2018.08.30

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

奥深き水中世界への誘い「水草水槽の美」

アクアリウムで水草を育てるなら、部屋のインテリアとして、そのレイアウトにもこだわりたい。しかし、思い描いたとおりの世界をつくり、維持することは、そう簡単なことではない。水草レイアウトのテクニックを学んで、美しい水草水槽をつくってみよう。

水草レイアウト水槽をつくってみよう。

 比較的コンパクトで場所を取らず、扱いやすい水槽として広く普及しているのが、四方が30㎝のキューブ水槽だ。このサイズの水槽を使い、初心者でもつくりやすく、そのうえ管理しやすい水草レイアウトを制作しよう。

 今回教えてくれたのは、ビーボックスアクアリウム八潮店の近江健士さん。水草販売担当として、さまざまなスタイルのレイアウト水槽をつくってきた。ここでは石をメインに配置し、複数の水草を繁茂させて楽しむアクアリウムをつくってもらった。

 まず石の配置が重要。メインの石に角度をつけて置き、石の下に影ができるようにしているのがポイントだ。陰影をつくることで、風景に立体感を生み出すことができる。さらに小さな石も複数配置し、ソイルを右奥が高くなるように入れ、右奥からなだらかな傾斜をつくる。水槽の前面だけではなく、左側面からも眺められるレイアウトにする。

 その後は水草の植栽へ。水草は植える前に、種類別に下準備をしておく。有茎草なら植え込む長さに揃えてカットし、種類ごとにトレーに並べておくとよい。ミクロソリウムなどの活着する水草は、ちょうどよいサイズの溶岩石に根を固定しておくとレイアウトしやすくなる。

 水草を植える作業は水を少しずつ入れながら行う。植える場所の水位が「ひたひた」になるくらいが植え込みやすい。水槽前面の前景には、グロッソスティグマを、石の下あたりにはテネルスを配置。右手前から奥にかけては、ニューラージパールグラスやアヌビアス・ナナ、ミクロソリウム、グリーンロタラ、ロタラ・インジカ、パールグラス、ヘアーグラスなど、葉の形や色彩が異なる水草をバランスよく植栽している。

 ポイントは、赤系水草やミクロソリウムを3カ所に不等辺三角形を描くような場所に配置していること。2カ所ではなく3カ所に植えることで、自然にバランスが整うという。

 育成にはLED照明(アクアスカイ・ADA)を使い、CO2は1秒に1滴添加。3か月ほどで水草が充分に繁茂し、美しい水景に仕上がる。水草が充分に育ったら、CO2の添加量を減らすとよい。

 魚はミクロラスボラなどの小型種をセレクトすることで、より広い水中世界を演出することができる。

植える前に水草の下準備を

水草を植える前には下準備が必要だ。今回使用するグリーンロタラやロタラ・インジカ、アルテラナンテラ・レインキーはポットから株をはずし、根のウールマットを洗い流して、植えつける長さでカットする。水槽のサイズを考え、比較的短めにカットしている。また、グロッソスティグマやヘアーグラスなどは、一度に植える分量を分けて、トレーに並べておくと植えつける際に便利。ミクロソリウムは石に固定し、ウィローモスは枝流木に巻き付つけておく。

ミクロソリウムは、ちょうどよいサイズの溶岩石に固定する。ビニタイを株元に巻きつける。

1:30㎝キューブ水槽に、リベラソイル(デルフィス)を3~4㎝厚さに敷き、表面を平らに。

2:メインとなる山石を配置。斜め手前の方向に角度をつけて置いて、石の下に影ができるように。

3:石組みのまわりを中心に、さらにソイルを入れていく。

4:右奥からなだらかな傾斜をつくるようにソイルを入れたら、手前に小さな石を置く。

5:ウィローモスを巻きつけた枝流木を配置。右奥から石の上に伸びるように。

6:全体に霧吹きをして、ソイルを落ち着かせる。

7:石に固定したミクロソリウムを配置。メインとなる石のまわりに置く。

8:ミクロソリウムは3カ所に。正面から見て不等辺三角形になるように配置するとよい。

9:右奥の頂上付近には「侘び草」のパールグラスを置いた。

10:右手前にアヌビアス・ナナプチを配置。根を軽く土に埋め込むように。

11:ゆっくり水を注ぐ。手前のソイルが、ひたひたになる程度まで。

12:前景になるグロッソスティグマを植えていく。水を全体に入れてから植えるよりだいぶ楽。

13:グロッソスティグマは均等な間隔で植えるのがコツ。繁茂すると緑のじゅうたんになる。

14:石の影になる部分には、弱い光でも丈夫に育つ、テネルスを植える。

15:色彩のポイントとして赤系の水草を植える。植え込む高さまで水を入れ、ロタラsp.を右側に。

16:パールグラスの手前と左置くには、グリーンロタラを植栽。

17:中央奥のスペースにはヘアーグラスを植え込む。形状の異なる水草を少しずつ取り入れる。

18:アルテラナンテラ・レインキーをヘアーグラスの右横に植栽した。

19:右奥にはロタラ・インジカを配置。赤系水草でも不等辺三角形をつくる。

20:植栽後を上から見た様子。石組みによって斜めに区切られているのがわかる。

21:水を入れ、照明を設置してCO2を添加。約3か月ほどで、美しい緑の水中世界が完成する。

四角い水槽でなくても楽しめる水草レイアウト。

 標準的な水槽ではなく、丸みを帯びたガラス容器を使ったレイアウト作品にチャレンジしよう。専門店「ブレス」の吉原将史さんが提案するスタイルだ。

 本格的に水草を育てるには、大きな水槽のほうが適しているが、小さな容器でも水草の種類を選べば充分に育てられるし、手の込んだレイアウトもつくることができる。

 水草はCO2を添加しなくても育てられる種類をチョイス。ニューラージパールグラス、ポゴステモン・デカネンシス、ショートヘアーグラス、南米ウィローモスを使用した。

 レイアウトには、黒くて形が複雑な暗黒石を使用。傾斜をつけてソイルを入れ、中央に空間を空けて、左右に石を配置していく。丸みのある容器の場合、水中がゆがんで見えるため、水をはってからレイアウトを行うのがコツ。前面のスペースにニューラージパールグラスを、中央付近にヘアーグラス、後景には草丈が伸びるポゴステモンを植えて、最後にウィローモスを活着させた石を配置した。約1か程度で立派な水景が完成する。

1:プラントグラス・オーバルにアマゾニア(いずれもADA)を入れる。

2:手前が低くなるように傾斜をつけ、水を入れた後に暗黒石(JUN)を左右に配置。

3:中央部分にスペースを空けて石を配置したら、一度水を抜き、石の足もとにソイルを足す。

4:水草は比較的丈夫な種類を選ぶ。ニューラージパールグラス、ポゴステモン、ウィローモスなど。

5:細かく分けたニューラージパールグラスを手前から、均等に植えてく。

6:中央部分とその左右にショートタイプのヘアーグラスを植栽した。

7:一番奥の後景には、ポゴステモン・デカネンシスを植え込む。

8:ウィローモスを活着させた石を配置。空いたスペースにバランスよく。

9:デザイン性の高いスタンドライトを使って光を与える。1か月程度で立派な水景に仕上げる。

レイアウトで最も重要な基本の構図と素材の配置。

基本の構図をおさえて空間を意識する

 水槽内のレイアウトを考えるとき、まず仕上がりの構図を意識しておくとよい。構図がしっかりしていると、バランスのよいレイアウトに仕上がりやすいためだ。

 基本構図には3つのパターンがある。山型、谷型、三角型だが、まずどのタイプの構図にするか考えてから流木や石を組むとよいだろう。いずれの場合も、全体の重心を左右どちらかにずらすと、より自然な雰囲気のレイアウトになる。

 ひとつめの山型タイプは凸型構図とも呼ばれ、左右の空間バランスを生かした構図。ふたつめの谷型タイプは凹型構図とも呼ばれ、中央部に空間をあけるスタイル。水草レイアウトではよくみられるパターンだ。最後の三角構図は左右のどちらかに空間をもたせるスタイルで、なだらかなスロープ状に天然素材や水草を配置する構図だ。

 流木や石を組むときに注意したいのが、空間を意識すること。素材を組みはじめると、水草を植えるスペースが少なくなってしまうケースがある。水景に奥行きの広がりをもたせるためには空間が重要になるので、そのバランスを考えながら骨格をつくるとよいだろう。

 また、素材の迫力は配置する角度によっても大きく変わる。傾斜の角度を少なくし、寝かせるようにすると安定感が生まれるが、やや迫力にかける印象に。逆に傾斜角度を大きくして立たせるようにすると、不安定だが緊張感が増し、迫力のあるレイアウトになる。

同じ種類を組み合わせてレイアウトの統一感を出す

 はじめての水草レイアウトでは、その素材選びに迷ってしまうことがある。まずは、流木を主役にするのか、石を主役にするのか考えるとよいだろう。

 それぞれにいくつかの種類があり、色合いや形状、質感などに違いがある。ひとつのレイアウトでは、同じ種類の素材を使うことが鉄則だ。たとえば、ブランチウッドであれば流木はブランチウッドだけ、青龍石であれば石は青龍石だけで組んでいく。

 購入の際には、実際の組み合わせをイメージしながら、好みの素材を選びだそう。ショップによっては空の水槽が用意されていて、素材の組み合わせを確認しながら選べるところもある。流木も石も同じく、レイアウトする水槽サイズに合わせて、その大きさを選ぶことも基本だ。また、サイズの異なるものを選ぶと、レイアウトしやすくなる。

 流木の場合、数本を組み合わせるときはひとつの流木に見立てた流れを意識するとよい。またメインになる数本の枝の向きが平行にならないように角度を調節することも必要だ。流木を複雑に組み上げるとき、不安定になる場合は、ビニタイなどで固定しておくとよい。こうしておけば、水草を植える際に崩れる心配もなくなる。

 石組みレイアウトでは、大小の石をバランスよく配置して、石そのものの雰囲気を観賞するスタイルに。草丈の低い水草で構成する場合が多いので、流木のレイアウトに比べて素材の存在感が増す。そのぶん流木より、配石の構図やバランスがより重要になってくる。

 石組みは、大きさによってそれぞれの役割があり、サイズ順に「親石」「副石」「添石」などと呼ばれる。親石はもっとも大きく、水槽の主役になる石。したがって、形状や質感などにこだわって選びたい。副石や添石は2番目と3番目の石で、親石の関係性でその勢いを強めたり、受け止めたりする役割がある。

 配置の手順は、メインとなる親石から順番に大きなものから置いていくのが基本だ。石の数は奇数がよい。盆栽や庭園づくりでも同じだが、偶数個では左右対称になりやすくなるためで、奇数個では等分割を避けられ、より自然に近い景観づくりに役立つという。このほかには、石の傾けかたにもテクニックがある。石を直立させるのではなく、左右どちらかに傾けることで水の流れを表現することができる。

 さらに、最近よく見かけるキューブ型のレイアウトでも基本は同じだが、他の水槽とは異なる特徴がある。正方形で左右が詰まった印象があるため、風景をさらに切り取ったようなレイアウトを心がけるとおもしろい。また、水槽の前面だけではなく、側面からも眺められるレイアウトにすることも可能だ。

ブランチウッドを使った山型構図の配置例。頂点は真ん中ではなく、左右どちらかに傾けるとよい。

三角構図のレイアウトパターン。枝の向きを下向きにすることで、巨木の根のような風景を連想させる。

中央に空間をとり、左右に石を配置したパターン。流木の谷型構図と同様、左右のバランスや前後の位置関係によって奥行き感が出しやすい。

個々の石の表情を生かして配置した石組みの例。石を傾ける角度によって、水の流れや空間を意識するとよい。

ほぼ中央に組んだ山型の石の配置。複数の石で高低差をつくり、そのすき間にソイルを入れれば、水草も植えられる。

流木と石を使い、中央を開けた谷型構図。大木の株もと部分を切り取ったかのような印象を受ける。

カメラマン:平野 威 Takeshi Hirano、佐々木浩之 Hiroyuki Sasaki
テキスト:平野 威 Takeshi Hirano、鶴田賢二 Kenji Turuta、藤森優香 Yuka Fujimori
媒体:AQUA Style 6

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