2018.10.11

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

年代と共に変化するガラスのかたち。「SELTZER BOTTLE」

約100年前のモノとは思えない、独特な色彩とデザインのSeltzer bottle 。まるで芸術品のようで、世界中にこの美しいガラスに魅了されたファンも多い。現在では入手が困難になっている中、レアなボトルを多数所有するアメリカ人コレクターを訪ねた。

ヨーロッパとアメリカが融合したボトル

リストなどは無く、ボトルを見ただけで年代や銘柄がわかるほど、Seltzer bottleに精通するリッチー。並べる順番も自分なりにちゃんと決まっている。

以前はヴィンテージポスターや古い雑誌なども扱い、自らアンティークショーに出店していたリッチー。そのコレクションの中には、43年の模型雑誌のボトルに関連する物もある。

アンティークボトルと共に暮らす

階段の踊り場にある窓の脇にもコレクションが並ぶ。カリフォルニアの強い光を浴びたカラーボトル達は幻想的な色を醸し出す。

 自販機やコンビニなどで購入でき、普段何気なく飲んでいる炭酸飲料。ビンやカンの炭酸飲料がこの世に出回る前には、独特な形のノズルが付き、工芸品とも言えるガラスボトルに炭酸水が込められ、各家庭にデリバリーされていたことはご存知だろうか?

 1800年代にフランスで開発された「ソーダ サイフォン(Seltzer bottleとも言う)」は、ヨーロッパを始め1960年代前半頃まで多くの国で使用されてきた。家に宅配され、バーではドリンクを作る為に大活躍。もちろん当時は中身が重要だったが、現在では色とりどりでユニークな形のボトルに魅了されたコレクターが世界中にいる。

 中でもレアなボトルを集める男が、カリフォルニア州のサンディエゴに住んでいる。

 NY生まれのリッチー(Richard Strell)。肩書きは元サーファー、アンティーク商、そしてハーモニカを吹くミュージシャン。元々はヴィンテージのポストカードやポスター、雑誌などのコレクタブルアイテムを扱う仕事をしていたが、スワップミートやアンティークショーでたまに目にする、ブルーやグリーンの宝石の様なボトルを見ているうちに魅了され、80年代からコレクションをスタートしたという。

 現在ではネットオークションも登場し、今までに見た事もないボトルが世界中から出品されていることから、リッチーのコレクションはさらに加速。ときにはebayで2万本もの大量のボトルを購入し、売り主が保管していた倉庫をそのまま継続して借り続けたということもあったとか。

 ただ、現在では量よりもとことんレアものにこだわっており、1本数百ドルの値がつくというお宝ばかり。中でも大切なのはノズルのヘッド部分とボトルのマッチングということ。ボトルが現役だった当時でも、ヘッド部分が外されて清掃の為に銘柄が一致しないことは日常茶飯事であった。そのため、両方がマッチしているボトルは現在では大変貴重なのだ。

 1920〜30年代のボトルはチェコやスイスなどのヨーロッパから輸入された奇麗ないろとりどりのボトルが印象的。1940年代になるとポップアールデコグラフィックがプリントされたACLというジャンルのボトルに変更され、こうした変遷にボトルの時代背景も感じることができる。

 現在ではSeltzerを扱う会社はほとんどなくなり、カリフォルニア州で1軒、ニューヨーク州に1軒だけということ。現在、これらのヴィンテージボトルを利用することは難しいが、ランプにリメイクしたり花瓶にしたりする楽しみもあるのだそうだ。もちろん、リッチーのようにそのまま窓辺に飾っておくだけでも、素敵なインテリアの一部となる。

以前は人前でもハーモニカプレイをパーフォマンスしていたという。取材中もギターとハープでボブ・ディランの曲を演奏して聴かせてくれた。

photo & text:Yas Tsuchiya
媒体:VINTAGE LIFE 17

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