雨の日もライカ日和なのでしょうか?

訪れたのは、ニージーランド南島の中央にあるクイーンズタウン。「なんか、古いクルマとか走ったりしないのかなぁ」なんて考えていたちょうどその朝。
偶然にも、街中をヴィンテージカーたちが通りかかった。なんと、メインランドクラシックツアーというツアーの真っ只中で、ニュージーランドの最南端インバカーギルからクライストチャーチまで約1週間かけて走るという。写真は71年式のアルピーヌ。

インバカーギルに来てみたかったのは、オイスターのほかに、映画「世界最速のインディアン」でアンソニー・ホプキンス扮するバートが、インバカーギルの出身だったから。
1,000cc以下のオートバイで地上最速記録を保持する実話に基づいた映画で、実際のバイクが「E Hayes and Sons」に残っている。で、これは、その他にディスプレイしてあったダートバイク。
「三姉妹がやってるコーヒー屋があるよ!」

こちらも、ヴィンテージな建物シリーズ。インバカーギルは、かつて栄えていたということもあり、ペンキの剥がれかけた、いい感じにヴィンテージな壁がいくつもある。これが都会であれば、すぐに塗り替えてしまうところだろうが、放置されている感じがどこかよいのだ。

MGB GT V8も撮影したライカM5やボクと同じ、73年に生まれたクルマだということだ。小さいボディに、こんなにみっちりしたエンジン。この日は寒かったので、水温を気にしないで走れるとはオーナーの弁。

クイーンズタウンからインバカーギルに向かう途中に「WORLD FAMOUS FLY SHOP」の看板が出ていたので、立ち寄ると陽気なおじさんが。シーズンは始まったばかりだけど、もしやるならあそこがいいね! なんてこれまた地図を書いてくれた。

奥のネオンがヴィンテージなオークランドのレコ屋。店の名前はリアルグルービー。ヴィンテージな古着もあるよ! という看板があり、喜んでいくとすべて女性ものであった。店の中はかなり開けていて、ロスのアメーバレコードのようだった。

「T.White’s Bikes」の中はヴィンテージバイクの宝庫。ヴィンテージハントして帰りたいところだったが、ここは我慢。中はアーティスティックな空間。

「T.White’s Bikes」にあった、エンジン付きのヴィンテージMTB。モトラックスというカスタムパーツをMTBにつけてカスタムする遊び。素直にカッコイイけどもちろん公道では乗れないイリーガルバイク。
ライカM5にズルミックな35mmの理由

前ページのフライショップ、スチューは「釣りに行く前にそこのパンケーキがうまいカフェに行くといいよ!カワイイ三姉妹がいるはずだから……」と話していたので、次の日にいってみると、普通にオバさんがレジにいただけだった。たぶん聞きとりミスだろう。写真は自転車屋さんの工具。
ライカ、ライカ。ライカの何がそんなにいいのか? と気になったのが1年前。
そこからはじまり、ライカ関連の本を眺めたが最後。どうもM5が気になってしまい、そっからはもう寝ても覚めてもM5、M5。なによりボディの上面が他のM型のように段がついておらず、ツライチなのが好み。はたまた露出計がついている! ということで、横浜は「大貫カメラ」に出かけてみることにした。
早速、自分と同い年の1973年(1972〜73に製作されたもの)のM5をショーケースから出してもらった。銃のように重くて冷たい感触、この質感! 持ったのが運のつき。今買わなくても、どうせそのうち買うんだから! と購入。レンズはズミルックスの50mmを選んだ。
早速使ってみるものの、どうもピンが合わせづらい。中央の二重画像がすぐに合わないのだ。普段はオートフォーカスのデジカメを使っているので、そんなものかと思っていたが、半年後、新宿高島屋のカメラ市でM3を触らせてもらう。
「M3は50mmレンズが一番広いから、被写体が鮮明に見えますよ!」
と説明され、ファインダーを覗くと……あら不思議、ピンがすぐに合うし、視界がクリアではないか!
M5を売ってM3にしようかと思ったが、M5のファインダーに合わせて、レンズのほうを35ミリに買い換えた。で、購入後すぐにこのニュージーランドツアー。試し撮りもなにもしなかったが、M5では、50ミリよりも35ミリレンズのほうが、断然簡単にピントが合う。被写界深度を決め、露出メーターのとおりにシャッタースピードを合わせるだけ。これで、気になった景色を1枚ずつ全3本のフィルムで撮影した。ホントに撮れているかどうか疑問だったが、「ポパイカメラ」でプリントしてもらうと……なにやらいい感じ。
フィルムはトイカメラでお馴染みのロモ。理由はポパカメで一番安いネガフィルムだったから。でも、フィルム特徴仕上げにすると、ヴィンテージな感じになるのであった。

「T.White’s Bikes」でいろいろと教えてくれたTEVA。日本の手羽先のことも知っていた。たまたま寄った地球の反対側にある自転車屋で、自分が作った本を読んでいる読者に会えたことに感激。ちなみに、店の前で撮影していたら、それを見ていたクルマが前のクルマに追突するという事故も起きた。

35ミリレンズは、飛行機の窓から外をとるのにちょうどいいサイズ。これ以上広角だと窓のふちが入るし、これ以上望遠だと飛行機の翼が少しも入らない。それに、ヒマな移動時間もカメラを触っていると、時間があっという間に過ぎてしまう。
Text:Soichi Kageyama