2018.10.03

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

肩肘張らずに付き合えるヴィンテージ・コミュニティ「ALFIES ANTIQUE ...

インテリアとしての人気が高まっている

最もお気に入りというフランス製オー・デパールのヴェルム(山羊革)。オリジナルの山吹色のシルクライニングが美しい。

 ケバブショップや青物市場で賑やかなエッジウェアロードを抜けていくと、古代エジプト意匠の壁画が施された建物がある。アンティークとヴィンテージを扱うショップが100近く入っている「アルフィーズ・アンティーク・マーケット」である。

 この建物自体がもともとは19世紀末創業のデパートのもので、中は長年の増築や改築で迷路のよう。通路をふさぐいきおいで張り出したり吊り下がったりしているおびたたしい数のジュエリーや銀器、家具などに圧倒される。

 そんな中にトランクの専門店「ティンティン・コレクタブルズ」はある。オーナーはレスリー・ヴェリンダーさんだ。

 「1930年代以前と以降で、トランクは大きく変わりました。鉄道や船の時代は上流階級が侍従を何人も連れて旅をしたので、引き出しや書物机が入っている家具のようなトランクをいくつも持っていった。それが飛行機になってお金持ちも自分でトランクを手に提げて旅をするようになったのです」

 ルイ・ヴィトンなど成功したブランドは、この旅のスタイルの変化にもいち早く対応し、1920年代から個人持ちの鞄のレパートリーを増やしていたという。

 レスリーさんのお店では船時代、飛行機時代両方のトランクを扱っているが、インテリアとしては船旅時代の頑丈なものが人気があるという。

 「リビングのコーヒーテーブルとして使ってもいいし、エンド・オブ・ベッド(ベッドの足元の先に置く)のトランクにしてもロマンチックですよね」

 ケイト・モスやアデルなど、近くに住むヴィンテージ好きのセレブがよく来てくれるという。『ハリー・ポッター』やティム・バートンの『スウィニー・トッド』などの撮影にも協力したという。

 作りも程度もいいトランクは、今も値段が上がっているのだそう。使って楽しみながらもしかすると利益も見込める、ヴィンテージの王道を行くアイテムだ。

20世紀初頭に使われていたウイスキーサーバー。割れていた蓋を今回、吹きガラスで美しくリビルドした。

気が済むまで質問できる温かい雰囲気

1970年のオメガ・コンスタレーションはクォーツ初期、機械式時代の終わりを象徴する腕時計だ。 (モー・ヘイダリー)

 アルフィーズのディーラー(テナントとして入っているヴィンテージショップの店主たち)には、ある程度長くここで店を構えている人たちが多いようで、とくに年配のディーラーさん同士はお茶とビスケットを手に楽しそうにおしゃべりしている。まるで下町の横丁のご隠居たちの昼下がりそのものだ。

 しばらく立ち止まってショーケースの中身を見ていると、その横丁の世間話がこちらにもパスされてくる。日本で想像するような骨董店の敷居の高さはまるでなく、気が済むまで質問をできる雰囲気がある。

 マーケット入り口に3軒分のショップを構えるモー・ヘイダリーさんもそんなご隠居系店主のひとり。アルフィーズに来て20年近いという。時計やジュエリー、古いプリントなどを扱っている。

 モーさんの店から5mと離れていない一角にガラスのショーケースを構えるパース・ジュエリーの店主モジ・モハマディさんはジュエラーの家に生まれて職人の道を進んだが、途中からアンティークジュエリーの専門になったという。「誰でも手にとれるジュエリーを提供したいから、あまり高くしない」というのがポリシー。壊れた年代ものジュエリーの修理も受け付けている。

 肩肘張らずにアンティークやヴィンテージものを見て、いろいろ教わり壊れたらまた相談する……アルフィーズは長く付き合いたくなるコミュニティという感じのマーケットだ。

ヴィクトリアン(1850~1900年頃)、プラチナにダイヤのタイピン。(パース・ジュエリー)

アールデコなフェイスデザイン、スイスのCYMAの手巻き、1925年。(モー・ヘイダリー)

テキスト:Yoko AOKI
媒体:VINTAGE LIFE 12

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