2018.07.30

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

夏本番! 水辺の自然を身近に再現「美しいビオトープをつくろう」

水鉢や睡蓮鉢などの器を使って、水辺の植物を育ててみよう。水辺の植物は種類が豊富で、なおかつ丈夫で管理がしやすいものがほとんどだ。美しい自然をお手本にして、ビオトープづくりにチャレンジ。水辺が身近にあることで、心地よい清涼感を運んでくれる。

Biotope Garden01「水辺の自然に触れながら、テラスでのんびり過ごす休日」

大きな流木を組み合わせ、自然のダイナミックな力強さを演出。組んだ流木の内部には、水中ポンプからのホースが設置され、水が流れ出てくる仕組みに。水が行き渡る場所にコケを配置している。

 ウッドデッキのテラスに設置されたコンテナビオトープ。幅1mを超えるコンテナ容器のまわりを木枠で囲い、設置場所のイメージに合わせてデザインされたものだ。木枠とデッキの質感がなじんでいるため、流木の形状や植物のグリーンがより引き立って見える。また、木枠の天板が幅広く設計され、腰をかけることもできる重厚な造りにしているのもポイント。水辺の植物やメダカを間近でのんびりと観賞したくなるビオトープに仕上げている。

 この作品を制作したのは、ヒロセペットの廣瀬泰治さん。アクアリウムのレイアウターとして数々の作品を手がけ、高い評価を得ているひとりだ。シックなイメージの外枠に合わせ、内部の植栽もなるべくシンプルなものにしたかったという。

 コンテナ内には、底面フィルターと底床用ろ材「ブルカミア」を入れた水槽を沈め、水中ポンプで水を汲み上げて循環させている。流木は水面から高く突き出るように組み合わせ、中央部分から水が流れ出るように。使用した植物はバラエティー豊富。水上にはガマ、シペルス、セキショウ、エキノドルス、ロタラ・インジカ、プミラ、ハイゴケ、水中にはスイレン、バリスネリア、ササバモなどを植栽している。

 日本の池などによく見られる草丈の高いガマは秋になると穂を先端に実らせ、スイレンやエキノドルスは夏に花が咲き、ロタラ・インジカの水上葉は春に紫色の花を咲かせる。こうした四季の変化を身近に感じられることが、ビオトープの最大の魅力といえるだろう。

水中にはスイレンやササバモ、アマゾンフロッグピットなどを。水面を覆う水草を多めに植えることで、水温の急激な上昇を防ぐことができ、メダカの飼育にも安心。

Biotope Garden02「小さな水鉢に緑を添えて、メダカを泳がせる」

 広い庭がなくても、ビオトープは充分に楽しめる。小さな水鉢で植物を育てたり、メダカを飼ったりすることも可能だ。

 ここでは幅30㎝程度の陶器の水鉢を利用して、小さなメダカビオトープをつくってもらった。明るい色合いの砂利を敷き、サトイモ科のヤツガシラを2株配置。小さな流木を置いて、幹之メダカを数匹泳がせている。小さいながらもシンプルなアレンジでとても涼しげ。ヤツガシラの葉は素朴な印象があり、メダカのいる水辺の風景によく似合っている。

 しかし真夏の直射日光下では、水温が上がり過ぎてしまうので、半日陰のやや涼しい場所で管理するとよい。

Biotope Garden03「水を好むフジの木をあしらって自然感を演出」

植物はすべて砂利に植え込まずに配置。レイアウトもすぐに変更でき、管理も楽。

 幅広の水鉢の水面を泳いでいるメダカは楊貴妃。オレンジ色の体色がよく目立ち、群れをつくるようにして、器のなかをぐるぐると泳ぎまわっているのが印象的だ。

 使われている植物は、水草の水上葉が寄せ植えされた「侘び草」のほか、ドクダミやギボウシ、フジの木も一緒にアレンジしている。とくに水分を好むフジは、鉢植えのまま腰水の要領で水鉢のなかに配置させているのが特長だ。

 フジの葉が上から水面を覆うように広がり、日射しが当たると適度な日陰をつくってくれる。また、水面近くの植栽のほかに高さのある木をプラスすることで、高低差が生まれ、より自然に近い風景を演出することができる。

Biotope Garden04「植物の美しさを引き立てる、風景づくりの技術」

 金魚の柄が描かれた純和風の睡蓮鉢で表現された美しいビオトープだ。流木の力強さと水生植物の繊細な雰囲気が調和し、ひとつのまとまった風景をつくり出している。このアレンジを手がけたのは、ヒロセペットの広瀬祥茂さん。

「水辺の植物は直線的に伸びるライン状の草姿が多いので、あえて流木を斜めに配置し、景色に異なる流れをつくりました」。

 たしかに、この流木のおかげで、トクサやシペラス、パピルス、ヌマハリイ、ヒメアシなどの直線的な美しさがより強調されているように見える。また、流木の前後に、サイズの異なる直線的な植物を配置しているのもポイントで、ナチュラルな雰囲気と奥行き感を生み出している。

 さらに、ハツユキカズラを流木に絡ませることで、時間の経過を演出し、斑入りの葉とロタラの花で色彩の変化をつけている。制作の工程は、睡蓮鉢のサイズに合わせて複数の流木をビスで固定し、その後に底床用ろ材「ブルカミア」を入れ、植物を植栽している。白系のメダカを入れることを前提にしたため、ソイルは黒色のものをセレクトした。

 限られた空間でも、レイアウト素材や多彩な植物をうまく利用することで、自然の風景を切り取ったかのような、美しいビオトープをつくることができるのだ。

多様な植物を取り入れることで、複雑な水辺環境を再現。草姿や葉色などが異なる植物をバランスよく配置させている。

Biotope Garden05「植物のテイストを変えれば、熱帯を連想させるビオトープに」

 ビオトープといえば、どうしても日本の湖沼や田んぼなどの水辺風景を連想してしまうものだ。そんな固定概念をいい意味で崩し、新たな可能性を発見させてくれるのがこの作品だ。それは見るからに日本の風景ではない。どこか南国の風景をイメージさせるビオトープなのだ。

 このアレンジを制作したのは、リミックスmozoワンダーシティ店で、数々のグリーンアレンジを手がける遠藤元也さんだ。リミックスオリジナルの「めだかの黒い飼育箱・丸型」を利用している。素材は発泡スチロール性でとても軽く扱いやすいのがメリット。珍しい黒発砲のため、重厚な高級感も得られる。レイアウトには吸水性スポンジの「アクアフォーム」を土台にして、切り株のような流木を配置し、多彩な植物を植え込んでいる。

 植物はベニシダを中心に、トネリコ、ピレア、ルディシア、シノブゴケ、オオスギゴケなどを使用した。四方に広がるシダの葉姿や、ジュエルオーキッドとして知られるルディシアなどが南国風の雰囲気を醸しだし、これまでにないビオトープに仕上がった。また、ピレアなどは小さな株をところどころに散りばめることで、自然感を演出している。

 水中には幹之メダカを10匹ほど泳がせた。異国情緒あふれる風景で観賞するメダカも、なかなか味わい深いものだ。

大きく広がるシダの葉やジュエルオーキッドなどが南国の雰囲気を醸し出す。細やかな植栽バランスにも注目したい。

Biotope Garden06「多彩なアイディアでつくる、水が流れる小さな庭園」

 自宅の庭に本格的な池をつくるとなると、膨大な手間とコストが必要で、かなり大がかりな作業となる。そこまではできないが、水辺の風景を身近に感じたいという人には、こちらのアレンジがおすすめ。市販の容器を利用した、水が流れる小さな庭園だ。広い庭がなくてもちょっとしたスペースや玄関先などでも楽しめるアレンジで、手軽につくることができる。今回はUWSエンターテインメントの水野光さんに、市販の容器を使ったビオトープガーデンをつくってもらった。

 用意したのはゼンスイの「なごみ池」と「スイレン滝セット」を2つ。溶岩石を豊富に用いて高低差をつくり水を循環させているのが特長だ。溶岩石のほかに、大きな流木を効果的に配置し、豊富な植物をあしらっている。これらの素材をうまく組み合わせることで、3つの器を一体化させ、ダイナミックな自然の風景をつくることに成功した。少し離れた場所から見たら、近くの庭木や草花とも溶け込み、緑豊かな水辺の風景が違和感なく観賞できる。

 池のなかには小さめの錦鯉を入れ、スイレンやハンゲショウ、シラサギカヤツリ、パピルスなどの水生植物が豊富に彩られ、じつに見どころが多い。水が流れ落ちる滝の音はとても涼しげで、清々しい落ち着いた気分にさせてくれる。

市販の器を一体化させてつくった本格ビオトープガーデン。植物は水辺の植物を中心にセレクトしているほか、造花のグリーンも利用している。

Biotope Garden07「小さなビオトープを つくる楽しみ」

 水辺の植物は丈夫な種類が多く、手軽に栽培できるのが魅力。日当たりさえよければ、小さな水鉢でも充分にそれぞれの育成を楽しむことができる。

 小さな器といえども、バランスよくレイアウトして美しいビオトープをつくりたい。流木や石などの天然素材をうまく利用したり、植物の組み合わせを考えたりして、好みの作品を完成させよう。

 複数の植物を植える場合には、まずは主役となる種類を決め、そのほかは異なる草丈のものを選ぶようにする。さらに、葉の形や色なども違うものを組み合わせるとよいだろう。植え込む際は、観賞する際の正面を決めて、その方向から見たときに植物の特徴が引き立つような向きで植えるとバランスがとりやすい。

Biotope Garden08「涼しげな水の音色を聞きながら」

 ベランダやテラスなどに手軽に設置できる、水辺のアイテムがこちら。ゼンスイから販売されている「滝池」だ。写真は5段タイプで、高さのある水場から、1段ずつ滝状に水が流れ落ち、ポンプで水を循環させるシステム。幅と奥行きは58㎝で、比較的コンパクト。落ち着いたデザインで、場所を選ばす設置できるのもうれしい。

 植栽はUWSエンターテインメントの水野光さんによるもの。システムのデザイン性が高いため植栽の自由度は少ないが、枝状の流木をうまく利用し、シンプルに美しくアレンジされている。植物の配置を4段目のサイドにまとめたのがポイントといえるだろう。滝が流れる製品の特性を最大限に生かしつつ、ふんだんに個性豊かな水生植物を取り入れた。

 滝の音は常にさわやかで、夏の暑さを忘れさせてくれるように、心地よく響いてくる。

カメラ&テキスト:平野 威 Takeshi Hirano
媒体:AQUA Style vol.5

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