2018.06.27

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

寸分違わぬプロボディを叩き出す男

世界でもっとも美しいアルミボディ

1965年のパリサロンでデビューしたプロトタイプレーシングカー、ディーノ206SP。ピニンファリーナによるデザインのボディは、オリジナルもハンドメイド。リプロダクションボディと同じ製法なのだ。

 決して再び生産されることの無い絶版車。世に数台しか存在しない希少車。そういった超レアなヴィンテージカーを蘇らせんとする時、究極のパーツと言えるのが、リプロダクション・ボディである。

 一つ一つ手作業で作り上げる工芸品を作るために、ひたすらにハンマーでメタルパネルと格闘を続けている職人がいる。ニュージーランド南東、のどかな観光地であるクイーンズタウンからさらにクルマで20分。豊かな自然……というより、見渡す限りの牧場に羊が群れる一本道を進んでいくと、一軒のガレージがあらわれる。

「タンスレーパネル」。

 世界で最も美しい叩き出しのアルミボディを生み出す男、バーニー・タンスレーの工房である。

 彼の仕事は、まずはオリジナルボディを探る事から始まる。

 「シャシー番号から、クルマのヒストリーを調べたりするのが一番最初の仕事だね」。

まずは徹底的な取材。設計図や当時の写真など、集められる全ての資料を探すのだそうだ。

ボディ職人、バーニー・タンスレーの手足となるツールたち。どの工具も使い込まれてはいるが、きちんとメンテナンスが施されていた。

 「設計図や資料が見つからない個体も多いよ。例えば、今作っているグループCカーだと、設計図なんて何処にもないのさ。そういう場合は……」。なんと1/8スケールのモデルカーをベースに、数字を起こすのだという。その数値を基に、まずはベースとなる木型を作り出す。

 その木型に沿って、素材の金属板を整形していくのである。ハンマーで叩き、整え、再び叩く。その繰り返しで作られたピースをアセチレンで溶接し、繋ぎ合わせていく。気の遠くなるような作業の末、精密に再現されたニューボディが完成するのである。

 今までにバーニーが再生したボディは数知れず。ディーノの206SPや、ジャガーCタイプ。こういった歴史的名車を手に入れたとしても、おいそれとはレストアをかけるわけにも行かない。キズ自体がヒストリーの一部でもあるのである。だが、レストレーションを全否定していては、全てのヴィンテージカーは博物館入りしてしまう。それならば、ダメージを受けたオリジナルボディは別に保存しておいて、精密に再現したニューボディでヒストリックカーレースを走る。そんな贅沢な大人の嗜みを実現する場所。それがタンスレーパネルなのである。

工房の他、広大な敷地……というか、牧場の中にある納屋。中には製作中のコブラやレストア中のインパラが納めてあった。

タンスレーが今までに手がけてきたリビルトボディの数々。1950年代にロータスが製作、ルマンで活躍したロータス11も、忠実に再現されて現代に蘇った。

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