2018.01.26

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

THE COMET IN THE USA 地威陀亜の挑戦。

まだ見ぬ世界に放たれたほうき星の行方。西海岸最大級のチョッパーバッシュBorn-Free の花形であるインバイトビルダーとして今季日本より召集された唯一のビルダー大沢俊之。 言わずと知れたNeighborhoodの デザイナー滝沢伸介とのユニットJurassic Customsでメイクした空前絶後の Koslowを引っさげての初遠征から3年ぶり2回目。 自らの屋号Cheetah Custom Cyclesとして初参戦となるBF9での勝負のためにひねり上げたのは45ciフラットヘッド以外をフルスクラッチした渾身の1台。 現時の集大成として組み上げたそれは “The Comet”と命名される。Calif.オークキャニオンの会場中央に設置された招待枠ビルダーの車両のみ置くことを許されるスペシャルゾーンに展示され 世界中のフリークの羨望を集めた日本の“彗星”は かくして並いる強豪を制し ビルダーズチョイス2位という栄光を掴む─。

Jurassic Customsとして初エントリーを果たした2014年、第6回目のBorn-Freeから3年が経過した今年6月24~25日、大沢俊之は再びCalif.オークキャニオンにいた─。世界各国で活躍する気鋭のビルダーから選出されるインバイトビルダーとその新作で競われるコンペティションは、BFにおける最大の見せ場だが、第9回を迎える2017年度のBFに選出された26人の招待ビルダーで、ただひとり日本より召集されたのが大沢だった。さらに今期は自身の屋号Cheetah Custom Cyclesとして。巨頭・滝沢伸介の後ろ盾なしに、どこまでいけるのか─BF主催からのオファーを受け入れた昨年末、大沢の孤独な戦いは静かに幕を開けた。

大舞台の一番のために選出したベースマシンは45ciのSVを搭載するWLモデル、そのプロジェクトをビルダーはThe Cometと名付けた。
「タイヤとリム、エンジン以外はフルスクラッチですが、だからと言って“いかにも手が入ってます”というこれ見よがしのショーバイクではなく、逆に“かつて実在した市販車のよう”と形容してもらえるような、自然な佇まいのカスタムを目指した。実は3年前のBF6でJurassic Customsとして招待された際、滝沢さんとKoslow Krakenを考案した時のコンセプトを踏襲したものです」。
 
名作Krakenの延長線上に位置付けられた大沢の“新彗星”は、初の試みの宝庫でもあった。
「1からフレームを作ったのは実は初めてで、その他の箇所も持ち得る技術の全てを駆使していますが、パッと見では手を掛けたことすら気付かれない、そんな相反するテーマを両立させるのに細心の注意を払った─」。

Cheetah Custom Cyclesとして挑んだ大舞台。結果を言えばインバイトビルダー枠で2位という堂々たる結果を残した。授賞式の後、安堵の表情を浮かべながら大沢は言った。
「正直ホッとしています。でも出るからには、1位以外は眼中になかった。そのためのイメージを描き入念に計画を立て、それを忠実に作り上げてきたから。タイトな納期にもかかわらず、協力を惜しまなかった各業者の皆さんやフレームを作るにあたりCADの基礎を教授してくれた古巣Hot-Dockの河北師匠、何より希少な旧車に触れる機会を与えてくれ、同時に世界水準のカスタムを教えてくれた滝沢さん。最後にBFの1週間前から合宿させてもらい、最終仕上げを見守ってくれたCalif.のChabott Engineering木村さんとアユミさんのご恩も忘れられません。そんな皆さんの応援に少しでも報いるためにも1位を取りたかった─」。
 
参考までに。招待車両全26台からビルダーたちが選出した2017年度のチャンピオンは、スウェーデンから召集されたMartin Carlgren率いるRingo Chop Shopで、1930年式のVLフレームと1929 JDのフロントエンドからなる骨格に、自国のHasqvarna社が1947年式に設計したプロトエンジン“SRM”を搭載した空前絶後のカルトなチョッパーだった。ちなみにこのアワードバイクは横浜HRCSに展示予定。オークキャニオンでこの大作に唯一後塵を浴びせたBF9の頂点。是非その目で実物を見て欲しい。「45ciという小排気量ゆえチープに見られがちなWLという素材を用い、その上Chopper Showを標榜するBorn-Free にクラシカルなスタイルで挑むのもボクなりの挑戦でした。デザインのセンスとそれを具現化する技術力、作り込みやまとめ方、アクの出し方までを含め、今の自分はどこまで世界に通用するのか、それを体感した貴重な経験だった。年齢や性別、趣味趣向を問わず、見る人全てが単純に綺麗と言って貰えるモーターサイクルが、ボクの理想。もちろん走って楽しいことは大前提です」。
 
東京練馬のCheetah Custom Cyclesから放たれた彗星は、長いダストテールを従えながら今もアメリカの上空を飛び続けている─。

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