2018.08.27

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

アクアテラリウム すごワザ・レッスン〜インテリアにふさわしい、すてきなテラリウム...

陸上と水中の世界を、ひとつの器のなかで同時に表現するアクアテラリウム。多彩な生態系を維持している自然の水辺空間をイメージして、オンリーワンのアクアテラリウムをつくってみよう。4人のプロが、独自のアイディアとテクニックを駆使して新たな作品を仕上げてくれた。それぞれのワザを公開しよう!

AQUA TERRARIUM 01「大自然の景観を凝縮した水辺をくぐり抜けるアーチ」

限られた空間に広い自然を生み出す"見立て"の発想と、それを形づくる技術の融合。さまざまな想像力をかき立てる、味わい深いアクアテラリウムだ

 流木や石など、利用するレイアウト素材を見て何を連想するかが重要だ。もちろん見たままの状態をそのままレイアウトに生かしてもよいが、たとえば流木を木の株元や根、さらに崖、山などに見立てて想像を膨らませると作品の幅がグッと広がる。等身大の自然を切り取ってもよいし、自分がどんどん小さくなって広い世界を表現することだってできる。「見立て」の想像は自由なのだ。造園や盆栽などにも通じる価値観だろう。そのよい例がこのアクアテラリウムだ。

 大きな流木を組み合わせてアーチをつくり、適度な量の水を入れて循環させている。作品のとらえかたは見る者の自由だが、水辺の倒木であったり、水の流れに浸食された洞窟にだって見える。

 この作品を制作したのはヒロセペット成田空港店の廣瀬泰治さん。数々のレイアウトコンテストで受賞してきたキャリアを持つ。

 幅60㎝の変形水槽に大胆に流木を組み合わせ、あえて中央に大きな空間をつくる土台を組み立てた。流木の表面を覆うコケやその他の植物がナチュラルで、広い風景を感じさせてくれる。

 制作のプロセスをはじめから追っていこう。まず、幅60、奥行き30、高さ23㎝のガラス水槽と底面フィルターを用意。フィルターの底にはソイルが入り込まないように、プラスチックのシートをシリコンでコーキングしている。

 次に流木の配置。大きな流木を2つ組み合わせてアーチをつくる。ポイントは、設置面を電動ドリルを使ってビス止めしていること。その後、分水器からチューブを配置して水の流れを決める。チューブの中に園芸用の針金を通して固定する方法は、すばらしいアイディア。

 次にソイルを入れ、緩やかな傾斜をつけて手でならす。ちなみに、流木のアクはウィローモスなど流木に巻き付けるコケ類の栄養となり、水の黄ばみはソイルのブルカミアが吸着してくれるので、アクは抜かないようにしているという。水を入れて循環させたら、植物の配置へ。水の流れる場所にウィローモスやハイゴケを張り、流木のくぼみにはソイルを入れて盆栽植物を植え込んだ。多彩な植栽も見所といえる。

AQUA TERRARIUM 02「手軽につくれる本格派水際の高低差を意識して」

多彩なグリーンが生い茂る陸地と、深さのある水中風景は、まるでジャングルの水辺を切り取ったかのよう。手軽につくれるレイアウトだが、とても見所の多い本格的なテラリウムになっている。

 緑深き熱帯雨林のジャングルを思わせるようなアクアテラリウム。水中から陸地への一体感がありながら、それぞれの世界がしっかりと表現され、どの角度から見ても美しい作品に仕上がっている。

 このテラリウムを手がけたのは、ヒロセペット谷津本店の広瀬祥茂さんだ。優れたレイアウトセンスで数多くのテラリウムやビバリウムを制作している。

 今回は幅30㎝の背高水槽を使って、比較的手軽につくれるアレンジを紹介してくれた。ポイントは地形にはっきりとした高低差をつける方法だ。大きな流木を大胆に配置し、水中と水上で土の高さを大きく変えている。流木で土留めしているのだが、土が流れ落ちない工夫も施されている。

 陸上部分にはエバーフレッシュのほか、ディジゴセカやタマシダ、ヒポエステスなどを豊富に密植させることで、ジャングルのイメージに。水中にはチドメグサを植えてプラチナエンゼルフィッシュを泳がせた。まるで、アマゾンの水辺を切り取ったかのような風景だ。さまざまな地域に思いを馳せて、テラリウムをつくってみてもおもしろい。

 比較的、制作の過程はシンプルだが、いくつかのポイントやワザが隠されているのが、このアクアテラリウムだ。

 まず、幅30、高さ40㎝の水槽を用意して底面フィルターを設置。水槽の高さがあるため、充分に高低差を意識したレイアウトを心がけなくてはいけない。底にソイルを5㎝ほどの厚さに敷き、大きな流木をいくつか積み重ねるように配置する。このとき、手前にくる水中部分を充分にあけることはもちろん、背面の左右の隅にも空間をあけておく。

 背面の空間にはネットに詰めたソイルを入れる。こうすることで陸地から水辺へ土が移動するのを防いでくれるのだ。この土嚢効果によって、急激な高低差を生み出しているといってよい。大きな植物は土嚢の中へ根を差し込むようにして植え込み、その後すき間にソイルを入れて、多彩な植物を植栽していく。

AQUA TERRARIUM 03「スリムな水槽を利用して急峻な岩場の崖を表現する」

省スペースで設置しやすい水槽に、涼しげな水が流れ落ちる岩場の自然を再現した。制作のポイントは、充分な高低差を出すことと奥行きを感じさせる空間をつくることだ。

 山地の滝を思わせるような岩場の崖に、清らかな水が流れ落ち、そこにコケやシダ類を中心にした植物が生い茂っている。とても涼しげな印象を与えるアクアテラリウムだ。

 この作品を制作してくれたのは、リミックスmozoワンダーシティ店の遠藤元也さん。テラリウム担当スタッフとして、多彩なレイアウトをつくって展示販売している。

 このテラリウムの見所は、まず、溶岩石を急峻な崖に見立てて積み上げていることだ。他の石に比べて軽量な溶岩石を使い、グルーガンで接地面を接着しながら、大小さまざまな空間をあけて組んでいる。

 また、奥行きがわずか16㎝の水槽を利用しているのもポイントだろう。スリムな小型水槽は、省スペースで場所を選ばず設置しやすいという利点がある。しかし、その分レイアウトは難しい。ここで重視しているのは、限られた奥行きの中で十分な高さ(水面との高低差)を出すことと、奥行きを感じさせる空間をバランスよくつくることだ。

 これまでアクアテラリウムではあまり使われてこなかった素材を有効に使い、ダイナミックな景観を作り上げた作品といえるだろう。

 立体感のあるレイアウトがつくりにくいスリムタイプの水槽をあえて使用し、滝を連想させる岩場の崖を形づくっていく。まず、小型の水中ポンプを入れて砂利を敷き、溶岩石を組む。土台を決めたら、小さなアーチを組むように、いろいろな形の空間をとりながら積むのがポイント。空間をあけないと奥行きを感じられないレイアウトになってしまう。

 石を高く積み上げるために利用するのがグルーガンだ。茶色の溶剤を使って設置面をしっかり固定する。これで石が崩れ落ちる心配はない。水を分岐させるチューブの先端もグルーガンで固定するが、水が流れる場所を考えながら配置する。ある程度の水の流れが計算できれば、細かなところはコケで水を誘導することも可能だという。

 岩肌には、細かくカットしたウィローモスやリシアを配置。さらにトキワシノブなどのシダ類をバランスよく植栽したら出来上がり。

AQUA TERRARIUM 04「複雑な形状の流木で水面に浮かぶ緑の島をつくる」

幅30㎝の小型テラリウム水槽に大きなローズウッドを大胆に配置した作品。陸上・水中ともに多彩な植物の植栽が際立ち、変化に富んだ緑の世界を表現している。

 まるで水辺に浮かんだ島のように見えるアクアテラリウム。複雑な枝が四方に伸びる流木を使っているのが特徴で、広い水中空間を確保している。陸上、水中ともに多彩な植物を植栽しているのも魅力だ。

 この作品を手がけたのは、アワジヤ・プランツトン事業部の淡路谷将明さん。独自のスタイルで、すてきなテラリウムを提案し続けている。

 今回は幅30㎝の水槽を使い、手軽につくれる作品を紹介してもらった。水槽に水中ポンプを設置して、ローズウッドを配置。水中部分を広く、陸上部分の面積を広くとるような配置といってよい。

 淡路谷さんが使う植物はじつに多彩。ウィローモスやリシアのほかに、ウォーターローン、モウセンゴケ、ハエトリソウ、ウトリクラリアといった水分を好む食虫植物などを豊富に盛り込んで、どこから見ても美しい景観をつくり込む。また、自然感の強いオリジナルのコケシートも使用。水中でも溶岩石に活着させたブセファランドラや赤葉のルドウィジアなどを配して、緑豊かな世界を構築している。

AQUA TERRARIUM 05「水辺の自然をリビングへ。その美しさを際立たせるコツ」

 木目が美しい大きなダイニングテーブルに続くように、本格的なアクアテラリウムが設置されている。床や壁、家具などぬくもりのある木で統一された松岡邸に、よく似合うテラリウム水槽だ。

 この作品はプランツトンの淡路谷さんが手がけたもの。「緑豊かな屋久島の森を連想させるテラリウム」というオーダーを受け、枝の形状にこだわって流木を選定し、大木の根元をイメージして制作したという。組み合わせた流木はビニタイやグルーガンで固定している。

 充分な自然感を出すために、ウォーターローンやリシアなどを随所に配置。その他、ウツボカズラやモウセンゴケ、ウトリクラリアなどの食虫植物も植え込み、どこから見ても楽しめる作品に仕上げている。小型魚が泳ぐ水中部分は、ミクロソリウムなどを茂らせ、よりナチュラルな雰囲気に。

 家主の松岡誠さんは当初、キッチンからダイニングテーブルにつながるパーテーションとして水草水槽の設置を考えていたが、プランツトンのアクアテラリウムを見て惚れ込み、淡路谷さんの作品を取り入れることを決意した。店のある大阪でレイアウトを行い、松岡邸のある埼玉まで運び入れて設置したという。

 水槽サイズは松岡さんが作成したキャビネットに合わせたフルオーダーメイドで、73×45×23㎝。外部フィルター(エーハイム2215)を使用しているが、配線が水槽外に出てくるのが美観を損ねるため、水槽底面を加工しているのも、特筆すべき特長だ。底面には配線用のパイプと、フィルターの排水部と吸水部が取り付けられている。シンプルな美しさを追求した、こだわりのシステムといえるだろう。

水槽まわりには配線やパイプ類が一切なく、すっきりしていて美しい。

カメラ&テキスト:平野 威 Takeshi Hirano
媒体:AQUA Style 4

NEWS of IN THE LIFE

ARCHIVES


RANKING


POPULAR TAG

NEWS


  • IN THE LIFE
  • IN THE LIFE
  • アクアテラリウム すごワザ・レッスン〜インテリアにふさわしい、すてきなテラリウムの作りかた〜
SEARCH