2018.09.25

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

カルチエ・ラタンの自転車スタイル「GEPETTO & VELOS」

"ジェペット"とは無論、ピノキオ童話のゼペット爺さんで、"ヴェロ"とは自転車のこと。どんなに注意しても、ときどき手をかけてあげないといけないのが自転車で、修理に通う場所というのも、納得だ。

1996年に5区で創業し、2001年からよりよい立地のこの場に居を移したジェペット・エ・ヴェロと、オーナーのアンヌ・マリー。

自転車は気持ちよく走るべし、という原点に忠実なショップ

RALEIGH/
いい感じに使い込まれた‘70年代のラレーの街乗りモデル。こうした実用的ヴィンテージはこの店の得意分野で、同じ時代のオランダ製のハンドメイドによる実用モデルなど、パリでは珍しいモデルも多数ある。

 地区によって雰囲気も人もガラリと変わるのがパリ。ジェペット・エ・ヴェロは文教地区として知られる左岸5区、少し下ればセーヌ河というカルチエ・ラタンの一角にある。お客さんは地元の住民や学生も多いが、自転車ツアーの観光客が小雨用のポンチョなど、ちょっとしたアクセサリーを探しにくることもまちまち。何より川沿い近くでアテにできる店として、ツアーの主催者が覚えているのだ。

 アンヌ・マリーが自転車ショップを開いたのは1996年。ストライキで街の交通がマヒした時に、閃いたという。

「最初のお客さんは、ウチの修理に満足してくれたかどうか」

と苦笑いするが、元より何でも手習いするタチの彼女は、着実に修理スキルと信用を積み上げて「この街の自転車屋さん」になった。近所のバーやカフェのフライヤーや絵葉書がペタペタと貼られたアトリエは、街のエアポケットといった風情で、長々とお喋りにくる常連さんも少なくない。

 販売で取り扱う自転車は、およそ旧車と新車で半々だが、共通するのは完動品であることと、ちょっとレトロであること。スポーツ系やピストも、フランス製やイタリア製、アメリカ製もあるが、得意はやっぱり「オランダ自転車」と呼ばれる、頑丈なアシとして使える街乗り自転車だ。というのも、オーナーのアンヌ・マリーはオランダ出身で、その実用本位な自転車カルチャーをよく知っているし当然パーツや車両、アクセサリーの仕入れも強い。

 店の奥のアトリエでメカニックのフアッドと彼女は、いつも忙しく動いている。持ち込まれた自転車をできるだけその日中に修理して返すためだ。

 実際、パリ屈指の名門校だらけのこの地区で、貴重な思索に頭脳を凝らしながら朝昼夕と忙しく街を行き帰りする人々にとって、「フランコ・フランセ」というほどベタでないインターナショナルなスタイルで、移動の必要をキチンと満たせる自転車と、修理整備でクイックサービスをアテにできるお店は、ゼペット爺さんのように貴重な存在なのだ。

壁一面には、使い込まれた工具がキレイに整頓されて並べられている。ヴィンテージなアトリエの、お手本のような光景といえる。

Alpina/
ディティールの質がいいレトロ・スタイルの新車は現在、イタリア製がパフォーマンスが高いという店主。写真のアルピナはラグ溶接のフレームにコンポーネントは最新鋭のシマノ・ネクサスというモダンな一台。

Photo & Text:NANYO Kazuhiro

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