2018.09.20

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

現在進行形の伝説。「PAGANI」

スーパーカーが真に超越した存在になるためには、その成り立ちにストーリーが存在しなければならない。その意味でパガーニは、この21世紀に存在する、ただ一つのスーパーカーと言える。

アルゼンチンからモデナへ

ボディカラー、内装色はおろか、機能と安全に関すること以外はほぼ全てオーダー可能。取材に訪れたこの日に組み上げられていた数台のウアイラは、どれもワンオフで一から仕立て上げられたかのような個性に溢れていた。

 エンツォ・フェラーリはアルファ・ロメオのレーシング・プロジェクトを一手に担うも、疎まられて追い出され、その後1946年に初めて自身の名を冠した「フェラーリ・ティーポ125」を発表した。

 トラクターやボイラーの製造で財を成したフェルッチオ・ランボルギーニは、自身が所有していたフェラーリの品質の低さに対してクレームを入れたところ無視されたことで、1963年、アウトモビリ・フェルッチオ・ランボルギーニS.p.Aを設立し、翌年「ランボルギーニ350GT」を世に送り出した。

 スーパーカーには、バックボーンとなるストーリーが必要である。それがなければ、どんなに他を凌駕する速さや美しさを持っていたとしても、人々の心に深く長く名を残すことは難しい。その意味で、フェラーリやランボルギーニと同じ土俵で語ることができうるのが、ここにご紹介する「PAGANI(パガーニ)」である。

 デザイナー、設計者、経営者として活躍するオラチオ・パガーニ氏は、アルゼンチンに生まれながらスーパーカー作りに憧れていた。そんな時、同じくアルゼンチンに生まれ、5度のF1ワールドチャンピオンに輝いた稀代のドライバー、ファン・マヌエル・ファンジオ氏と出会い、ランボルギーニとフェラーリに推薦状を書いてもらう。

 ところがフェラーリからは何の返事もなく、ランボルギーニは雇ってくれたものの、与えられた仕事は工場のモップがけだった。そこから彼は努力を続け独立し、1999年、自身の名を冠した初のスーパーカー、パガーニ・ゾンダCを発表。今に至るまでのサクセスストーリーを実現している。

レオナルド・ダ・ヴィンチに敬意を表して

PAGANI HUAYRA/
エンジンは6リッターV12ツインターボで、730PS/102kg-mを発揮する。なおウアイラのこの仕様は100台限定で、取材時点ですでにそのうち52台の注文が入っていた。日本価格は1億5,000万円から。

 パガーニが最も大切にしているアイデンティティは3つ。テクノロジー、デザイン、そして快適かつ安全であることだ。

 まずテクノロジーの面で最たるものが、カーボンコンポジット構造のボディである。

「私は今から30年前、これからのスーパーカーはカーボンしかないと確信しました。そして1989年には、ゾンダのコンセプトはできていたのです」

とパガーニ氏。

 今やカーボンを構造体に使うことはスーパーカーの世界では一般的なことになりつつあるが、市販車として初めてカーボン構造を採用したのは92年デビューのブガッティEB110や93年デビューのマクラーレンF1であるから、確かにパガーニ氏には先見の明があったのだ。

 そしてデザイン。パガーニが目指すのは「レオナルド・ダ・ヴィンチ」だ。ルネサンスを代表する彼に倣い、技術だけでなく芸術性も徹底的に追及されている。それは、写真を見るだけでも充分伝わることだろう。快適性・安全性に関しては、「望むとおりの速さでどこへでも走っていけること」こそが信条であるという。

 「まず、市場にどのようなクルマが望まれているのかを徹底的に考えます。ですが最後に決定するのは私です。愛と情熱を持ち、自分を信じてその道を突き進むだけ。『パガーニ』の名を如何に受け継いでいくか、その重い責任を私は担っているのです」

 フェラーリも、ランボルギーニも、そしてパガーニも、イタリア・モデナで生まれた。数十年後の書物に書かれたスーパーカーに関する偉人の系譜には、エンツォ・フェラーリ−フェルッチオ・ランボルギーニ−オラチオ・パガーニという一本の線が引かれることになるだろう。

オラチオ・パガーニ氏自身は5台のゾンダを所有しているというが、ウアイラはまだ。ということは、自身が望むウアイラが今後発表されるということだろうか?

エンジンはメルセデス・ベンツAMG製。0-100km/h加速3.3秒、最高速度360km/hというその性能を100%味わうのは難しいが、その美しさはフードを開けるだけで愉しめる。

今年中に新工場と新社屋がオープン予定。パガーニ氏がセレクトした10台ほどの名車を展示するムゼオ・パガーニも併設するという。

Arte Paganiという、クルマ以外のアイテムを製作する新会社を設立。これはその第一弾となるボールペンのプロトタイプ。価格は1万ユーロを想定(取材時)。

ゾンダの透視図。デザイン、設計はほぼ全てパガーニ氏が手掛けた。

テキスト:Yoichi SAKAGAMI
媒体:VINTAGE LIFE 10

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