2018.01.26

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

地元・糸島の杉材の特性を生かす 木工作家・溝口伸弥(杉の木クラフト)

溝口さん自ら木を剪定し、一つひとつ組み合わせていく「木の工作キット」。昆虫の他、恐竜シリーズもあり、子どもたちに大人気です。 

福岡県北西部にある糸島は、海と山がある自然豊かな土地。その素晴らしい環境から多くの作り手たちが移住するようになり、毎年秋には「糸島クラフトフェス」が開催されるほど〝クラフトのまち〟として注目を集めています。 その糸島を拠点に、地元の杉材の特性を生かした作品を作る木工作家・溝口伸弥さんの工房にお邪魔しました。

ありふれた素材でおもしろいものを作りたい

器のカーブに合わせてゲージを作り、それを元にロクロを回して成形。ある程度、カタチができたら、あとはペーパーで一つひとつ滑らかにしていきます。これが一番手間のかかる作業だとか。

一歩足を踏み入れればふんわりと木の香りが漂う、ここは木工作家、溝口伸弥さんが主宰する『杉の木クラフト』の工房。大分県日田市で木工の技術を学び、11年前に糸島へと移住した溝口さんは、デザインから成形、仕上げ、漆塗りまですべてを一人でこなしています。

ここ最近は、地元・糸島の間伐材である杉を用いた重箱や器作りに積極的に取り組み、その活動が注目されている木工作家です。

木の表面に漆を染み込ませて作り上げる“拭き漆”技法を用いた「うるしの木の葉皿」。結婚式などの引き出物として喜ばれています。

溝口さんが杉材を使うのは、杉の特徴である軽くて安価で組み立てしやすいという他に、「ウォールナットやチェリーなど高級素材を使えば、よいモノができるのは当たり前。そうではなくて、手軽に手に入る杉でも何倍もおもしろくてよいものができると思っているから」という理由があるそうです。

「うるしの木の葉皿」は、軽くてまっすぐな木目を持ち、木肌に何度も施した拭き漆によって使い込むほどに味わい深くなってきます。また、子どもたちに人気の恐竜や昆虫の「木の工作キット」も、溝口さん自ら地元の山に出向き、ちょうどよいサイズの木の枝を剪定して組み合わせているそうです。

角材の間に板を挟み、漆と小麦粉で接着すると「うるしの木の葉皿」の元となる材料の出来上がり。

杉は軽く、吸湿性や保温性があるので、お弁当箱には最適。溝口さんは使いやすさも考慮して、素地の上に漆を軽く塗布。 

元は建具屋さんだったという工場を譲り受け、溝口さんは工房として活用しています。

元は建具屋だった建物を木工機械とともに譲り受け、小さいころからの夢だった「手でモノを作る」環境を手にした溝口さん。広い工房で黙々と作業する傍ら、近くの田んぼを借りて念願だった田植えや稲刈りにも挑戦するなどプライベートも充実しています。

「一人で作業しているので、自分を律するのが一番難しいですね(笑)。でもストレスは全くないですよ。ぼくは時間がかかっても苦にならないほど夢中になれる仕事をしたい。それをずっと夢見ていますね」

糸島の豊かな自然が育む環境の中で、存分にモノづくりに取り組む。溝口さんが夢見ていたことが着実に実現しているようです。

試作段階のウクレレを手に笑顔を見せる溝口さん。木工の傍ら、近くの田んぼを借りて稲作にも挑戦するなど、糸島での生活を満喫しています。

まだ試作段階だという竹製のウクレレ。表面を削ぎ落とし、溝を彫り込むことで美しい音色を奏でます。

杉の木クラフト
福岡県糸島郡志摩町大字師吉1015-2
Tel:092-327-5040
http://www.suginokicraft.com/

トルテVol.8にて掲載

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