2018.07.06

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

入門山基礎講座「ウエア、シューズ、バックパックの選び方、山歩きのテクニック」

ウエアは8アイテムを着回そう!「スリーシーズンレイヤード」

 山行回数が少なく経験不足のうちは、目的の山に適したウエアはなんだろうと悩んでしまいます。それには登山口や山頂の標高からおおよその気温を知るのがおすすめ。

 歩き出すとからだは温まリ、汗が出ます。汗は立ち止まったときにからだを冷やす大敵。暑いと感じたら1枚、また1枚と脱いで体温調節を図れるレイヤード(重ね着)が登山のウエアリングの基本です。

1.速乾性半袖シャツ

 半袖シャツと下記の長袖シャツはスリーシーズンにフル出動の基本ウエア。それらに求めたいのが、大量にかく汗を対策する速乾性素材であること。汗は冷えると急激に体温を奪い、夏でも低体温症を起こすことがあるため、素材の機能で汗をすばやく吸収し、乾きが早く、肌をドライな状態に保つことが重要。

2.速乾性長袖シャツ

 長袖と半袖の速乾性シャツを2枚用意し、重ね着するのがレイヤードの基本。たとえば、高標高の登山口は夏でも気温が低いために2枚を重ね着して歩き出し、からだが温まったら1枚を脱ぐ。登山中はからだの状態を常にチェックして感じ取り、こまめな脱ぎ着で汗をコントロールするのが快適な山歩きの秘訣。

3.ウインドブレーカー

 登山口に立ったとき、ちょっと肌寒いなと感じたら、サッと羽織って歩き出そう。そしてからだが温まったら脱ぎ、しまう。また山頂は風が強い場合が多いため、休憩時にパッと取り出して着て、からだを冷やさないようにしよう。常に着ているものではないため、軽量でコンパクトに収納できるものがよい。

4.薄手のフリース

 高標高の山頂は夏でも気温が低く、また風があると一層寒い。風速1mにつき体感温度は1℃下がるといわれ、立ち止まるととたんに冷えてくる。高い山に登る場合や、春秋の低温時の山歩きでは携帯しておき、ランチなどで長い休憩を取るときはサッと着込み、その上にウインドブレーカーを重ねるのがおすすめ。

5.薄手のダウンジャケット

 秋が深まるころの山歩きや、夏でも高山に登るときには、インナーダウンのような薄手のダウンを携帯しよう。低温時にはダウンの上にウインドブレーカーを重ねて保温性を高めるとよい。本誌では紹介していないが、高山の山小屋やテント場に泊まるような登山の場合は、どんな季節でも必携のアイテムとなる。

6.レインウエア

 歩行時間が短い山歩きでも、晴れが確約された天気でも、山の天気は急変が想定内のため、携帯は常に必須だ。気温が高い雨天時に着用した場合、歩行中は汗をかいてウエア内はサウナのようになり、結果、汗冷えしてしまう。このためできるだけ透湿性が高いものを選ぼう。ウインドブレーカーとして使うこともできる。

7.春夏用トレッキングパンツ

 山歩きのパンツに求められるのは、自由な足上げを妨げないストレッチ性。また乾きやすく軽量な素材であることも重要。足さばきのストレスがないフィット感も必須だ。デニムなどのコットン素材は、伸縮性がないため足上げで突っぱって動きづらく、汗が浸みて乾くことなく冷え、さらに重くなるのでNG。

8.秋冬用トレッキングパンツ

 気温が下がるシーズンには、防寒性に配慮されたパンツが必要になる。当然のことながら伸縮性は不可欠。深まる秋に高山を歩く場合は、パンツの下にタイツをはくのもおすすめだ。ただしタイツの着用は、歩き出すと暑くなって汗をかき、汗冷えのもとになるため、天候や気温の状況を見極めるなどして着用を判断しよう。

プラスアイテム

帽子/スリーシーズンでは日焼け対策の必須アイテム。日焼けは肌にダメージを与えるだけでなく、疲労と直結している。ツバがあるタイプが首の後ろをカバーできてよいが、キャップタイプをかぶるならマフラーなどを併用しよう。

手袋/天候によって防寒対策として使うほか、岩場などでは手の保護に役立つ。

マフラー/スリーシーズンでは防寒対策としてではなく、日焼け予防に使用する。

春山レイヤード

 3~6月ごろの春山は、気温が多少低くても日差しがあればぽかぽかと暖か。肌寒い登山口ではウインドブレーカーを着て歩き出し、汗をかくなどからだの温まり具合の様子を見ながら脱ぎ、温度調節をして登ろう。

夏山レイヤード

 夏山の場合は、歩くフィールドの標高によってウエアリングは異なる。

「標高が100m上がると気温は0.6℃下がる」

という公式を利用し、登山口や山頂の標高を当てはめ、現地の気温を予測してウエアを検討しよう。

秋山レイヤード

 9~11月ごろの秋山は、天候や標高による気温の変化が激しいため、レイヤードがもっとも重要視される季節。汗のかき具合を敏感に感じ取り、汗冷えでからだを冷やさないよう、こまめな脱ぎ着を心がけよう。

歩くフィールドによって選ぼう! 「トレッキングシューズ」

 登山道の険しさやシーンによって、難易度や体力度が変わる山登り。

 トレッキングシューズには、それに対応する、歩くフィールドや背負う装備の重さに適したタイプがあります。

『入門山 トレッキングサポートBOOK』の「楽々スニーカー山登り」で紹介しているフィールドはおおむね"さんぽ登山"ですから、スニーカーでも大丈夫。「あこがれの絶景登山」や「チャレンジ達成登山」にステップアップするにはハイキング用が必要です。

さんぽ登山

背負う荷物は軽く、登山道は十分に整備されている。そんなフィールドなら、まずは手持ちのスニーカーで歩き出してもOK!

「足場が悪い登山道ではリスクが大きい」

底が軟らかいため足裏が路面状況をじかに受けて疲れやすい。また足首をホールドできないことから、少しの段差でも足をひねりやすい。

ハイキング

ミドルカットで足首をホールドでき、軽量なため軽快に歩けて、防水性にも配慮があって安心。荷物が少ない日帰り登山向き。

「軟らかめのソール」

履き心地が軽い反面、地面の感触が足に伝わりやすいため、岩場が連続するフィールドや、テント泊など重い荷物の登山では疲れやすい。

本格的登山

ハイカットで足首をホールドし、硬いソールがゴツゴツした地面の衝撃を和らげて足の疲労を抑え、重量を担ぐなどの登山向き。

「がっしりと硬いソール」

急斜面の岩場を登るときなど、硬い靴底がからだを支えるため無理に踏ん張ることなく体力を温存できる。その反面、木道などは歩きにくい。

履き方手順

「ひもを完全にゆるめ、かかと合わせで履く」

「つま先からフィットさせて、ひもを締める」

タン部分を甲にぴったりと添わせたら、足を包むようにして、下から順に締めていく。締めすぎると圧迫されて、歩いているうちに痛んでくるので注意しよう。

登りと下りでフィッティングを変える

【登り】足首は締めすぎない
とくにハイカットの場合は、足首の可動域を持たせて自由に動けるように、上部をゆるめにする。

【下り】足首までひもをしっかり締める
上部をしっかり締めることで足首を固定し、シューズの中で足が動いてつま先を痛めることを防ぐ。

機能をチェックして好みでチョイス☆ 「バックパック」

 長時間背負うものだけに、バックパックは疲労感を左右する重要な装備です。

 本体の軽さや荷物の重さを軽減する構造、汗対策など、さまざなま工夫がなされています。

 日帰りで使い勝手がよいサイズは容量20~25L程度。どんな機能が備わっているか確認したら、試着してフィット感を確かめることも欠かせません。さらにカラフルな色使いやファッション性も考慮して選びましょう。

容量と機能

「20L程度リュックタイプ」
日帰り用と限定するなら荷物は少ないため、シンプルなつくりで軽量、レインカバー付きのリュックタイプがおすすめ。ただし、鉄道&バスの利用でフィールドに向かう場合は、下山後に温泉に入る予定で荷物が増えると、このサイズでは小さい。

「25~30L雨ぶたタイプ」
いずれは山小屋泊登山をしようと考えるなら、容量25~30L程度が適当。随所に荷物の重さを分散させる工夫がなされ、フィット感を高めて疲労を軽減するパーツを装備。またレインカバーが付属するなど、快適性が重視されている。

フィッティングが重要

 街で使うものと違って、山で使うバックパックは道具。このため長時間背負っても疲れにくい機能を備えている。

 ヒップベルトを腰骨の位置で締めたら、バックパックの収まりのよさを確かめながらショルダーストラップを引くなど、からだにしっかりフィットするように各所を調整して背負い、機能を最大限に活用しよう。

基本の持ちもの

マップ

 自然のフィールドを歩くには、地図の携帯は必須。

 ただし『入門山 トレッキングサポートBOOK』の「楽々スニーカー山登り」で紹介しているフィールドは、登山道や遊歩道の整備が十分で、案内板や標識などもしっかりしているため、現地の観光案内などで配られるハイキングマップや、ネットの公式サイトに掲載されてダウンロードできる簡易マップでもOK。

 「あこがれの絶景登山」や「チャレンジ達成登山」のフィールドを歩くときは、歩行時間や周辺の登山道などが詳細な登山地図を利用しよう。

休憩アイテム

 行動食やお弁当/眺めのよい場所や山頂での休憩は、山登りのお楽しみ。重くなりすぎない程度に好きなものを用意しよう。

ゴミ袋/レジ袋を数枚持って出たゴミを持ち帰ろう。少し大きめのゴミ袋を携帯すれば突然の雨で重宝する。

携帯ざぶとん/レジャーシートを敷く場合でもベンチに座るときでも、使用すれば断熱効果があって冷え知らず♪

飲料水/基本は1L程度の水。夏場で長めの登山の場合は増量しよう。水は飲むだけでなく、ケガしたときにも使う。

手ぬぐい/汗をふいたり、突然の雨に備えよう。もしものケガのときにはさまざまな使い方ができて重宝する。

天候&緊急時の対策アイテム

レインウエアや傘/レインウエアは常に携帯するが、歩行時間が短く、遊歩道を歩くようなフィールドなら折り畳み傘でもよい。

ヘッドランプ/万が一ケガするなどして、明るいうちに下山できなくなることを想定して、常時バックパックに携帯する。

日焼け止め/日焼けは疲労を促すためにNG。歩く前に日焼け止めを施しても汗で流れてしまう。ぬり直しのために携帯しよう。

防寒着や保温着/ウインドブレーカーや薄手のフリースなど、山の標高や季節によって、携帯性のよいウエアを持っておこう。
絆創膏など/靴ズレを起こしたり、うっかりの転倒で軽いケガをすることなどを想定して、応急処置できるようにしよう。

ジッパー付きビニール袋/携帯電話やカメラなど、雨が降ったときに入れるほか、濡らしたくない手ぬぐいや着替えを入れる。

プラスアイテム「休憩時のほっこりアイテム」

 暑いときには冷たい、寒いときには温かい飲みものを保温ボトルに用意しておくと、手軽に飲めて、たちまちリラックスできる。山頂などで長時間過ごして楽しむなら、クッキングバーナーと水、好みのコーヒーなどを用意して、山カフェするのもおすすめ。また、森歩きには苔などの植物図鑑、冬枯れの季節には双眼鏡を手に野鳥観察も楽しい。

注意すべき登山道の状態と歩き方のコツ「登山道の攻略」

 登山道は、そのフィールドの形成を表してさまざまな状態にあります。どんな道が現れてもトレッキングシューズを履いていれば躊躇なく進めますが、歩き方のコツや注意点を知っておけばさらに安心です。ここで事前学習して、現地ではスムーズに通過しましょう。

木道

 貴重な植物を保護するために湿原などに敷設されている。凹凸やアップダウンがなく歩きやすい。2レーンある場所では左右どちらを通行するか決まっている場合があり、写真を撮るときなどは道をふさがないよう気を配ろう。また、朝露などで濡れているときは滑りやすいので注意しよう。

整備段

 急斜面に丸太や角材、石などで階段状に設置されている。さまざまな高さと奥行きがあり、自分の歩幅やリズムで歩けないため、非常に疲れる。

 足の疲労を軽くするため、比較的段差が低いところを選び、段差の真下に軸足を寄せ、できるだけももを大きくあげないようにして登ろう。

木の根

 踏むと滑って危険な上、根を傷めてしまう。また不用意に歩くと足をひねったり、つまづいて転倒する恐れもある。足を乗せないで登れる足場を探し、やむなく乗せるときは、根に対して直角にすると滑りにくい。ストックを手にしていればしまうか、ゴムキャップを必ずつけること。

ぬかるみ

 水が出やすい土地や、霜が降りたあと、雪解けで土面が泥道になっている。不用意に足を置くと滑ってしまう。歩き方は、足場を見極めながら歩幅を小さくして慎重に。ぬかるみを避けようと登山道を外れて歩くと植物を傷めてしまうため、ぬかっていても登山道以外は歩かないこと。

クサリ&ロープ場

 急な斜面や崖など、危険性が高い場所に安全を確保するために設置されている。補助的に使うものと、使用必至なものとがあり、補助的な場所では、それらに頼りきらず、足もとに注意しながら片手で握る。クサリを頼りに登下降する壁面では、腕の力だけでなく脚力もしっかり使うこと。

ガレ場

 大小無数の石で埋めつくされている。一つひとつの石がグラグラと不安定で、不用意に歩くと足をひねったり、石がくずれて転倒する恐れがある。足を運ぶごとに石の動きを確かめ、真上から足を置いて石を押さえ込むようにして歩こう。道筋を示す印があるときは見落とさないように。

ザレ場

 小さい石が敷き詰められたような状態。足を取られたり滑ったり、深い場合は潜ったりして歩きづらい。斜面のザレ場はスリップしてとくにやっかい。小さな歩幅で上から押しつけるように歩こう。踏み跡がわかりにくい場合もあり、そんなときは周囲を見渡し、道筋を確かめて進もう。

砂れき

 火山系の山に見られるフカフカの砂が敷き詰められた状態。足が潜り、足を取られて思うように進めず、たいへん歩きづらく、足の疲労も大きい。歩幅を小さくして、足に負担をかけないようにして歩こう。シューズの中に砂が入るため、スニーカーはNG。スパッツを使うのがおすすめ。

疲労を最小限にとどめよう!「山歩きのテクニック」

 山も渓谷もフィールドの道のほとんどは未舗装路です。そんな場所で普段と同じ歩き方をしていては、すぐに疲れてせっかくの風景を思うように楽しめません。登り下りはもちろん、休憩まで、できるだけ疲れないようにするコツを覚えて、思いきり自然を満喫しましょう!

登り下りの基本

 脚力の温存の秘訣は、大股で歩くなど無駄な動きで筋肉を疲労させないこと。山での歩きは意識的に歩幅を小さくして省エネでいこう。また、一定の速度やおしゃべりできるスピードでの歩行は、呼吸が乱れず疲れにくい。会話ができる速さは個人差があるため、自分に最適なペースを見つけよう。

 汗をかきすぎると不快なだけでなく、からだを冷やして疲労を促すため汗をかきすぎないペースに気をつけて歩こう。

上手な休み方

 フィールドでの行動は、想像以上の汗をかき、カロリーを消費する。山歩きが不慣れなうちは、一定の間隔を決めて疲れを感じる前に小休止し、水分や行動食を口にするのがバテない秘訣。

 おすすめは15分ほど歩いたら1分程度の短い休憩。長く休むと、歩き出しでからだがだるく、重く感じられてしまう。また休憩では汗の状態にも注目しよう。汗冷えは疲労に直結するため、昼食などの長い休憩ではウエアを重ね着してからだを冷やさないようにしよう。

急勾配と岩場

 急登では歩幅を小さく、ゆっくりのペースを心がけよう。とくに急勾配が続く山では呼吸を意識することが大事。顔を上げて姿勢を正し、息を大きく吐ききると肺に多くの空気が入って楽になる。

 また、急登や段差で足を大きく上げてガシガシ登ると、筋力をどんどん使って脚力を消耗させてしまう。段差ではできるだけ低い箇所を選び、段差の真下に軸足を置いて登る。「えいっ!」とか「それっ!」と声を出した直後に、息をつめて弾みをつけるような登り方はNGだ。

安全な下り方

 下りは登りよりも足の負担が大きく、登りの疲れが影響して集中力も途切れがちになる。転倒しないために、より一層、足の運びを慎重にしよう。それには、歩幅を小さくして足裏全体を接地させるフラットフッティングが下りの勢いを抑えて、安全。

 また、段差で下ろす足に一度に体重を預けるのも、ひざに大きな負担をかけるためにNG。大きな段差では、段差に対してからだを横に向けて足を下ろすと、ひざへの衝撃が緩和できる。ひざに痛みが出ていたり、登山終盤で疲弊している足に優しい歩き方だ。

必要性を感じるまではストックは 使わないほうがよい

ストックは、植物を傷めて登山道を拡張する一因になりうる。

 フィールドでの歩行をサポートするストックだが、ビギナーのうちは使わないでおこう。まずは自身のバランス感覚を鍛え、自分の足だけで路面状況を体感することが重要だ。山歩きに馴れ、体力不足を感じるなどしたときに、携帯するようにしたい。

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