2018.12.12

大人の趣味の為のライフスタイルマガジン「IN THE LIFE(イン・ザ・ライフ)」

プライベートアイズで探す、「ロレックス クロノ」

’53 OYSTER TRIPLECALENDER CHRONOGRAPH “KILLY” Ref.6036/フランスのアルペンスキー選手、ジャン=クロード・キリーが愛用したことで、キリーウォッチと呼ばれる超希少モデル。ムーブメントにはバルジュー72をベースとしてトリプルカレンダー機構が搭載された72C。ケース、文字盤ともに素晴らしいコンディション。Cal.72C、18KYG、36㎜、手巻き、ASK

上:’53 OYSTER CHRONOGRAPH WHITE DIAL”Ref.6034/
オイスターケースが採用された、3レジスタークロノグラフ。ステンレスケースにホワイトダイヤルがシンプルなデザイン。Cal.72、SS、36㎜、手巻、応相談。

下:‘50s NON OYSTER CHRONOGRAPH TEAR DROP DESIGN Ref.9162/
ラグがティアドロップ形をしており、ゴールドのケースとアイボリーのコントラストが贅沢な3レジスタークロノ。ロレックスの文字や王冠マークも小さく控えめで入りアンティークらしいたたずまい。Cal.72、18KYG、36㎜、手巻、応相談。

新店舗で探すヴィンテージ

ドレスウォッチらしい贅沢な3レジスタークロノ

古い置き時計や懐中時計とともに置かれる腕時計たち。プライベートアイズでは、オリジナルのベルトも多数販売しているので雰囲気を変えたいなら一見の価値あり。

 店主の遠藤さん自ら世界中に赴き、極上のヴィンテージウォッチを探偵のごとく探しあてて販売しているプライベートアイズ。『VINTAGE LIFE』でも毎回、素晴らしい時計を紹介していただいているが、最近同社は今までの店舗から500メートルほど離れた場所に新店舗をオープンさせた。看板の書体や店内に備え付けられたアンティークのランプ、ヨーロッパで買い付けた棚やデスクなどなど、ヴィンテージ感あふれる店内に厳選された時計が光り輝いている様は必見である。

 ただ、店内にディスプレイされているものは、ごく一部。今回も店の奥からロレックスのクロノグラフがいろいろと入荷したということで、そのラインナップを見せていただいた。

 ロレックスクロノグラフの代名詞といえばデイトナということになるが、今回紹介させていただく時計は、それ以前のクロノグラフたちである。

 1915年の誕生から、多くのスポーツモデルをリリースしてきたロレックス社は、1929年にロレックス初の2レジスターワンプッシュクロノグラフRef.2021をリリース。この時代のムーブメントはバルジュー22を採用し、今回紹介しているRef.2705のようにドレスウォッチ系のケースデザインが主流の時代であった。

 同じ頃、ロレックスが最初のアンバサダーとして選んだのは、イギリスのジャーナリストでレーサーでもあった、マルコム・キャンベル卿。彼は1935年にロレックスのオイスターを着用してレーシングカーを操り、地上最速の時速300マイルを樹立している。

 デイトナの名前は、モータースボーツの代名詞ともいえるフロリダ州のデイトナインターナショナルスピードウェイに由来しているが、キャンベル卿はデイトナスピードウェイ創立以前のデイトナビーチで世界新記録を5回も樹立していることから、ロレックスとデイトナとは不思議な縁があったのかもしれない。

 1930年代からクロノグラフをリリースしてきたロレックスだが、デイトナの名前を冠したモデルを世に送り出すのは1960年代。1930〜60年代のクロノグラフを並べてみると、小ぶりでなんともいえない気品があるため、昨今のマーケットでも品薄で高騰しているという理由も納得できる。

1930年代〜60年代のロレックスクロノたち

表情もそれぞれ‘40sレジスタークロノ

奥:‘40s OYSTER CHRONOGRAPH SILVER DIAL Ref.4500/
ゴールドケースにシルバーインデックス、経年変化の風合いが見事な2レジスタークロノグラフ。ほかの2つのモデルとは、微妙にケースのデザインが異なり少し大きい。Cal.23、18KYG、36㎜、手巻、応相談。

中央:‘40s OYSTER CHRONOGRAPH BLACK DIAL Ref.3525/
ステンレスケースにブラックダイヤル、ゴールドインデックスの渋い2レジスタークロノグラフ。黒文字盤ということでも希少性のある一本。Cal.23、SS、35㎜、手巻、応相談。

手前:‘40s OYSTER CHRONOGRAPH SILVER DIAL Ref.3525/
ステンレスケースにシルバーインデックス、ゴールドの針というラグジュアリーな2レジスタークロノグラフ。ステンレスベルトで涼しげな印象。Cal.23、SS、35㎜、手巻、応相談。

2レジスターから3レジスターへ

’38 OYSTER ZEROGRAPH NEW OLD STOCK Ref.3890/
約80年前ものロレックスのデッドストック。しかも一見普通に見えるが、2時方向にフライバックプッシュボタンを1回押すだけで、ストップとリセットが同時にでき、時間を測定できるクロノグラフである。Cal.10-1/2、SS、30.5㎜、手巻、応相談。

 さて、クロノグラフにロレックスの代名詞オイスターがはじめて採用されたのは1939年のRef.3481で、当時のバブルバックのエンジンベゼルを装備したRef.3668などが登場。その後ついに、12時間積算計を追加した3レジスター オイスター クロノグラフRef.4048がリリースされ、1940年代高級腕時計の代名詞は3レジスタークロノへとなっていく。

 1947年になるとダトコンパックスモデルとして、今回扉で紹介させていただいている"Ref.4767、6036"いわゆる"キリーモデル"と呼ばれたモデルが3レジスターの派生モデルとして登場することになる。

 今回紹介させていただく時計は30年代のドレスウォッチ系クロノ、40年代の2レジスター、50年代の3レジスターから60年代のプレデイトナというラインナップになっているが、年代を追ってみていただくと、次第にロレックスらしいイメージに変貌していく様子がよくおわかりいただけるであろう。

 1950年代の3レジスタークロノグラフは、のちにデイトナにも搭載されるムーブメント、バルジューの72を使用していることから、プレデイトナと呼ばれることもあるものの、デザイン的にはどこかドレスウォッチっぽい面影が残っていることがおわかりいただけるはずだ。1950年代後半にリリースされたRef.6238(写真は1965年製)と1959年製造のRef.6234を比べてみると、前者はタキメーターがダイヤルにプリントされ、よりモダンな印象に変貌。

 まさにプレデイトナといった印象を持つモデルとなっている。そして、ついに1963年。ベゼルにタキメーター備えDAYTONAの文字をあしらった初代デイトナが登場するのだ。

 デイトナ以前のロレックスクロノを一同にし、そこから好きなモデルを選ぶ贅沢。プライベートアイズはそんな夢も可能である。

デイトナ直前のプレデイトナ

’65 OYSTER CHRONOGRAPH BLACK DIAL Ref.6238/
デイトナの直前モデル、プレデイトナ。黒文字盤は大変珍しく、市場では高値でとりひきされる。上のムーブメントはこの時計のもの。バルジュー72の輝きが素晴らしい一本。Cal.72B、SS、36㎜、手巻、応相談。

30年代後半、初期のクロノ

‘30s NON OYSTER CHRONOGRAPH BLACK DIAL Ref.2705/
ケース、ベルトともにいかにもドレスウォッチらしいデザインの2レジスタークロノグラフ。初期モデルでしかも美しい黒文字盤が見事。Cal.22、SS、37㎜、手巻、応相談。

カメラ:Yasuhiro Yokosawa
テキスト:Soichi Kageyama
媒体:VINTAGE LIFE 18

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