2018.11.08

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

MAP CAMERAで選ぶ「バルナックライカ」

「バルナックライカ」。それは、M型以前のライカに付けられた呼び名。オスカー・バルナックにちなんで名付けられた「もうひとつのライカ」をご紹介する。

「バルナックの作法」、恐るるに足らず

 「軍艦部」に代表されるクラシック然としたスタイル。銘玉の数々。撮って良し、手にとって眺めるも良しの「バルナックライカ」は、ライカの原点ともいえるレンジファインダーの銘機である。

 趣味性の高さはいわずもがな、M型より比較的手頃なプライスも好ましい。でも、いつかはと思いつつ今一歩躊躇してしまうのも、バルナックの定めである。あと一歩が踏み出せない理由。それは、「作法の壁」ではないだろうか? 結論から言えば「恐るるに足らず」。

 よくいわれるのがフィルム交換。底蓋を開けて云々は確かに面倒だが、要は慣れの問題である。M型も同様の作業が必要であり、ライカの儀式だと考えればそれもまた楽し。自分でカットしたフィルムを、慣れた手つきでサッと交換。「フィルム装填」は、ライカ使いに許された密かな悦楽なのだ。

 ピント合わせもまたしかり。距離計窓でフォーカシングしてから、ファインダーをのぞき込む。そんなお約束も、儀式だと考えれば楽しいモノ。整備されたボディとレンズならば、驚くほどピシリと合焦してくれるハズ。せっかくの銘玉。臆せず解放で撮らねばもったいない。

 手に馴染むコンパクトボディは、散歩のお供にも最適。普段使いのライカとしても、魅力的な存在である。

使いやすく、良く写るオススメのバルナックたち「LEICA DⅢ」

シャイニークロームの誘惑「1934 Leica DⅢ」

1/8〜1秒のスローシャッターが切れるようになった「DⅢ」は、1933年の登場。DⅢに至るまではブラックボディがベーシックで、クロームの方が小数。さらにDⅢのごく後期だけに存在した独特のクロームは通称「シャイニークローム」と呼ばれており、人気が高い。ロングセラー「ズマール」は、いわばイニシエのハイスピードレンズといった存在。ノンコーティングならではの描写を堪能したい。

ちょっとひねってヘクトールと「1933 Leica DⅢ」

バルナックの大きな魅力は、やはりヴィンテージなデザイン。ブラックボディと少し黄色がかったニッケルメッキ・ダイヤルの組み合わせは、時の流れに感謝したくなる。となれば、レンズもニッケルを選びたい。直球勝負ならエルマーだが、ここは少しひねってヘクトールをチョイスしてみた。

距離計とスローシャッターを搭載

 ピントを合わせる距離計と、構図を決定するファインダー。この二つが別々に独立するというお約束は、1932年に登場した「D II」以降、全バルナックライカに共通するポイントである。つまり、初めて距離計を装備したD II以前のライカは目測式。それを考えれば、二つのアイピースという不便さも、「目測だけ」よりはよほど親切に思えてくるから不思議である。

 上記に登場する「D III」は、D IIのボディ前面に低速用シャッターを搭載した進化版。スローシャッターと距離計を搭載、レンズ交換が可能となり、ライカの実用性は飛躍的に高まっている。

 映画用フィルムを使ったコンパクトで高性能なカメラ。オスカー・バルナックによって生み出されたライカは、誕生以来、常に進化を続けてきた。中でも1950年に登場した「III f」は、バルナックライカの完成形と呼ぶにふさわしいモデルであった。

 実際、このモデルがあれば、「ヴィンテージカメラだから諦めなくてはならない」という場面に出くわすことは少ないだろう。ベースとなったのは「ライカIII」で、すでに最高速度1/1,000のシャッターを装備。それ以前は1/500が限界だったが、光量の多い日中では、もうひと息欲しいところ。せっかく明るいレンズを手に入れたのなら、解放で使ってみたい……。となると、1/1,000の高速シャッターが頼もしい。

 距離計とファインダーは相変わらずそれぞれ独立しているが、その距離はグッと縮まっているからストレスはほとんど感じないだろう。さらに、この個体はセルフタイマーが付いているので、家族の記念撮影も撮れる……。大切な想い出を写し撮る瞬間、バルナックライカが手の中に。そんな素敵な使い方も、III fは可能にしてくれるのである。

バルナックライカの完成形「LEICA Ⅲf」

必要な装備は全部ある「1954 Leica Ⅲf」

進化を続けてきたスクリューマウント型ライカの総仕上げ的モデルが「III f」。フラッシュの同調が可能となり、シャッターダイヤルまわりにはそのコンタクトナンバーが刻まれている。この個体は、その文字が赤い、いわゆるレッドシンクロと呼ばれる後期型だ。赤エルマーとの組み合わせはバッチリ。

外付けファインダーのススメ

(1)Summaron L35mm F3.5 (5万900円)/
ライカ純正35mmとしては、最も手頃な価格で手に入る。小さなボディからは想像できない、写りと渋めの発色はデジタルとも相性良し。

(2)Summar L50 F2 (7万1,795円)/
多くのファンに愛された名レンズ。クセ玉の個性を楽しみたい。

(3)Hektor L28mm F6.3 (12万400円)/
ライカ初の28mmレンズ。1935年発売とは思えない描写が味わえる。

(4)Sbooi 50mm Finder (2万4,480円)
(5)Weisu 35mm Finder (9万7,200円)
(6)Sbloo 35mm Finder (5万9,658円)/
ライカ純正の外付けファインダーたち。カメラから外して、世界を眺めるだけでも楽しい逸品。

ファインダーが50mmのボディに、35mmレンズを取り付けたい。そんな時に活躍するのが「外付けファインダー」である。装着してのぞき込むだけだが、その瞬間、クリアな世界に驚愕するだろう。バルナックの小さなファインダーをのぞき込むのも乙だが、見易さは段違い。バルナック使いなら、一度は体験していただきたい。それが外付けファインダーである。

最後のバルナックライカ「LEICA Ⅲg」

バルナックとM型のハイブリット「1956 Leica Ⅲg」

M型ゆずりのブライトフレームを持つバルナックライカ。もちろん、距離計窓を覗いてピント合わせをするという操作性はバルナックそのもので、通好みの最終世代バルナックといえる。レンズは、コーティングが施された第1世代ズミクロンをチョイス。ライカビットも装着して、素早いスナップ撮影がしやすいバルナックライカとなった。

使いやすさピカイチのLマウントモデル

 バルナックライカのフィナーレを飾った「Ⅲg」の登場は1957年。当時、すでに新世代のMマウントを採用したM3が登場していたが、長いことバルナックを愛用してきたユーザーの為に発売されたモデルといえる。

 バルナックの完成形と名高い「Ⅲf」と、M型のハイブリットといえるモデルで、最大の特徴はバルナックでありながらブライトフレームを装備している事。50㎜と90㎜のフレームを持ち、パララックスも自動で補正するという念の入りようで、この辺りは外付けファインダーには出来ない芸当である。

 そのほかにも細かい操作がアップデートされており、使いやすさはピカイチ。コンパクトなボディや数々のお作法などにバルナックらしさを残しつつ、近代的にアップデートされたモデルであるといえる。最後のスクリューマウントライカなので、Lレンズを堪能したいという方にもオススメである。

カメラ:Yasuhiro YOKOSAWA
テキスト:Yoshiro YAMADA
媒体:VINTAGE LIFE 11

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