2017.03.15

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

パディオが印象的な、ラグジュアリー スパニッシュハウス

道路側にはガレージと応接用のサロンが配置され、奥の母屋部分は2階部分まで含めて、外部の視線から完全に守られる。「外に閉じ、内に開く」住空間は、南欧の人々の生活の知恵だ。

旅行に行く暇もないほど多忙な施主が望んだのは、家にいながらにしてリゾート気分を味わえる、上質なくつろぎ空間。『参會堂』が確かな設計力と本物の素材をもって完成させたこの邸宅に入ると、ここが日本であることをしばし忘れてしまう。太陽の光とテラコッタの床の彼方に聞こえてくるのは、地中海の潮騒だ。

リゾート感覚溢れる、スパニッシュハウス

流麗かつダイナミックなアールを大きく描いた階段が印象的なS邸リビング。パティオを介して日光を適度に採り込むとともに、パティオ越しにガレージやコンサバトリーの気配をうかがえる快適な空間となっている。

パティオ(中庭)という空間は、元々はスペインの伝統的な建築様式に由来する。彼の地の過酷な太陽と熱風、それに外敵から家族を守る一方、生活空間に光をもたらし、自由に遊べる庭を確保しようという、南欧の暮らしの知恵の産物だ。そして日本でも近年、プライバシーの確保と採光性が両立できる空間として注目を浴びつつある。

ここで紹介するS邸はスパニッシュ瓦にアースカラーのタイルを組み合わせたファサードで、まごうことなきスパニッシュスタイルの邸宅。ガレージに入ると奥にも跳ね上げ式のガレージドアがあり、そのままパティオへ、そして家族の暮らしの中心であるリビングへとつながる構成である。さらにコンサバトリーを挟んで、もう1つパティオが設けられており、バスルームから出入り可能。2種類のパティオを楽しめるという趣向だ。

リビングからアーチ越しにファミリースペース、応接室、廊下を眺める。屋内にはドアを最小限しか設置しない計画とし、全館空調とすることで、家族の気配をそこはかとなく感じられる、居心地の良さを実現している。

S邸の中心に位置する8角形のコンサバトリーは両脇をパティオに挟まれて明るい空間。写真奥の玄関ホールから入ってきたゲストはここでもてなされ、プライベートスペースには干渉しない。

玄関を挟みガレージの反対側に位置する離れには、応接用のサロンと和室が用意されている。木の質感を加えることで、重厚で落ち着いた雰囲気を醸し出す。

奥さまが動きやすいように十分なスペースを確保したキッチン。味わい豊かでいて清潔感溢れるタイルの表情を、木の質感が互いに引き立てる。

2階には外まで見晴らしの良い大きなバスルームを設け、眺望とジャグジーを同時に楽しめる。1階と2階、その日の気分で風呂を使い分けられるのも、リゾート感の追求ゆえだ。

1階のバスルームからはもう1つのパティオを眺めることができ、周囲の視線から守られているため、この上なく開放的な気分を満喫できる。

S邸では道路側にガレージと応接用のサロンをレイアウトし、エントランスホールから母屋への間にも8角形の接客スペースを配置。それに2つのパティオを組み合わせ、外部からプライベートスペースまでの間に何段階ものクッションを設けて、ゲストとの関係性やその時々の状況に応じ、空間を柔軟に使い分けられるようになっている。

この邸宅を手掛けたのは、ヨーロッパの建築セオリーを熟知し、確固たるデザイン力と本物の素材で一つひとつの物件をじっくり作り込むスタイルに定評のある一級建築士事務所『参會堂』。

「参會堂さんの家というのはヨーロッパの大工さんがつくる家そのもので、だから面白いんですね」と施主のSさん。「僕が頼んだのは、せっかく家を建てる以上、とことん面白い家にしてということだけ。あとは妻にまかせっきりでした」。

極めて多忙で、旅行はおろか、ともすれば家の周辺だけで生活が完結してしまいがちなご主人のため、「家の中でリゾート気分を満喫し、リフレッシュできるように」と奥さまが考え抜いたイメージ。それに『参會堂』が形を与え、上質な本物の素材で丁寧に仕上げることで、このS邸が実現したもの――それは最上級のくつろぎだ。

昼にパティオで作業をしている時など、ガレージドアを開放して、外の人と互いに気配が分かるようにしておくことも多いという。状況や気分に応じて、外と中との距離感をコントロールできるのだ。

ガレージからパティオの間にも跳ね上げ式ガレージドアがあり、開放すればクルマをパティオで洗うことも可能。パティオを全面タイル張りとしたのは、いつも綺麗に保っておきたいとの要望から。

スペイン瓦とテラコッタタイルなど、アースカラーを基調としているS邸の外観。玄関ポーチの先には、日射しからも風からも守られた心地よい生活スペースが待っている。椰子の木が似合う家にしたかったというのが奥さまのイメージ。

空と風を感じながらもプライバシーが守られるパティオは、ホームパーティーを開いたり、家族で、夫婦でゆっくり時間を過ごしたりと、フレキシブルに使えるアウトドアリビング。

福島県 S邸
竣工:2008年3月 延床面積:696.62㎡

株式会社 参會堂
東京都目黒区中根1-25-23
PHONE:03-5726-1120
営業時間:10:00~19:00
休業日:第2・第4土曜日、日曜日、祝日
対応価格帯:70万円~/坪
施工エリア:全国
保証:10年保証(構造躯体)
http://www.sankaido.com

Photo/Kousuke-FUJIMATSU(藤松光介) Text/Kota-TAKEUCHI(竹内耕太)

NEWS of 輸入住宅スタイルブック

ARCHIVES

RANKING

POPULAR TAG

NEWS

SEARCH