき出した。デザイン上最大の特徴であるガルウイングドアは、軽量化と高剛性のために取り入れたスペースフレームの産物だとか。どうしてもサイドシルが高くなってしまうために採用した苦肉の策で、乗り込むにはコツと慣れが必要らしい。

 ライトウェイトとボディ剛性。そのためには乗降性は犠牲にしてもやむなし。300SLは、硬派なスポーツカーなのだ。

 同じく1954年。35mmカメラに革命が起こった。ライカの新型モデルが登場したのである。「より速く、より便利に、より確実に」をめざし、3つのMoreからM3と名付けられた初代M型ライカである。

 レンズ交換の容易なバヨネット・マウント。パララックスを自動補正するファインダー。1秒から1/1000秒という幅広いチョイスから選べるシャッタースピード。ワインドレバーで瞬時に巻き上げが出来、フィルムの装填で自動的にリセットされるカウンター等々、後に生産されるカメラの礎とされる機能が数多く盛り込まれていた。それはすべて、写真を愛する愛好家やプロカメラマンの要望に応えるため。撮影ツールの理想を追い求めた結果なのである。

 ライカM3しかり、300SLしかり、そしてギルデンしかり。伝説として人々に認識されている存在は、目的に向かってまっすぐに突き進むようだ。役者が一同に揃った一日。それが「バースデイフォトへの旅路」の真実である。

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