2018.07.19

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

ニコンS2と行く、北極圏オーロラハントの旅

北極圏最大の街、ノルウェーのトロムソ。白銀の中で犬ぞりに乗って、オーロラハントを楽しむ。相棒は、50㎜のニッコールレンズが装着されたニコンS2。ヴィンテージハントで出会ったものは!?

北極圏最大の街、トロムソ

 去年の年末、私の大叔父夫婦が引っ越しをするタイミングで

「昔使っていたカメラがいろいろ出てきたから、もしよかったら使わないか?」

という連絡があった。大叔父はかつて映画館を営んでいたということもあり、カメラの類も大好き。自宅に行ってみると、防湿庫にニコンのカメラが大量にしまってあった。F60、F70にニッコールの各種レンズ。ミノックスにポラロイド、フィルムのIXYなど変わりどころもあったが、その中に、『VINTAGE LIFE』で特集して以来、ずっと欲しかったニコンS2がたたずんでいた。

「あっ、ニコンS2じゃないですか!」

と思わずはしゃいだところ、叔父も

「そうS2、学生当時は高かったんだよ」

と嬉しそうであった。その日以来、S2とその他のカメラたちは防湿庫とともに我が家に来ることとなったのだ。叔父の持っていたカメラの中で1番古いものに、現在は1番価値があるというのは本当に面白い。一時期に流行したAPSフィルムなどは、フィルム自体が絶版で今では使い物にならないし、半端に電池を使用するF60などは、液晶がいつ壊れてジャンクになっても不思議ではない。

 1954〜58年の間に作られた機械式カメラだけが、今でも問題なく使用できるというのは、なんとも皮肉なものだ。いただいたS2の状態は60年前に作られたとは思えないほどしっかりしており、革のストラップも当時のまま。レンズフードも残っている。

 ちょうど同じ頃、年末のTV特番でアラスカにオーロラを見に行こう! という企画が放映されており。

「いいなぁ、来年は機会があったらオーロラを見てみたいなぁ」

なんて思っていたところ、これまたなんと! 姉妹誌の『HUNT』で、ノルウェーはトロムソのオーロラハンティングをレポートしませんか? というお誘いをいただくこととなった。

「ニコンS2でオーロラが撮影できたら一生の記念になるだろう」

なんて甘い考えを持ちつつ、三脚がキライなので三脚を持たずに……。しかも、レンズは50mmのみ。日本でなんのテストもせずに出発当日を迎えてしまったボクは、家に転がっていたロモのフィルムを3本持って成田を出発した。

ニコンS2は雪の中が苦手?

古いカメラを首から下げていると、海外では本当によく話しかけられる。カフェで会ったこのエドは英語の先生で、ニコンF100に古道具屋で購入したニッコールの135mmをつけて楽しんでいた。

ヘルシンキでのスナップは成功

 トロムソはかつて、探検家のアムンセンが "北のパリ"と語っていた北極圏最大の街。北極探検の寄港地でもあるこの都市はオーロラ帯の中に位置し、オーロラ観光のメッカとして注目を集めている。日本から北極圏というと、なかなか敷居が高く感じてしまうかもしれないが、フィンエアーならヨーロッパまで9時間半という超スピードで到着する。しかもトロムソに到着してみると、北極圏とはいえメキシコ暖流の影響で冬の平均気温は−4度と、イメージよりも断然暖かいのであった。

 さて、上記で紹介した写真はすべて、トロムソの街中で撮影したもの。道路は基本的に雪と氷で覆われているが、メインの歩道はアスファルトの下の暖熱設備により楽々歩ける。また小さい町なので、じっくり歩いても半日あれば街の全体像を把握することが可能だ。世界最北のビール工場で作られたマックビールのパブ、古くからの電気屋、市内をパノラマビューで見渡すことができるロープウェイに造船所などなど、古っぽい風景をスナップしていったのだが、こちらに限ってはすべてデジタルで撮影したもの。

 正直、フィルムの上がりはデジタルほど良くなかった。よく見ると、雪の中で撮影した写真はどれもぼんやりした仕上がり。まともに写っていたのは真正面から撮影したピンツガウアーと港の風景くらいなものであった。長年防湿庫で眠っていたものの、テストもせずにいきなり氷点下の北極圏に連れてこられたのだから、無理もないかもしれない。

 トロムソでのオーロラ撮影の様子や犬ぞり取材の模様は、是非先に公開している「ノルウェー・トロムソ、犬ぞりの旅」をご覧いただきたいのだが、帰路のトランジットを利用して4時間ほど、フィンランドの首都ヘルシンキの市内を散歩することができた。ヘルシンキ駅から港方面へ。ヘルシンキではデジカメよりニコンS2をメインとして、古いシトロエンや駅の構内、カモメや路面電車なんかを次々にスナップしていったのが、こちらのスリーブはご覧のとおりキチンと写っているのであった。

ヘルシンキのアンティーク街を巡る

ヘルシンキ市内のカフェのショーウインドゥで見つけたスノーマンのケーキ。トロムソもそうであったが、北欧はカフェがどこも充実している。

念願のオーロラは見事撮影できた! (デジカメで……)。

Photo & Text:Soichi KAGEYAMA
媒体:VINTAGE LIFE vol.13

NEWS of VINTAGE LIFE

ARCHIVES

RANKING

POPULAR TAG

NEWS

SEARCH