2018.11.12

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

プライベートアイズで選ぶ「1930年代&40mmクロノの世界」

LONGINES CHLONOGRAPH/1930年代製。バルジュー初の腕時計用クロノグラフエボーシュとして誕生した歴史的名品であるキャリバー22を搭載した2カウンタークロノ。ダイアル外周とセンターにはブルーのインデックスでテレメーターが付いている。手巻き。18KYGケース。参考商品。

今やケース径40ミリオーバーの時計は当たり前であるが、1930年代のヴィンテージクロノにも数多く存在した。魅惑のオーバーサイズクロノの魅力を探る。

ドレス感を纏うブラッククロノ

UNIVERSAL COLONIAL/
1930年代製。ブラックの引き締まった2カウンタークロノグラフに、ドーム風防がヴィンテージ感を漂わす。ダイアルには控えめなローマンインデックスがドレッシーに引き立てる。手巻き。SSケース。参考商品。

 アンティークのクロノグラフでも、特に自社製ムーブメントを手掛けていたブランドは、時計愛好家からも一目置かれている。それはマニュファクチュールを名乗る有名メゾンであっても、クロノグラフだけはエボーシュ(ムーブメントメーカーが製造する未完成ムーブメント)を用いる例が多かったからだ。レマニアやヴィーナスなど、高級クロノグラフエボーシュメーカーと並んで、今回取り上げるロンジン、ユニバーサルなどに熱狂的な信奉者が多いのは、そうした背景がある。

 1930年代はクロノグラフが発展し、花開いた時代であった。それはちょうど世界大戦期にあたる。そのため多くのクロノグラフメーカーは、各国の軍に最先端の軍需品として納入した。それは各ミッションに応じて、防水性をはじめとした視認性、耐久性など技術革新が凝縮されたアイテムだったのである。しかし当時から時計は高価であったため、将校などの高い階級に限られたと推測される。

 そして必然的にダイアルカラーはブラックが多かった。その後はミリタリーモデル以外にも、航空用や医療用、鉄道時計など、現場で働くプロフェッショナルな実用時計として発展していったのである。現在のデカ厚ケースブームも、エベラールから始まり、パネライ、ブライトリングといったミッションウォッチをルーツに持つブランドが牽引しているのも頷ける。

 もともと腕時計用クロノグラフの発展は、懐中時計用クロノグラフのダウンサイジングから始まっている。1930年代当時でケース径40ミリ前後オーバーサイズの時計といえば、直径約33ミリの15型ムーブメントが収められていることが多かった。15型は懐中時計用である。腕時計としては巨大で腕に馴染まなかったかもしれないが、時刻を読み取りやすい戦場の必需品として大活躍した。軍用時計としては見事にその欠点をカバーすることができたのである。

 今回登場しているロンジンやユニバーサルなど、オーバーサイズウォッチのムーブメントには、しばしば大振りのテンワにチラネジが付いているのを見ることができる。耐震や精度などの精度が上がった現在の技術では意味のないディテールと思われるかもしれないが、手間とコストを費やしたチラネジには味わいがあり、時計を愛する人たちにとってはたまらないヴィンテージの魅力となっている。

 華美になり過ぎず、それでいて実用的にデザインされたオーバーサイズクロノ。時代的にその多くの文字盤デザインは2カウンタークロノで、ブラックフェイス。そこに隠された時計それぞれが持つストーリーに、機械式時計ファンは心をくすぐられる。

UNIVERSAL/
1930年後半製。ブレゲ数字にブレゲ針といった王道のディテールに、経年変化で色が変わったインデックスも良い味となっている。ブラックダイヤルの艶やかさが際立つ1本となっている。手巻き。SSケース。参考商品。

’30年代のマスターピースたち

UNIVERSAL/
1930年後半製。タキメーターの付いた2カウンタークロノグラフ。インデックスはレイルトラックが施されており、それだけで上品な印象を帯びる。こちらはフラットな風防となっており、より実用的なスタイルとなっている。手巻き。SSケース。参考商品。

カメラ:Yasuhiro YOKOSAWA
テキスト:Katsumi TAKAHASHI
媒体:VINTAGE LIFE 11

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