2018.07.23

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

一度は宿泊したい、極めてモダンであった地域最古のホテル「MOUNT WASHIN...

アメリカはニューハンプシャー州、マウントワシントンの麓に佇むグランドホテルはその美しさと史跡的価値から「一度は宿泊したいホテル」として、憧れの場所とされている。

アメリカ人が「一度は宿泊したいホテル」

ホテルの奥にはコンサートホールのようなグランドダイニングルームが広がる。毎晩楽団による演奏が行われ、食事という短い一時をより華やかにしてくれる。

 「MOUNT WASHINGTON HOTEL(マウント・ワシントン・ホテル)」が建築されたのは1905年。アーリーセンチュリーのアメリカは、まさに華やかな時代で"グランドホテルブーム"と呼ばれるものが起き、上流階級に向けた高級志向のグランドホテルが乱立した。マウント・ワシントン・ホテルと同地域にも数々のグランドホテルが建築されたが、なぜ同ホテルが地域最古とされているのか。それは当時としては極めてモダン(先進的)であったからだ。

 当時のモダンなホテルの基準は「電気が使用できて各部屋に浴室がある」というもの。さらに驚くべきことに、このホテルの電気系統は発明家エジソンの興した会社が手掛けた。当時の革新的な仕様と合わせて美しい佇まいのおかげで世界恐慌の最中、数々のグランドホテルが倒れていく中で、マウント・ワシントン・ホテルは生き残ったのだ。

 マウント・ワシントン・ホテルの名声を押し上げたのは"地域最古のグランドホテル"という看板だけではない。第二次世界大戦最中の1944年。長く続いた戦争も収束へと向かい、世界は終戦後に必要となる各国の協力体制の構築に追われていた。その流れの中で行われた国際会議のひとつに国際通貨基金の設立を決定づけた「ブレトン・ウッズ会議」がある。この会議が同ホテル内の会議室で行われたのだ。

開放的なバルコニーは光も風もよく通る心地よい場所で、宿泊客の憩いの場になっていた。バルコニーからは悠々と広がるブレトン・ウッズの大地が望める。

「ブレトン・ウッズ会議」も行われた

フロント前にはほんのりと暖かい暖炉を囲むようにふかふかのチェアが並べられる。よく見ると暖炉はガス式で、所々にリノベーションの形跡が見つけられる。

 史跡的価値が認められ、National Historic Landmark(アメリカ合衆国指定歴史建造物)に1986年に認定。その前段階のNational Register of Historic Places(アメリカ合衆国国家歴史登録財)への認定が1978年。ブレトン・ウッズ会議から少し年月が空くこの空白の時期こそがマウント・ワシントン・ホテルの低迷期だった。

 1950年代のアメリカは経済が不安定な時期だったため、グランドホテルに宿泊する人々の客足は絶え絶えで、廃業はしなかったもののメンテナンスは行き届かず、廃屋のような姿をしていた。そこで1960年代から当時の姿を保ちつつ、徐々にホテルのリノベーションを開始。1991年には春から秋にかけてのみだったオープン期間をオールシーズン対応可能に更にリノベーション。そうして現在の美しい姿に辿りついた。

 こうして復活を遂げたマウント・ワシントン・ホテルは、今ではアメリカだけに留まらず世界中から「一度は泊まってみたいホテル」と称され、讃えられている。

上記で触れたブレトン・ウッズ会議自体は会議室で行われ、調印は写真の「GOLD ROOM」と呼ばれる部屋で行われた。当時の状態が保存されている。

テキスト:Ryoma Watanabe
媒体:VINTAGE LIFE vol.15

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