2018.12.18

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

プライベートアイズで探す「ヴィンテージ・エラベール」

1877年に創業したエベラールは、スイス時計業界でも名門と呼ぶにふさわしい時計ブランド。特にクロノグラフ製作においては屈指の名手だ。そんなエベラールのヴィンテージピースの魅力をご紹介。

細部に捻り効かせたクロノグラフ

左:EBERHARD スプリットセコンドクロノグラフ/
1940年代製のSSスプリットセコンドクロノグラフ。割剣と呼ばれる2本のセンターのクロノグラフ針で、同時に2つのラップタイムを計測できる。ムーブメントはクロノグラフキャリバーにスプリットセコンド機構を積んだCal.1600を搭載。ケース径は40ミリのオーバーサイズ。手巻き。参考商品。

右:EBERHARD スプリットセコンドクロノグラフ/
こちらも同じくSSケースのスプリットセコンドクロノグラフながら、3つ目のクロノデザインで、割剣もすっきりと良く見える。ブレゲ数字、ブレゲ針が採用され、ドレッシーな雰囲気に仕上がった。4時位置のボタンはスライド式ハック機構の役割を果たす。Cal.1600搭載。ケース径は40ミリ。手巻き。参考商品。

 スイス時計産業発祥の地、ラ・ショード・フォン。その目抜き通りであるレオポルド・ロベール通りに鷲の像を目印とした、通称「イーグルビル」と呼ばれる古い建造物がある。現在では時計博物館として人々に親しまれているが、この建造物をファクトリーとして構えていたのがエベラールだ。創業したのは1877年。創業者のジョルジュ・エミール・エベラールとその息子たちが、クロノグラフの傑作を世に送り出してきた時計ブランドである。

 エベラールの歴史は、技術革新の連続であった。まず一躍その名前をとどろかせたのが、1919年に発表したシングルプッシュボタンのクロノグラフの腕時計。スタート&ストップボタンを独立させ、ゼロリセットなしに計測の再開が可能なクロノグラフは当時では最も先進的な技術でエベラールの名声を確固たるものにした。1930年には自動巻き腕時計、1935年には2プッシュボタンのクロノグラフ。

 そして1939年にはスプリットセコンド付きクロノグラフ腕時計を開発し、クロノグラフの歴史に功績を残している。今回多く紹介されている2つ目クロノグラフもその輝かしい歴史の一部で、1950年代にはイタリアを中心に一世風靡した。その完成度の高さに美意識の高いイタリア人も虜にした。

奥:EBERHARD クロノグラフ/
1940年代製のSSクロノグラフ。ブルースチールのブレゲ針、ブレゲ数字のディティールは見た目も優雅な印象に。赤いペイントのスネイルタキメーター&テレメーターとのコントラストも美しい。ケース径は40ミリのオーバーサイズ。Cal.16000。手巻き。参考商品。

中央:EBERHARD クロノグラフ/
1940年代製のSSクロノグラフ。スネイルタキメーター&テレメーターのクロノグラフ表示に、アップライドインデックスを備え、視認性をアップ。ムーブメントには4時位置のボタンで操作するハック機能で、クロノグラフボタンを全てロックできるCal.16000を搭載する。手巻き。参考商品。

手前:EBERHARD クロノグラフ/
1940年代製のSSクロノグラフ。ハック機能を持ったエベラール自社製クロノグラフムーブメントCal.16000を搭載。ケース径は39.5ミリだが、段差になったステップベゼルのおかげで、シルバーダイアルがやや大きく見える視覚的な効果もある。手巻き。参考商品。

伊達男たちを魅了する美しきクロノグラフの世界

左:EBERHARD クロノグラフ/
1940年代製の18KYGクロノグラフ。ケースバックが開くハンターケース仕様になった黒金のレアモデル。ダイアル中央のスネイルタキメーターと、2つ目のインダイアルを備えたデザインは、グッドバランス。ステップベゼルデザインも秀逸な外観の美しさに一役買っている。手巻き。参考商品。

右:EBERHARD クロノグラフ/
1940年代製のSSクロノグラフ。エベラールの技術を結集したモデル、「エクストラフォルト」。スネイルタキメーターとテレメーター表示付き。エベラールの自社製ムーブメントを搭載し、4時位置のスライド式ボタンにより、計測のリスタートが可能になる特殊システムを採用する。手巻き。参考商品。

ゴールド製のハンターケースを開けると、グッドコンディションの自社ムーブメントCal.16000がお目見え。防水性能は望めないが、ブリッジや地板が丁寧に磨きが施され、鏡面に面取りされたエッジが美しく仕上げられている。

 クロノグラフの中でもスプリットセコンドクロノグラフは特別な存在だ。2本のクロノグラフ針で二つの時間の経過時間(タップタイム)を計測できるこの機構は、一部の限られたメーカーにしか作れないものだった。その設計はクロノグラフ車の上にスプリット車を被せ、それにスタート、リセットするスイッチを加えただけだが、連結部分の製造が当時の技術ではきわめて困難で、結果、量産は難しかった。だが、その希少さとスプリットクロノの造形美に惹かれ、愛好家にはこれだけを蒐集する人もいるほど、引き付けてやまない機構なのである。

 高い技術力に加え、デザイン性の高さも発揮した。特筆すべきはケースのサイズ感だ。当時としてはオーバーサイズな時計も、イタリア帝国海軍の将校に愛用され、ファッションの優雅さだけでなく、実用性も求めるイタリアのエグゼクティブたちに、40ミリを超えるサイズ感は受け入れられていたのである。クロノグラフの機能性に加え、現在でも通用するサイズ感とシックなデザイン性。エベラールのヴィンテージは、今でも色あせず、新鮮な魅力を放っている。

EBERHARD スモールセコンド/
1930年代製の3針スモールセコンドモデル。ブラックダイアルに、山盛りの夜光塗料が塗られたインデックス&針を備えるミリタリー仕様。外周にはミニッツトラックを施し、視認性もアップさせた。ケースはステップベゼルで、香しいヴィンテージの表情を湛える。SSケース。ケース径は33ミリ。参考商品。

カメラ:Yasuhiro Yokosawa
テキスト:Katsumi Takahashi
媒体:VINTAGE LIFE 15

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