2018.08.08

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

香港の自然を感じるイベント「FJÄLLRÄVEN CLASSIC 香港」

アウトドアブランド「フェールラーベン」が世界各国で開催しているロングハイクイベント「フェールラーベン・クラシック」が、昨年初めて香港で開催された。アジア初の‟クラシック”に、フェールラーベン愛用者であり、山岳写真家の荒井裕介さんが参加。今回はそのイベントの模様と、香港のトレイル事情をレポートをしていただいた。

フェールラーベン主催のロングハイクイベント

フェールラーベン・クラシックとは、スウェーデンのアウトドアブランドであるフェールラーベンが毎年開催している、「自然を身近に感じ自然と共に生きる」をテーマとしたロングハイクイベント。本国スウェーデンに始まり、現在はデンマーク、アメリカと開催国を増やし、フェールラーベン流の自然との関わり方を提案している。

僕、荒井裕介は山岳写真家、猟師、ブッシュクラフターとして雑誌連載や各メディアで活動する上で、日本におけるフェールラーベンのアンバサダーを務めており、実際このウェア抜きでの活動は考えられない、というくらい愛用している。そんなフェールラーベンが2017年10月、アジアで初めて“クラシック”を開催するという。「フェールラーベン・クラシック in 香港」そんな話を聞いたら、すぐに参加を申し込むしかなかった。
なぜかって? それは北欧とは違う亜熱帯で、2日半で48kmを歩くから。北欧で生まれたウェアが亜熱帯の地域でどれくらいの威力を発揮してくれるのか、愛用者としては楽しみでならなかったのだ。

と、口上は手短に……。早速イベントの様子をレポートさせていただく。

全てのチェックポイントを通りゴールすると手に出来るクラッシックのメダルとワッペン。開催国の名前がうれしい。

スタート前のチームジャパン。寒川さん夫妻、土居さん、僕(真ん中)、関係者の方々。珍道中もありつつ楽しく過ごせた。

韓国チームからはこんなに可愛い参加者も。家族での参加者はセクションハイク参加もあったようだ。

アジア初のフェールラーベン・クラシック

内部的な話をすると香港はフェールラーベンアジアの本拠地。香港のクラシックを皮切りに今後アジア各国でも同様のイベントが開催される予定だというので、アジアでどのようなことができるか、日本で開催する時にどうやってフィールドの魅力を紹介すべきか。そういった視察も含めてワクワクしながら日本を飛び立った。

香港のトレイルは都市部からアクセスが良い……はずなのだが、現地入りしてすぐに迷子になった(笑)。空港からタクシーを利用したものの、英語が通じないドライバーに英語の地図と手振り身振りをして1時間程彷徨ってようやく目的地に着いた。海沿いには自然保護区や様々なトレイルがあり、地元のハイカーも多く見かける。ルートには山岳地帯ビーチサイド、ジャングルと変化に富んだトレイルがあって、なんと野生の牛と出会うこともある。香港はアウトドアマンにとっても魅力的な土地なのがすぐに分かった。

フィールドの所々に舗装路や階段があり、どうペースを配分するかがトレイル攻略の鍵になる。自然のままのトレイルに慣れていても、舗装路のトレイルと短いアップダウンの階段は厄介だった。

このイベントの前に大型台風が通過したことで、開催期間中は香港なのに清々しい気候だったのだが、それでも亜熱帯の気温は参加者には厳しいものがあったようだ。
僕はと言うと、1日歩いても20km以下と比較的短いこともあって終始快適にハイクが楽しめた。国ごとに歩き方が違うのか、インターバルのように飛ばして休憩をとる国もあるが、僕達は堅実に同じペースで一定の時間と距離をコツコツ歩いていた。結果インターバルよりコツコツチームの方がキャンプ地に早く到着して、交流に時間が多く持てたようだ。

ところで気になっていたフェールラーベンのウェアポテンシャルだが、耐久性はもちろんのこと、ワックスを入れたウェアの防臭効果と速乾性に驚いた。滴る程の汗をかいたが、最終日まで同じトラウザーで快適に過ごせたのだ。

スタート直後から続く長く急な山道には岩がゴロゴロ。その険しさと当日の暑さゆえ、早速遅れだすチームも見られた。

尾根上に出ると視界が開けて海が見渡せる。ガスが多いが小さい島が眼下に広がって爽快だ。

海沿いのトレイルにはマングローブが茂り遠くに近代的な街が見える。これぞまさに香港の絶景。

香港のトレイルの特徴はトレイル上に商店もあることで、ここがチェックポイントも兼ねていた。他国のトレイルではこうはいかない。

内容としては割と手厚いサポートが得られる縦走旅と言える。スタート地点でガスと行動食と日数分の朝食・昼食が渡されて、レクリエーションを受けたらいざスタート(夕食はキャンプ地で配られる!)。キャンプ地手前に設けられたチェックポイントにスタッフが配置され、翌日の予定やキャンプのインフォメーションを的確に得ることができる。キャンプでもスタッフによるアナウンスがあるので、個人での参加でも不安はないと感じた。

工程の1日目は山岳地帯のトレイルを進みビーチにあるキャンプ1を目指す。急な登りでスタートしアップダウンを繰り返し、山岳地帯を超え、ビーチに降りる。歩きやすいトレイルなのだが、中盤以降に現れる階段の下りとコンクリートのトレイルに体力を奪われる。ペース配分と水分補給がポイントだ。

キャンプ地はハムディン湾という海風が抜ける爽やかな場所。気になるのは水だが、洗い場やトイレもしっかりしていてシャワーも浴びられる、充実したキャンプサイトだった。

スタート前に支給された朝・昼食セット。日本で売っていないフェールラーベンのトラッシュバッグは、クラシック参加者の勲章!?

フェールラーベンのテントはさすがに居住性が高い。重量もそこそこあるが、快適なレストが得られるし、しかもカッコイイ。

放棄された牛が野生化して暮らしている、元牧場という長閑なキャンプ場(笑)。牛は特に危害を加えることはないのでご安心を。

美しい自然を守ろうとする街、香港

ビーチサイドのキャンプ2。波の音を聞きながら二日目の夜は更けていった。

異国の地で、普段見慣れないトレイルを歩く。欧米の方にとってアジアのトレイルは何もかも新鮮に映ったという。

2日目は集落の中を歩き再び山岳地帯へ……と思いきや、舗装路メインのトレイルが続く。前半はトレイルらしい道もあったのだが、中盤以降はアップダウンの続く舗装路が多く、熱せられたアスファルトとスリッピーなコンクリートの道が参加者の体力を奪っていく。急斜面の舗装路は思いのほかグリップが悪く、膝を容赦なく攻撃。参加者の中には靴が壊れテープで補修して歩く者もいた。

途中オアシスのようなチェックポイントで昼食をとることもできるのだが……。なんとそこでビールが手に入るではないか! これって本当にフェールラーベン・クラシックのトレイル? と思ってしまう程のどかなイベント風景(笑)。
同イベントでは自然が作り出す険しさと、その土地の風土を感じて歩くことができる。きっと、香港が守り続ける自然に触れてほしいというのが、フェールラーベンが提案したい香港流の‟クラシック”なのだろう。

自然と人の関わり方を考える2日半

異文化交流感を味わえた、香港のフェールラーベン・クラシック。片田舎の家にもなんだか感動を覚える。

山の稜線がはっきりと見える夕暮れ時。都市部に近いのに人工物が見えないのが嬉しい。

あっという間に過ぎた3日間。ゴール地点では完走者をねぎらうライブも行われ、みんな笑顔のままイベントは終了した。

フェールラーベン・クラシックというと大自然の中を身一つで歩くイメージがあったが、今回香港を訪れて感じたことは、人の営み自体も自然の一部であり自然を大切に暮らす人々が守ろうとする自然も大きな自然であるということだ。

本来自然を大切にすることは人として当たり前のことであり、香港政府が定めた保護区で暮らす人々はそれがよく分かっているようだった。多くを持たずそこに適応して暮らすことは、実に美しく自然だ。素朴な香港のトレイルを海風に吹かれながら歩くのはとても気持ちがいい。ドイツから参加していた恰幅のいい男性がビーチでチンタオビール煽る姿も、歴史に埋もれてしまった山間部の集落を抜ける僕らも、全てが自然の一部になり、自然の尊さを分かち合った仲間なのだと思える。

また、各国の参加者のなかで日本チームが一番少なかったものの、各国の参加者はみんなフレンドリー。地元香港はもちろん、インドネシア、マレーシア、台湾、韓国など近隣国々のチームの参加者とも交流を持つこともでき、ゴールでは国境を越えたハイタッチと、それぞれの健闘たたえるハグが僕らを迎えてくれた。言葉を超えた交流もまたこのイベントの魅力。クラッシックで得られるものは自然との一体感だけはないことは僕が保証しよう。ちなみに開催から半年以上経つが、僕は今でも台湾チームと交流がある。

フェールラーベン・クラシックは本国スウェーデンや今回の香港以外に、デンマークやアメリカでも開催されている。国ごとに全く違った表情を見せてくれる同イベントは、日本発でツアーも用意されているので一度参加してみてはいかがだろうか?

【フェールラーベン・クラシックin香港 2018 ツアー】
今回紹介したフェールラーベン・クラシックin香港が今年も開催。世界の山旅をアシストしてくれる旅行会社「アルパインツアー」より、気軽にクラシックに参加できるツアーも用意されています。
10月24日㈬発、2泊3日のイベントを含む、香港のアウトドアを楽しめる5日間の旅程。
おひとり様218,000円~、最大定員は10名。参加ご希望の方はお早めにお申し込みを!
http://www.alpine-tour.com/tourinfo/details.php?keyno=2177

NEWS of HUNT

ARCHIVES

RANKING

POPULAR TAG

NEWS

  • IN THE LIFE
  • HUNT
  • 香港の自然を感じるイベント「FJÄLLRÄVEN CLASSIC 香港」
SEARCH