2018.10.11

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

日本を旅したブガッティたち。「International BUGATTI Mee...

 2015年10月9日から13日にかけて、京都を舞台にブガッティによる世界で最も華麗で豪華なツーリング "インターナショナル・ブガッティ・ミーティング・ジャパン"が開催された。

 1994年にイタリアで始まったこのイベントは、これまで各国のブガッティ・クラブがホスト役を務める形で、欧米を中心に開催されてきたもの。日本での開催は無論、これが初めてである。

 今回、海を渡ってやってきたブガッティは実に30台以上。日本から参加したクルマを含めると、総勢40台以上が集結し、秋の京都に繊細で豊かなエキゾーストノートを響かせた。

拘りと歴史の詰まったブガッティ

1935 BUGATTI T57SC COMPETITION ELECTRON/
1935年のパリ・サロンで、マグネシウム合金の新素材"エレクトロン"を使用したル・マン・カーとして発表されるも、翌年のレースが中止となったために、解体されてしまった悲運の1台。1981年にその残骸の一部を引き取った現オーナーのジム・ハルが紆余曲折の末、2013年に復活させた。

1924 BUGATTI T35 GRANDPRIX LYON/
今回参加した中で最も古いT35。16番目に作られた個体で、長年に渡ってイギリスでレース活動をしていた。聞けばアルミ地のボンネットはオリジナルのままだという。ルクセンブルグから来たオーナーのゴイ・フェルデスは、某エアラインの機長で、息子のフェリックスとともに参加していた。

その姿は、愛馬に跨る騎手のよう

1926 BUGATTI T37/
アメリカのサラ・レオーが駆るタイプ37。実は15年ほど前にもこのT37で日本を走っているという彼女。その時のドライバーだったご主人が亡くなったため、思い出の日本をもう一度走りにやってきた。エンジン始動も一人でこなす姿は、堂に入ったもの。

 幸運にも1台のT51のシートに座らせてもらうチャンスに恵まれた。外から見ると開放的に見えるコックピットだが、その開口部は意外と狭い。慣れないと、アルミボディを凹ませないよう気をつけながら身体を滑り込ませるのにも、苦労する。しかもギアボックスが大きく張り出したフットスペースは驚くほど狭い。

 ところが一度乗り込んでしまうと、ぴったりと身体にフィットするような不思議な感覚に襲われる。さすがは走るためだけに生まれたGPマシン。自ずと気分も高揚する。

 一方パッセンジャー・シートの環境は凄まじい。足元は運転席よりもさらに狭く、シートもレーシングスクリーンも申し訳程度についているだけ。そもそも身体を支えるバーハンドルの類がないうえ、リアタイヤは剥き出し。走行中に気を抜くと、自分の服を巻き込んでしまいそうだ。

 そんな過酷? な環境にも関わらず、ここにいるブガッティ乗りは皆楽しそうに、そして戦前車とは思えないスピードで幹線道路を駆けていく。その姿は愛馬に跨る騎手のよう。風に晒されながら、ステアリングやシフトと格闘する所作のひとつひとつがカッコイイ。

そこにあるのは時空を超えた美しさ

比叡山延暦寺内にある大書院の前庭に並べられたエントラントたち。荘厳な雰囲気にブガッティ・ブルーが不思議とマッチしている。

 宿泊先となったウエスティン都ホテル京都を起点に行われた今回のツーリングでは、平安神宮、熊川宿、比叡山延暦寺、伊勢神宮といった、関西地方を代表する歴史豊かな土地を巡る、1日あたり200〜300kmほどの行程が組まれていた。

 その中のひとつ、天台宗の本山寺院であり、ユネスコの世界遺産にも登録された比叡山延暦寺では、普段なら立ち入ることのできない"大書院"の前庭にブガッティたちをディスプレイ。昭和初期に移築された村井吉兵衛邸と歴代ブガッティとの時空を超えたコラボレーションが実現した。

 そこで気づいたのは、磨き込まれた日本的な木製の建造物や日本庭園と、オイルの匂いが染み付いたアルミと鉄の芸術品が、不思議なほど馴染んで見えたことだった。

 きっと自動車作りに人生を捧げた鬼才、エットーレ・ブガッティが創り出した作品群と、日本古来の風景には、どこか共鳴し合うものがあるのだろう。そうした"化学反応"を体験できるのも、この旅の魅力なのかもしれない。

彦根城を通過するフランスのパトリック・フリドリ/ネー・シェヴリエ組が乗るT13ブレシア。軽量&俊足なブガッティ黎明期の傑作。

参加車1台1台には、それぞれの物語がある

小さなT13ブレシアでの長旅は一苦労。乗り込むのも荷物を積むのもコツが要るが、ベルギーのイエッセン組は慣れたもの。

1933年のT55でニュージーランドから参加のロジャース夫妻。なにはともあれ、この笑顔がすべてを物語っている!

シンプル極まりない(フロアが木製だ!)T23の室内。しっかりと使い込まれヤレたステアリングが、実に滋味深い。

さらばブガッティの旅人たち

大書院の門の前に佇むT51。T35のシャシーにツインカム・ユニットを載せたT51は、多くのプライベーターにも愛されて成功を収めた、1930年代を代表するレーシングマシンのひとつ。

琵琶湖畔の人気のない農道を走るブガッティの旅人たち。このラリーのあとラ・フェスタ・ミッレミリアを完走し、さらに日光までのツーリングを楽しんで帰国したという。

カメラ:Yoichi Sakagami、Yoshio Fujiwara
テキスト:Yoshio Fujiwara
媒体:VINTAGE LIFE 16

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