2018.11.09

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

大貫カメラで探す「横濱お散歩カメラ」

1934年創業、横浜の老舗カメラ店「大貫カメラ」は、国内外のヴィンテージカメラに強い、知る人ぞ知る銘店である。今回はそんな同店に「横濱お散歩カメラ」をテーマに選んでいただいた。

横浜の老舗カメラ店で選ぶ楽しみ

ディスプレイの上にさりげなく置かれた、太平洋戦争直後の店舗写真。空襲が激しくなった昭和10年台後半には、店舗ごと横浜郊外の妙蓮寺に疎開していたこともあったという。

 大貫カメラが横浜に店を構えたのは、1934年。屋号を「大貫寫眞材料店」とし、フィルムや現像液の取り扱いをはじめたのがそのはじまりである。店内のディスプレイケース上には戦後の仮店舗時代の紙焼きが置かれており、なんともいい味わいを醸し出している。

 大貫カメラに来て驚くのは、ありとあらゆる種類のカメラがミッチリとディスプレイされていること。『HUNT』でも人気のライカ、ローライ、ハッセルといった王道はもとより、レチナ、キエフ、シグネットなどなどお求め易く、しかも味のあるラインアップがこれでもかと揃っているため、必ず予算と好みに合うものが見つかってしまう。いわゆるクラカメの泥沼に、簡単にハマらせてくれる銘店、それが大貫カメラなのである。

 最新のデジタル機材もすべてそろい踏みで、試写イベントなどもよく開催されているが、3代目の大貫社長以下、スタッフも全員アナログカメラのマニア。「昔のカメラは質感がよく、レンズとアクセサリーのバリエーションが豊富。組み合わせることで生まれるメカっぽさがたまらないですよね!」とは大貫社長。皆様が全員こんな様子なので、午前中から奥の丸テーブルでは常連のお客さんとのカメラ談義に華が咲いている。

 今回の横濱お散歩カメラは、スタッフの櫻井さんに選んでいただいたもの。シチュエーションに合わせて、お求めやすいものから王道までをご覧いただきたい。

現在の店舗は、京浜急行の日の出町駅からすぐそば。近くを流れる大岡川は桜の名所で、店舗のある宮川町や野毛エリアは、ツウが通う昔ながらの飲み屋と、撮影スポットが豊富である。

パノラマもいいけどハーフも魅力だ

1:ワイドラックス F7(ブラック) ワイドラックスFV/
35ミリフィルムを使う、フルパノラマカメラ。140度見渡せる絶景を撮影できるということで、これはみなとみらいの撮影にピッタリ。ちなみにFV(6万円)のVは5を意味するため、F7(6万8,000円。取材当時)のほうが新しい。しかもF7には水準器がついている。撮影時には26mm/f2.8レンズが左右に動く。

2:リコーオートハーフSE2 25mm/f2.8/
24×18mmサイズで撮影できる、ゼンマイ仕掛けのハーフ判カメラ。この個体はシンプルなシルバーのフェイスだが、イラストやカラーリングなどバリエーションが楽しめるモデルとしてコレクション製も高い。ハーフなので1列12枚のフレームを8ミリみたいな連続写真で楽しむのもよい。1万2,000円(取材当時)

3:ロボットJr クセノン40mm/f1.9/
ゼンマイ仕掛けの可愛いドイツ製カメラ。フォーマットが2.4×2.4のスクエアフォーマットというのが特徴。一枚撮影すると、ゼンマイで自動的にチャージされるので、そこがロボットっぽい。コンパクトなので、携帯性にも優れる。2万円(取材当時)

4:オリンパスペンS、Dズイコー3cm/f2.8/
1960年に登場したオリンパスペンの2代目モデル。他のペンに比べて、シャッタースピードが変えられるため、当時は上級者のサブカメラとしての位置づけであった。レンズの3cmは30mm換算。1万5,000円(取材当時)

当時のライバル的カメラ、どちらを選ぶ?

上:ライカDⅡ ブラックニッケルエルマーL50/f3.5/
ライカではじめて距離計を内蔵したカメラがD2。それまではアクセサリーシューに距離計をつけて使用していたので、より使いやすくなった。D2が出るのは1932年なので、まさに同ページのコンタックスとは当時ライバルだった機種である。9万5,000円(取材当時)

下:コンタックスⅠ テッサー50/f3.5ツァイス ユニバーサルファインダー/
1925年に発売されたライカに対抗して1926年に発売されたのがコンタックス。1932年に発売された1型は、直方体のボディに革張りという独特のデザインが魅力。独自の縦走りシャッターは、発売当時から1/1,000高速シャッターが切れ、これがライカに対してのアドバンテージであった(このモデルは取材後に売約済)。ターレットタイプのファインダー(2万5,000円)は25、35、50、85、135と、5つのフレームが備え付けられる。

ローライ35、どれを散歩に連れて行こう?

1:ローライ35Sゾナー40mm/f2.8/
一番の定番モデル。Sはゾナーの略で、明るさが魅力。1966年にデビューしたローライ35だが、ゾナー付きが登場するのは74年。4万5,000円(取材当時)

2:ローライ35クラシックゾナー40mm/f2.8HFT/
1990年にローライ35の復刻モデルが4タイプ登場。カラーはチタン、プラチナ、ブラックメタル、ゴールドと登場したが、これはチタン。新しい設計のゾナーの明るさが魅力。ドイツ製。10万円(取材当時)

3:ローライB35トリオター40mm/f3.5/
1969年にデビュー。セレン式露出計が特徴的で、レンズに3枚構成のシンプルなトリオターが装着される。シャッタースピードと絞りダイヤル、ピントリングがレンズについているのが特徴。1万8,000円(取材当時)

4:ローライ35Tテッサー40mm/f3.5/
35TのTはテッサーの略で、3群4枚から構成されるカールツァイス伝統のスタンダードレンズ。定番中の定番ではずれがない。3万4,000円(取材当時)

5:ローライ35クラシックゾナー40mm/f2.8HFT/
2番と同じ、1990年に発売された復刻モデルのブラックチタンカラー。純正のストロボを装着すると雰囲気も変わる。ドイツ製。9万8,000円(取材当時)

6:ローライ35テッサー40mm/f3.5/
元祖高級コンパクトカメラともいわれるローライ35の、初期モノの隠れレアモデル。ドイツ製なのでボティが真鍮で重く、裏蓋も重い。4万8,000円(取材当時)

7:ローライ35プラチナゾナー40mm/f2.8/
1986に登場した444台限定のモデル。ボディはプラチナカラーで、貼り革はトカゲ革を使用した高級感あふれるモデル。ドイツ製。価格は18万円(取材当時)

8:ローライ35SE/
SEのSはゾナーの略でEはLEDを意味する。ちなみにテッサーだとTEとなる。ファインダーを覗くとLEDの赤とグリーンが点灯、グリーンが適正露出というもの。1979年デビュー。

 「みなとみらいの絶景を取るならパノラマがいいし、気になる女性と一緒ならオートハーフで連写もいい。同じ散歩でも、TPOに合わせてカメラを選ぶのは楽しいですよ。古い建物の質感を出したかったらハッセル。建造物の年代に合わせたライカやコンタックスを選ぶのも面白いかもしれません。

 ローライ35のような目測のカメラは、とにかく勢いが大事。シャッターチャンスをのがさず、バシっとシャッターが切れるのも魅力です。二眼レフカメラは、人を呼ぶカメラとよくいわれます。持っているとよく声をかけられるので、横濱でお友達ができるかもしれませんね!」

 そう、こんな会話を楽しめるのが、大貫カメラの魅力。カメラはコミュニケーションのツールなのだ。

ヤシカマット 124G 80mm/f3.5 /
国産二眼というとミノルタ、ヤシカ、マミヤがポピュラー。1981年にデビューした124Gは、ヤシカマット124というモデルの電気接点に金メッキを施したモデル。Gはゴールドの略。世界の2眼レフカメラの主力製品として当時はアマチュア、報道関係にも広く愛用されていた。3万5,000円(取材当時)

ハッセルブラッド500CM A12 Cプラナー80mm/f2.8/
お散歩にはちょっと大きめのハッセルだが、グリップをつけて正体に見えるブリズムをつけ、さらに大きくして遊んでしまおう。できればグリップの上にストロボも装着したいところ。12万円(50/80フードは7,000円、ブラケットは6,000円、ブリズムは1万円。取材当時)

カメラ:Yasuhiro Yokosawa
テキスト:Soichi Kageyama
媒体:VINTAGE LIFE 15

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